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親衛隊の左翼を担う佐藤拓也に司令を出す。
「隠しカメラを誰にも気づかれず、私のデスクに向けてセットして。撮影時間は15時ごろからエンドレスで設定しておいて。できる?」
「それはもしかして橘さんたちの嫌がらせを録画するってこと?」
「そうよ。今日あたりお花を切られる可能性があるから、証拠を撮っておきたいの」
「わかった。上手くやるよ。15時からってことは早退?」
「ええ。佐藤くんも不在の方がいいわ。フレックスで時間調整してくれる?」
「了解、任せといて。あ、それと橘さんから仕事を振られたら、俺にも共有して。手伝うから」
「え、いいの?ありがとう、嬉しいわ!」
ボンクラのいやらしい目つきや下心があってもなくても、素直に喜んでしまった。ついでにこれからの連絡は社内メールではなく、高橋直人や松本絵梨と同様に携帯メールにすることにして、彼とアドレスを交換した。
さて、罠をかける算段が整ったところで直人の動きが気になる。
『山田係長と11時に会います。第二会議室を予約しようと思います。会議招集をかけても良いですか?』
おっ、携帯にメールが届いたわ。11時か。佐藤は別の会議が入ってるみたい。仕方ない、彼抜きでやろう。
『了解いたしました!』
返信を素早く送ると、程なくPCに会議招集が届いた。題名は「LGBT環境改善ヒヤリング」となっている。
カモフラージュしたね、直人。でもこの問題は人事が中心となって対応している大きな社内プロジェクトだ。総務も絡んでくるだろう。つまり、今後も直人と業務で関わる可能性があるのだ。
そう考えると私のテンションは上がりまくった。その勢いで目の前の業務をこなしていく。気づくと11時前になっており、慌てて第二会議室へ向かった。
自販機コーナーの奥にある会議室は最大10人までの小部屋で、到着すると私以外のメンバーが既に座っていた。そして、山田健太は会議の内容を事前に知っていたようだ。なのでさっそく本題に入る。
「我々は橘専務の失脚を目指す集団です。山田係長も長嶺さんの件で同じ気持ちだと思いますが?」
直人が落ち着いた口調で話し始めた。
山田は腕を組んで、目を閉じたまま動かない。彼はメガネをかけたインテリ風のビジネスマンで、直人ほどではないがイケメンだった。橘美咲や松本絵梨が夢中になるのも理解できる。
しばらくの沈黙の後、彼はやっと口を開いた。
「事情は聞いた。言いたいことも理解できる。だが証拠がない。どうするつもりなのか、教えてくれ」
「貴方は長嶺さんから相談を受けていた。僕のメールにも残ってる。それ以外に何か重要なものをお持ちではないですか?」
「被害の記されたノートを持ってる。彼女の自筆のだ。しかし、それを裏付けるものはない。だからこれ以上は動けないんだ」
私はダイアリーを思い出す。
『山田は複雑な気持ちでしたが、最終的には協力することになりました。』
よし、彼は協力する。ここは強引に迫ろう。
「あの、総務の高野と申します。お聞きしたいことがいくつかあります」
「……何だ?」
「橘美咲と仲が良いようですが、恋人ですか?それとも、何かの策略で近づいたのですか?」
その問いに彼は不敵な笑みを浮かべた。
「隠しカメラを誰にも気づかれず、私のデスクに向けてセットして。撮影時間は15時ごろからエンドレスで設定しておいて。できる?」
「それはもしかして橘さんたちの嫌がらせを録画するってこと?」
「そうよ。今日あたりお花を切られる可能性があるから、証拠を撮っておきたいの」
「わかった。上手くやるよ。15時からってことは早退?」
「ええ。佐藤くんも不在の方がいいわ。フレックスで時間調整してくれる?」
「了解、任せといて。あ、それと橘さんから仕事を振られたら、俺にも共有して。手伝うから」
「え、いいの?ありがとう、嬉しいわ!」
ボンクラのいやらしい目つきや下心があってもなくても、素直に喜んでしまった。ついでにこれからの連絡は社内メールではなく、高橋直人や松本絵梨と同様に携帯メールにすることにして、彼とアドレスを交換した。
さて、罠をかける算段が整ったところで直人の動きが気になる。
『山田係長と11時に会います。第二会議室を予約しようと思います。会議招集をかけても良いですか?』
おっ、携帯にメールが届いたわ。11時か。佐藤は別の会議が入ってるみたい。仕方ない、彼抜きでやろう。
『了解いたしました!』
返信を素早く送ると、程なくPCに会議招集が届いた。題名は「LGBT環境改善ヒヤリング」となっている。
カモフラージュしたね、直人。でもこの問題は人事が中心となって対応している大きな社内プロジェクトだ。総務も絡んでくるだろう。つまり、今後も直人と業務で関わる可能性があるのだ。
そう考えると私のテンションは上がりまくった。その勢いで目の前の業務をこなしていく。気づくと11時前になっており、慌てて第二会議室へ向かった。
自販機コーナーの奥にある会議室は最大10人までの小部屋で、到着すると私以外のメンバーが既に座っていた。そして、山田健太は会議の内容を事前に知っていたようだ。なのでさっそく本題に入る。
「我々は橘専務の失脚を目指す集団です。山田係長も長嶺さんの件で同じ気持ちだと思いますが?」
直人が落ち着いた口調で話し始めた。
山田は腕を組んで、目を閉じたまま動かない。彼はメガネをかけたインテリ風のビジネスマンで、直人ほどではないがイケメンだった。橘美咲や松本絵梨が夢中になるのも理解できる。
しばらくの沈黙の後、彼はやっと口を開いた。
「事情は聞いた。言いたいことも理解できる。だが証拠がない。どうするつもりなのか、教えてくれ」
「貴方は長嶺さんから相談を受けていた。僕のメールにも残ってる。それ以外に何か重要なものをお持ちではないですか?」
「被害の記されたノートを持ってる。彼女の自筆のだ。しかし、それを裏付けるものはない。だからこれ以上は動けないんだ」
私はダイアリーを思い出す。
『山田は複雑な気持ちでしたが、最終的には協力することになりました。』
よし、彼は協力する。ここは強引に迫ろう。
「あの、総務の高野と申します。お聞きしたいことがいくつかあります」
「……何だ?」
「橘美咲と仲が良いようですが、恋人ですか?それとも、何かの策略で近づいたのですか?」
その問いに彼は不敵な笑みを浮かべた。
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