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98.一世一代
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※ジェラール視点
青い海と美しい山々。遠くに我が城が見える絶景の丘で、私はアニエスにプロポーズを試みる。
勅命とは流石にな…。
その言葉もプレッシャーに感じるが。
「殿下?…お話って何でしょう?」
「ああ。王都でソフィアに会ってきた」
「まあ…で、彼女はいつお戻りに?」
「それが少し長引くと思う。お父様もお亡くなりになられて色々とね」
「そうですか…それは大変です」
い、いかん。ちょっと暗い雰囲気を作ってしまった。修正せねば。
「あ、それでだ。彼女が戻るまでは島へ滞在して、薬草畑の面倒を見て貰いたい」
「はい。お安い御用ですわ」
「うむ。…なあ、アニエス」
「はい?」
つぶらな瞳で私を見つめる彼女は、とても美しく感じた。そして私がこれから伝える言葉を…想像もしてないプロポーズを聞く覚悟はできてないと思う。だが、だが言わなくてはならない。いや、言わせてくれ。
「私は思わぬところで王太子となった」
「…その様ですね」
「この国は思ったより不安定なことも知った」
「……」
「アニエス、どうか私を支えてくれないか?」
「で、殿下?…それは?」
彼女の美しい瞳を見つめ、一世一代の愛の言葉を口にする。心臓が破裂しそうだ。
「私と結婚してください。幼い頃からずっと想っていた。君を必ず幸せにすると誓う…誓います!!」
潮風が彼女の長い髪を靡かせた。余りにも突然のプロポーズに彼女は戸惑ってる様に見える。
「わ、わたくしに王太子妃が務まるでしょうか…」
「私も王太子という役目に自信はない。だが君となら一緒に頑張れる。ほら、昔から一緒に笑ったり泣いたりしただろ?」
すると、下を向いてくすくすとアニエスは笑った。
「いつのお話をされてるのですか?うふふ」
「あの頃と私は何も変わってないよ」
「殿下、ありがとうございます。お気持ちとても嬉しいです」
「で、では?」
「わたくしも殿下となら頑張れる気が致します。ただ…」
「ただ?」
彼女はこの美しい景色を一望した。
「唯一、この島が心残りでございます」
「アニエス、島は私の領土だ。それにハーブガーデンは島の事業。君は発案者として発展させる義務がある」
「えっ?でも…」
「確かに王太子妃となれば制約があるだろう。王室の行事があるからね。だが、時間の許す限り自由に島へ行っても構わないよ。私も領主を兼任してるから行く用事があるし」
「い、いいのですか?」
「ああ、この島を愛してくれて嬉しい」
「殿下…わたくし、この島へ来て自由を知りました。生き甲斐を感じました。この島と関わり合いを持てるなんて夢の様でございます。婚姻のこと、謹んでお受け致します」
「何と!?」
「ジェラール様に一生、ついていきます!」
眩い笑顔に失神しそうだ。彼女は私のプロポーズを受けてくれた。確かに受けてくれたのだ。
「アニエスーー!!」
思わず彼女を抱きしめた。すると、か細い両腕が背中に纏わりついた。
青い海と美しい山々。遠くに我が城が見える絶景の丘で、私はアニエスにプロポーズを試みる。
勅命とは流石にな…。
その言葉もプレッシャーに感じるが。
「殿下?…お話って何でしょう?」
「ああ。王都でソフィアに会ってきた」
「まあ…で、彼女はいつお戻りに?」
「それが少し長引くと思う。お父様もお亡くなりになられて色々とね」
「そうですか…それは大変です」
い、いかん。ちょっと暗い雰囲気を作ってしまった。修正せねば。
「あ、それでだ。彼女が戻るまでは島へ滞在して、薬草畑の面倒を見て貰いたい」
「はい。お安い御用ですわ」
「うむ。…なあ、アニエス」
「はい?」
つぶらな瞳で私を見つめる彼女は、とても美しく感じた。そして私がこれから伝える言葉を…想像もしてないプロポーズを聞く覚悟はできてないと思う。だが、だが言わなくてはならない。いや、言わせてくれ。
「私は思わぬところで王太子となった」
「…その様ですね」
「この国は思ったより不安定なことも知った」
「……」
「アニエス、どうか私を支えてくれないか?」
「で、殿下?…それは?」
彼女の美しい瞳を見つめ、一世一代の愛の言葉を口にする。心臓が破裂しそうだ。
「私と結婚してください。幼い頃からずっと想っていた。君を必ず幸せにすると誓う…誓います!!」
潮風が彼女の長い髪を靡かせた。余りにも突然のプロポーズに彼女は戸惑ってる様に見える。
「わ、わたくしに王太子妃が務まるでしょうか…」
「私も王太子という役目に自信はない。だが君となら一緒に頑張れる。ほら、昔から一緒に笑ったり泣いたりしただろ?」
すると、下を向いてくすくすとアニエスは笑った。
「いつのお話をされてるのですか?うふふ」
「あの頃と私は何も変わってないよ」
「殿下、ありがとうございます。お気持ちとても嬉しいです」
「で、では?」
「わたくしも殿下となら頑張れる気が致します。ただ…」
「ただ?」
彼女はこの美しい景色を一望した。
「唯一、この島が心残りでございます」
「アニエス、島は私の領土だ。それにハーブガーデンは島の事業。君は発案者として発展させる義務がある」
「えっ?でも…」
「確かに王太子妃となれば制約があるだろう。王室の行事があるからね。だが、時間の許す限り自由に島へ行っても構わないよ。私も領主を兼任してるから行く用事があるし」
「い、いいのですか?」
「ああ、この島を愛してくれて嬉しい」
「殿下…わたくし、この島へ来て自由を知りました。生き甲斐を感じました。この島と関わり合いを持てるなんて夢の様でございます。婚姻のこと、謹んでお受け致します」
「何と!?」
「ジェラール様に一生、ついていきます!」
眩い笑顔に失神しそうだ。彼女は私のプロポーズを受けてくれた。確かに受けてくれたのだ。
「アニエスーー!!」
思わず彼女を抱きしめた。すると、か細い両腕が背中に纏わりついた。
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