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みんな襲われてるのに、どうやら俺は相手にされてないようだ。
30. 明日への希望
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「そうだねー、そうするよう……だけどね」
「だけど、何だ?」
「今はそう思っても僕は種を守らないといけない立場だからさー」
「いずれまた戻って来ると?」
「うん、だって人間と交尾しないと繁殖出来ないし」
「それはいつ頃のことだ?」
「まぁ人口が元に戻るころかな。百年後あたり」
百 年 後か。だったら俺はもう死んでるな。
ーーだが、
だが、それでは問題を先送りするだけだ。またヤツらの脅威に晒される。
「じゃねー! それまで僕を倒す手段でも考えておいてよー。パワーアップして帰るからー」
「あ、のりお。まだ話が……」
猛スピードでクィーンが宇宙へ飛び立っていった。それに伴いマァンティスの大群が後を追う。
「行っちゃいましたね。ありがとう、正随さん」
「う……ん」
これで一旦、平和が訪れるのだ。だけど達成感はまるで感じなかった。
この気持ちは何だ?
普段使わない頭がぐるぐると回る。
あっ。
「青葉さん?」
「思いついた。信長公の様にマァンティスを喰って百年後に備えるってのはどうだ? まだ死骸が沢山ある」
「もしかして上様と同じことを?」
「そうだ。のりおを倒し俺がクィーンとなり代わった上で自害する」
我ながら良い考えだ。俺が信長の意思を継ぐんだ。何百年かけてでも。
「ダメです! リスクが大きいです。第二の正随さんが現れるかもしれないし」
「う、うーむ。そうか?」
「それより私から提案があります」
「何だ?」
「黄金血液の人口を増やすのです。確率は低いかもしれませんが」
「どうやって?」
もみこは少し恥ずかしそうな素振りをする。その仕草に俺は彼女が何を言わんとしてるのか察しがついた。
それってもしかして……
「だから、同じ……」
「待って、それは俺から言わせてくれ」
「えっ?」
「お、俺と結婚しないか? 同じ血液型同士だ。可能性はある。あ、勿論好きなのが大前提だっ」
富士の樹海という非日常な空間で世界のために戦ったという経験が俺を後押しした。コミュ症で冴えない日々を過ごしてきた男が好きな女にプロポーズしたのだ。
「私のこと、好きですか?」
「大好きだ!」
「良かった。私もですよ!」
おおーっ、何という日だ! 希望が、世界が輝いて見えたー!
俺はもみこと結婚し沢山子供を作るんだ。そして黄金血液の人口を増やし、多くの人々に輸血する。その血はきっと守ってくれるだろう。そうだ、その考えを世界へ呼びかけよう。
それが俺の役目だ。明日への希望を持て!
百年後の脅威と戦うために。
ーー 完 ーー
「だけど、何だ?」
「今はそう思っても僕は種を守らないといけない立場だからさー」
「いずれまた戻って来ると?」
「うん、だって人間と交尾しないと繁殖出来ないし」
「それはいつ頃のことだ?」
「まぁ人口が元に戻るころかな。百年後あたり」
百 年 後か。だったら俺はもう死んでるな。
ーーだが、
だが、それでは問題を先送りするだけだ。またヤツらの脅威に晒される。
「じゃねー! それまで僕を倒す手段でも考えておいてよー。パワーアップして帰るからー」
「あ、のりお。まだ話が……」
猛スピードでクィーンが宇宙へ飛び立っていった。それに伴いマァンティスの大群が後を追う。
「行っちゃいましたね。ありがとう、正随さん」
「う……ん」
これで一旦、平和が訪れるのだ。だけど達成感はまるで感じなかった。
この気持ちは何だ?
普段使わない頭がぐるぐると回る。
あっ。
「青葉さん?」
「思いついた。信長公の様にマァンティスを喰って百年後に備えるってのはどうだ? まだ死骸が沢山ある」
「もしかして上様と同じことを?」
「そうだ。のりおを倒し俺がクィーンとなり代わった上で自害する」
我ながら良い考えだ。俺が信長の意思を継ぐんだ。何百年かけてでも。
「ダメです! リスクが大きいです。第二の正随さんが現れるかもしれないし」
「う、うーむ。そうか?」
「それより私から提案があります」
「何だ?」
「黄金血液の人口を増やすのです。確率は低いかもしれませんが」
「どうやって?」
もみこは少し恥ずかしそうな素振りをする。その仕草に俺は彼女が何を言わんとしてるのか察しがついた。
それってもしかして……
「だから、同じ……」
「待って、それは俺から言わせてくれ」
「えっ?」
「お、俺と結婚しないか? 同じ血液型同士だ。可能性はある。あ、勿論好きなのが大前提だっ」
富士の樹海という非日常な空間で世界のために戦ったという経験が俺を後押しした。コミュ症で冴えない日々を過ごしてきた男が好きな女にプロポーズしたのだ。
「私のこと、好きですか?」
「大好きだ!」
「良かった。私もですよ!」
おおーっ、何という日だ! 希望が、世界が輝いて見えたー!
俺はもみこと結婚し沢山子供を作るんだ。そして黄金血液の人口を増やし、多くの人々に輸血する。その血はきっと守ってくれるだろう。そうだ、その考えを世界へ呼びかけよう。
それが俺の役目だ。明日への希望を持て!
百年後の脅威と戦うために。
ーー 完 ーー
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完結お疲れ様でした!
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青葉さんの恋も実りましたし、最後まで面白い物語をありがとうございました。
青葉が世界に呼びかけ、Rhnull型同士の婚姻が促進され、また専用献血センターも開設されました。彼は国連特別機関の高官として世界平和に取り組んでいくのです!
一ヶ月に渡りご閲覧ありがとうございました。とっても励みになりましたよ♪
ではくろいゆき様、良いお年を〜(^^)
今、明かされるマァンティスの真実(・_・;)
火星人だったんですね。
火星もロマンの塊ですし、キングギド〇に滅ぼされたのは金星だから、大丈夫ですね!?
しかし、正随君がまさか、食べちゃっていたとは……
理由が彼らしくて、アホなところが憎めないですよね。
さらば、のりお! ありがとう、のりお! になってしまうんでしょうか。
自我あるみたいだし、クィーンというより、キングになって正しいハーレムかな!?
遅すぎる過ぎたメリークリスマスですみません🐰
最後にのりおがやらかしましたね。信長の死によるマァンティス撲滅が頓挫しちゃいました。でも彼のお陰で青葉は決心したのです…!
さて、次回は最終回♪最後の見届けお願いします(^^)
クリスマスケーキさっき食べたので大丈夫ですよー
クィーンは人が変異したものだったんですね、驚愕の事実です。
倒したとしても倒した者が次のクィーンになるんですから、悪夢のループですよね。
それを阻止すべく、上様は自らを犠牲にしたんですね。
あれ……でも、最後の一文がとても不穏なんですが(・_・;)
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そうだ。マァンティスは火星人。絶滅しかかって最後の一匹が地球へ現れホモサピエンスと交わったら突然変異でクィーンが誕生した。そして火星へ戻り繁殖。でも気候変動で住み難くなって再び地球へ…みたいな?
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くろいゆき様、メリークリスマス🎂🍷🎉