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第1章 ざまぁがしたいっ!!
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今日も馬鹿女は重役出勤だった。まあ、来ただけマシか…。早速わたくしは用務員へ戻り、ミーア様にお会いすべく教室へと向かう。そしてお昼休憩を見計らって教室から出て行く彼女をひっそりつけて行った。
「これじゃまるで不審者ですわね。でも、王子様とのご関係を直接確認したいの」
彼女はお弁当を持って生徒会室へ入って行く。
「あちゃー、めちゃめちゃ王子様と会ってるじゃん。こりゃ、本当の恋人じゃないの⁈」
わたくしはほうきを持って掃除するフリしながら「どうしようかなあ。待とうかな」と考えていた。
「あ、用務員さん?」
王子様の取り巻きに声をかけられた。咄嗟に軽く会釈する。
「王子様に御用かな?」
「い、いえ…その」
ちょっと今の状況では王子様に会いづらいよ。馬鹿女の反応も鈍かったし、わたくしはミーア様だけとお話ししたいから…。
でも彼に「遠慮する事はないですよ」と、半端強引に生徒会室へ連れて行かれたのです。
丁度、お昼なのでお食事しているところをお邪魔した形となり「あちゃー」と激しく後悔した。ただ、王子様はミーア様が持っていたお弁当を食べていたのを見逃さない。やっぱりこの二人…。
「やあ、ポピー。シェリーの近況報告かな?」
「お、お食事中、すいません」
「良いんだ。休憩時間でないと話が出来ないし」
「あの、シェリー様の事でしたら、まだそんなに大した進展もなく…」
「うん? 君は僕たちの仲間だ。何でも話してくれ。それに彼女の事ならどんな些細な内容でも聞きたい」
そう言われるとわたくしは意を決した。仲間と言う言葉の響きが迷いを無くしたのです。
「はい。実は一昨日の晩、シェリー様にそれとなくお話し致しました」
「ほう、早速!」
「こう言いました。王子様はシェリー様の性格の酷さを理由に「婚約破棄」をお考えになってると」
王子様とミーア様はお互い顔を合わせて微笑した。
「それで?」
「そんなのできっこな~い! って仰っています」
「ふふふ。彼女らしいな。何故そう言えるのだろうね?」
「はい。シェリー様曰く、これは皇室と公爵家の縁談なので、王子様の一存で破棄など出来ないと自信を持っていらっしゃる様で…」
「確かに簡単な事ではない。場合によっては僕は皇室を追われるかも知れないな」
「そ、そこまでして…?」
「これは十歳の時に決められた縁談だった。当初、僕はシェリーを好きになろうと努力した。だが、彼女を見るたびに自信を無くしたんだ」
確かに子供の頃からかなりのお転婆ですからね、アイツは。王子様の前でカエル捕まえたり、変な踊りを披露したり、パンツ見せたり…あ、そう言えばわたくしを殴った事もありましたわね。思い出したら腹が立ってきたわ!
「どう考えても無理だと判断した。皇后様に申し上げても取り合って貰えなかったけどね」
「王子様、お気持ちは分かります。でも、卒業まであと僅かですが、如何なさるのでしょう?」
「近々、陛下に自分の気持ちを話そうと思う。だけど難しいだろうね。悪役令嬢の理由だけでは…。ね、ポピー、何かもっと重大な問題はないかな?」
うーん、そう仰られても…酷いオンナだとは自信を持って言えますけど、どこまで正直に申せば良いのか迷いますーー。
「これじゃまるで不審者ですわね。でも、王子様とのご関係を直接確認したいの」
彼女はお弁当を持って生徒会室へ入って行く。
「あちゃー、めちゃめちゃ王子様と会ってるじゃん。こりゃ、本当の恋人じゃないの⁈」
わたくしはほうきを持って掃除するフリしながら「どうしようかなあ。待とうかな」と考えていた。
「あ、用務員さん?」
王子様の取り巻きに声をかけられた。咄嗟に軽く会釈する。
「王子様に御用かな?」
「い、いえ…その」
ちょっと今の状況では王子様に会いづらいよ。馬鹿女の反応も鈍かったし、わたくしはミーア様だけとお話ししたいから…。
でも彼に「遠慮する事はないですよ」と、半端強引に生徒会室へ連れて行かれたのです。
丁度、お昼なのでお食事しているところをお邪魔した形となり「あちゃー」と激しく後悔した。ただ、王子様はミーア様が持っていたお弁当を食べていたのを見逃さない。やっぱりこの二人…。
「やあ、ポピー。シェリーの近況報告かな?」
「お、お食事中、すいません」
「良いんだ。休憩時間でないと話が出来ないし」
「あの、シェリー様の事でしたら、まだそんなに大した進展もなく…」
「うん? 君は僕たちの仲間だ。何でも話してくれ。それに彼女の事ならどんな些細な内容でも聞きたい」
そう言われるとわたくしは意を決した。仲間と言う言葉の響きが迷いを無くしたのです。
「はい。実は一昨日の晩、シェリー様にそれとなくお話し致しました」
「ほう、早速!」
「こう言いました。王子様はシェリー様の性格の酷さを理由に「婚約破棄」をお考えになってると」
王子様とミーア様はお互い顔を合わせて微笑した。
「それで?」
「そんなのできっこな~い! って仰っています」
「ふふふ。彼女らしいな。何故そう言えるのだろうね?」
「はい。シェリー様曰く、これは皇室と公爵家の縁談なので、王子様の一存で破棄など出来ないと自信を持っていらっしゃる様で…」
「確かに簡単な事ではない。場合によっては僕は皇室を追われるかも知れないな」
「そ、そこまでして…?」
「これは十歳の時に決められた縁談だった。当初、僕はシェリーを好きになろうと努力した。だが、彼女を見るたびに自信を無くしたんだ」
確かに子供の頃からかなりのお転婆ですからね、アイツは。王子様の前でカエル捕まえたり、変な踊りを披露したり、パンツ見せたり…あ、そう言えばわたくしを殴った事もありましたわね。思い出したら腹が立ってきたわ!
「どう考えても無理だと判断した。皇后様に申し上げても取り合って貰えなかったけどね」
「王子様、お気持ちは分かります。でも、卒業まであと僅かですが、如何なさるのでしょう?」
「近々、陛下に自分の気持ちを話そうと思う。だけど難しいだろうね。悪役令嬢の理由だけでは…。ね、ポピー、何かもっと重大な問題はないかな?」
うーん、そう仰られても…酷いオンナだとは自信を持って言えますけど、どこまで正直に申せば良いのか迷いますーー。
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