島流しされた悪役令嬢は、ゆるい監視の元で自由を満喫します♪

鼻血の親分

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102.下克上

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※バルナバ視点

ああ、始まるのか…。

コウモリが住んでる不気味な館の二階では、カーテン越しのグレースをはじめ、ライラと四階のボスであるヘクセ、その対にカリーヌとリンダが等間隔で座っていた。皆、正座してるがカリーヌだけはあぐらを組んでいる。

それから各室のリーダーは一階の倉庫に控えており、今まさに御前会議が幕を開けようとしていた。

僕も何故か部屋に招かれている。いや、行きたくはなかったが一応、ここの責任者代行としてだ。

まあ、これまで殿下が参加してたらしいけど、流石に王太子に成られてるので、この場に相応しくないとの判断で僕に丸投げされた格好だ。ここで格闘が始まるのかと思うと、差し出された紅茶の味がしないほど緊張していた。でも、不足の事態には備えて警護の者を館の周りに配置してるので準備は万端整っている。

「だからー、何なのよ?何が始まるって言うの?」

カリーヌに緊張感はまるでない。その姿を少々苛立った様子でライラが口火を切った。

「お静かに!これから御前会議を始めます。…先ずは、三階代表の交代についてリンダからご報告致します。リンダ?」
「はい。ここにおられるカリーヌ様が新たに三階を仕切る運びとなりましたこと、ご了承ください」
「その前に、確認が」
「何か?ライラ様?」
「最近、三階の者が調子乗って一階や二階の囚人に挑発的なんだけど、まさか下克上を考えてるんじゃないだろうな?」
「さあ?」
「さあって!?おい、はっきり答えろ!」
「アタシはもう階ボスじゃないんでねえ」
「ふーん、そうか…ではカリーヌに聞こう」
「ふあぁぁぁぁぁぁぁぁ…」
「なっ…!?」
「あーー、ねむ~い。ねえ、さっきから何の話してんの?」

カリーヌはかしこまった会議が退屈な様子だ。あくびや貧乏ゆすりしたりして落ち着きがない。

こ、こりゃダメだ。お前、あんまりグレース様を怒らせないでくれよ。フルボッコにされるぞ。

「ねえ、バルナバあ、何のはなしィ?」

ぼ、僕に話を振るな。知らん、知らん!

「ふっ…これはとんだお嬢様だ。ここは監獄。ルールに従って貰わないと困るんだが?」
「ルール?」
「ルールとは秩序だ。囚人棟を仕切ってらっしゃるグレース様に忠誠尽くして、三階を管理するのが階ボスの使命。分かるか?」
「グレースってだれよ?」
「き、貴様っ!?」

ライラが激昂して立ち上がった。我慢の限界がきた様だ。すると、それに合わせてリンダも立ち上がる。二人は睨み合い一触即発の様相を呈した。

「それまで」

と、カーテン越しからグレース様の声が聞こえた。その声とともにライラが片膝をつき礼を尽くす。

「もはや問答無用ね。ライラ、皆を道場に集めなさい」
「ははっ」
「カリーヌ、気絶する前に教えてあげるわ。貴女は私に敵わない」
「はあ?敵わない?つかアンタね、そこから出てきなさいよ!」

徐にカリーヌは立ち上がり、シャーーッと勝手にカーテンを開けてしまった。

そこに現れた全身の姿は僕も初めて拝見した。そして驚愕する。二メートルを越す身長に筋肉隆々の体格なのだ。ガルグイユの仮面がより怖さを引き立てている。

「ひっ、ひぃーーっ!キモーーーーッ!!」

カリーヌが叫んだ。







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