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私の妄想は現実味を帯びてきた。山田健太を仲間に引き入れれば、親衛隊の配置も整う。私たちの目指す敵はこの会社の悪の象徴である橘太郎だ。彼に社会的な制裁を与えれば、橘美咲もおとなしくなるでしょう。それに連動して山本節子なんぞに舐められる筋合いも無くなるのだ。
よし!私と長嶺理子の長年の恨みを晴らしてやる。作戦参謀は私の恋人であり親衛隊長の高橋直人だ。直人、どうやって追い詰めていくの?何ならダイアリーに書き込むこんでやるわよ!
そう意気込んで帰宅した。週末なので、いつものルーティンで洗濯や掃除を済ませ、久しぶりにショッピングに出かけた。着古したスーツでは限界だ。今後、親衛隊と頻繁に行動することになる。それならば、適切な当世具足が必要なのだ。
私は心の変化を感じている。恋をすると身なりに気を使うもの。明日からは新しいスタイルで出社しようと決めた。もちろん、お化粧もして、コンタクトレンズも使うことにしよう。
8月28日(月)
私は橘美咲と山本節子の目をかいくぐり、佐藤拓也と接触し、彼を仲間に加えることに成功しました。
一方、高橋直人は山田健太を呼び出し、佐藤以外の親衛隊で彼の事情を聞くことにしました。山田は複雑な気持ちでしたが、最終的には協力することになりました。しかし、会議室から出たところを橘美咲に見つかってしまい、終業後、彼女によってお花を剪定鋏で切られてしまいました。
ふむ、明日は謎解きが順調に進むようね。ただし、橘美咲に嫌がらせを受けるけど……いいや、乗ってやろう。私にも考えがあるから。
***
翌日、新しいスーツを着て化粧も施し、髪を整えて出社した私は、周りから興味深い目で見られていた。特に佐藤拓也は目を丸くしている。そして、橘美咲やお局は驚きつつも、すぐに笑い出しているのを見逃さなかった。
ふん、私は決して負けない。親衛隊と共に戦うのだ。必ずお前たちを屈服させてやる。
さて、佐藤とどう接触するか考えながら、PCにログインした。その時、アクリル板越しに彼と目が合ってしまった。
キモいんだけど!いつまで見ているのよ!?いや待てよ、アイコンタクトしてみようか?メールより手っ取り早いし。
橘美咲たちの動向を確認した後、大胆にも彼に向かって首を振りながら、「自販機コーナーで控えておれ」と言わんばかりに合図を送ってみた。佐藤拓也は理解したのか、席を立ち移動した。ボンクラにしては察しがいいようだ。
「高野さん、松本さんのことだよね?あれからどうなったの?」
「あぁ、それもあるけど。ねぇ、佐藤くん」
「なに?」
「私の味方になってくれない?」
「えっ?どういうこと?」
佐藤拓也にダイアリーの不思議な力は伏せて事情を話した。私や長嶺さんの問題を解決するために、橘太郎のセクハラを暴くこと。そして、橘美咲や山本節子を職場から排除するために協力してほしいと頼んだ。彼は彼女たちに睨まれ、今や私と同じく孤立している。それに私に気があるようだ。彼の視線もセクハラだから、橘太郎を通じて気づいてほしいという思いもあった。
「分かった。俺にできることがあったら言って。IT担当だから、OA機器のことなら力になれると思う」
「ありがとう。では、早速だけど──」
よし!私と長嶺理子の長年の恨みを晴らしてやる。作戦参謀は私の恋人であり親衛隊長の高橋直人だ。直人、どうやって追い詰めていくの?何ならダイアリーに書き込むこんでやるわよ!
そう意気込んで帰宅した。週末なので、いつものルーティンで洗濯や掃除を済ませ、久しぶりにショッピングに出かけた。着古したスーツでは限界だ。今後、親衛隊と頻繁に行動することになる。それならば、適切な当世具足が必要なのだ。
私は心の変化を感じている。恋をすると身なりに気を使うもの。明日からは新しいスタイルで出社しようと決めた。もちろん、お化粧もして、コンタクトレンズも使うことにしよう。
8月28日(月)
私は橘美咲と山本節子の目をかいくぐり、佐藤拓也と接触し、彼を仲間に加えることに成功しました。
一方、高橋直人は山田健太を呼び出し、佐藤以外の親衛隊で彼の事情を聞くことにしました。山田は複雑な気持ちでしたが、最終的には協力することになりました。しかし、会議室から出たところを橘美咲に見つかってしまい、終業後、彼女によってお花を剪定鋏で切られてしまいました。
ふむ、明日は謎解きが順調に進むようね。ただし、橘美咲に嫌がらせを受けるけど……いいや、乗ってやろう。私にも考えがあるから。
***
翌日、新しいスーツを着て化粧も施し、髪を整えて出社した私は、周りから興味深い目で見られていた。特に佐藤拓也は目を丸くしている。そして、橘美咲やお局は驚きつつも、すぐに笑い出しているのを見逃さなかった。
ふん、私は決して負けない。親衛隊と共に戦うのだ。必ずお前たちを屈服させてやる。
さて、佐藤とどう接触するか考えながら、PCにログインした。その時、アクリル板越しに彼と目が合ってしまった。
キモいんだけど!いつまで見ているのよ!?いや待てよ、アイコンタクトしてみようか?メールより手っ取り早いし。
橘美咲たちの動向を確認した後、大胆にも彼に向かって首を振りながら、「自販機コーナーで控えておれ」と言わんばかりに合図を送ってみた。佐藤拓也は理解したのか、席を立ち移動した。ボンクラにしては察しがいいようだ。
「高野さん、松本さんのことだよね?あれからどうなったの?」
「あぁ、それもあるけど。ねぇ、佐藤くん」
「なに?」
「私の味方になってくれない?」
「えっ?どういうこと?」
佐藤拓也にダイアリーの不思議な力は伏せて事情を話した。私や長嶺さんの問題を解決するために、橘太郎のセクハラを暴くこと。そして、橘美咲や山本節子を職場から排除するために協力してほしいと頼んだ。彼は彼女たちに睨まれ、今や私と同じく孤立している。それに私に気があるようだ。彼の視線もセクハラだから、橘太郎を通じて気づいてほしいという思いもあった。
「分かった。俺にできることがあったら言って。IT担当だから、OA機器のことなら力になれると思う」
「ありがとう。では、早速だけど──」
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