島流しされた悪役令嬢は、ゆるい監視の元で自由を満喫します♪

鼻血の親分

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93.お別れ

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※ブリス視点

ガツガツとベルティーユのお魚料理を食べまくる。

「うんうん、これだ」

ゴグゴグとワインをがぶ飲みする。そんな俺の一挙手一投足を三人のオンナがじぃーっと見つめる。

「そんなに見つめられると照れるじゃないか」
「監視官殿でも照れることがおありなのですね」
「揶揄うなよ。あまりオンナに興味持たれたことがないから恥ずかいだろ」
「ふーん。私たちは興味しんしんですわよ。で、お料理はまあまあでしたか?」
「あ…ああ、美味かった。いつだって最高だ」
「キャーーッ!美味しいだなんて初めて言われましたわ!」
「最高だって!うふふ!」
「良かったね、ベルティーユ!」

三人のオンナにキャッキャッと笑顔を向けられる。いやマジでこの雰囲気は苦手だ。そろそろお暇しないとな。

「さて、行かなければ」

俺は席を立ち足を引きずり、エントランスへ向かおうとする。

「か、監視官殿…どこへ」
「城だ。逃亡するのも疲れたしな」
「あの…お城までお送りしますわ」

は?何言ってんだ…?

三人が心配そうに俺を見つめる。

「いや、お前らに迷惑かけるから一人で行くよ」
「でもその足では…」
「ああ、これか。ちょっと捻っただけだ。いずれ治るさ」

この様子じゃ俺が何をしたのか知らないな。殿下やバルナバの配慮か…?まあいい。最後のお別れだ。

「アニエス、お前は自由だ。好きな様に生きろ。だが俺としてはジェラール王太子を支えて貰いたいな。この国のために」
「な、何ですか、唐突に…?」
「コリンヌ、お前はバルナバと幸せになって、この島を守ってくれ」
「か、監視官殿…?」
「ベルティーユ、お前と過ごしたことは忘れない」
「ち、ちょっと!まるでお別れみたいじゃない!」
「…もう関わらない方がいい」

二度と会わないだろう。俺は死刑だ。そう言おうとしたがやめた。だが、

“今生のお別れ”

そんな雰囲気を察したのか、彼女らはまた涙を浮かべている。

「じゃあな!!」

勢いよく屋敷の外へ出ると、何とバルナバが警護の者と立っていた。しかもこいつまで涙ぐんでいる。

「お迎えに上がりました。ブリス殿…ぐすん」
「お、おう、行くか…」

馬車まで用意してある。色々ツッコミたかったけど、もう面倒臭い。仕方なく彼らと馬車に乗り城へ向かった。逃げる気はさらさらないが、手配中の凶悪犯にお縄もかけないのは俺への信頼と優しさなのか…。

相変わらず甘いヤツだ。


城へ入ると、警護の者がざわつきながら俺を囲う。その中をかき分け、ビソンが現れた。

「…探しましたよ。ブリス殿」
「この二ヶ月で体制がかなり変わった様だな」
「ええ…お陰様でね」
「それが見れて満足したよ」
「だから自首ですか?」
「ああ、もう思い残すことはない。とっとと殺してくれ」
「そうはいきません。貴方にはお聞きしたいことが山ほどございます」

俺はそのまま取り調べ室へ連行された。






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