みんな襲われてるのに、どうやら俺は相手にされてないようだ。

鼻血の親分

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みんな襲われてるのに、どうやら俺は相手にされてないようだ。

23. 足が痛い

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 のりおに装着したGPSと無線から彼が呑気に鼻唄歌いながら樹海を歩いているのが分かった。少し距離を置いて自衛隊の小部隊が彼の後を追い、その後方に俺らと大園夏子率いる本部隊が進軍している。

「正随さん、怖くないのかしら」
「俺らが後ろにいると思って安心してるんだろ」

 まぁそうでも一人で樹海にいることに変わりない。まだ早朝だからいいけど夕暮れで暗くなると能天気なのりおでも恐怖を感じると思う。それまでに第二基地まで行かなくてはならない。

 その間にマァンティスが現れるかどうかなのだが……。

 一時間ほど歩いた頃、変化が起こった。ゴソゴソと物音が無線越しに聞こえてくる。

「やあ、樹海でこんな可愛子ちゃんと出会うなんてー」

 マァンティスが現れた様だ。

「上様、正随さんが遭遇しました」
「うむ、して仔細は?」

 大園夏子が先頭部隊から無線でやり取りする。次第に彼女の顔色が変わった。

「ご、五十匹……!」
「上様!?」

 いくら絶倫なのりおでもその数はこなせない。

「自衛隊は下がっておれ」
「は、はい」

 夏子は全軍に化学防護服を纏って、先頭部隊は退避、本部隊へ合流の命令を告げた。

「さて、ゆるりと参ろうか」

 信長は約束通りのりおにお楽しみ時間を作ってやろうと配慮してるのか、はたまたマァンティスに気づかれず近寄るためなのか慎重に動いた。

 ここで一つ問題がある。一時間も足場の悪い樹海を彷徨う感じで進軍した俺の体力が限界に近かったのだ。ここに来て肝心なとこで情けないっ。

「あの、あとどれ位の距離ですか?」
「青葉さん、約二百メートルですよ」
「お主、もしや……疲れたのか?」
「い、いえいえー、全然大丈夫ですよっ!」

 皆んなが見てるうー。もみこの前で情けない姿を晒すわけにはいかんぞー。

「さあ、行きましょう!」

 寝れる休憩所をもっと設けて欲しいなんてとても言えない。俺は重い身体を引きずりながら歩いた。足がくそ痛い……。

 こんなんでまともに戦えるのか? もみこを守るとかムリじゃね?




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