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みんな襲われてるのに、どうやら俺は相手にされてないようだ。
21. ベースキャンプ
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「はぁはぁはぁ……」
樹海に入って数キロ先にベースキャンプがあった。周りの樹木は綺麗に切除され、広々とした空間に大きなテントが幾つもある。流石は国を上げての対応だと感心した。だが歩き疲れた。ようやく辿り着いたのだ。
「ここが本部基地となります」
位の高そうな女性自衛官が俺らを案内する。よく見ると顔立ちの整った美人だ。
「ねえ君ぃ、名前なんて言うの?」
早速のりおが話しかけた。
「ここの全指揮を任されてる大園夏子です」
「なぁーつこちゃーん、僕は正随規夫。宜しくねー」
「勿論知ってますよ」
「わー、僕って有名人なんだー」
こいつ……相変わらず節操ないな。つか、疲れてないのか?
「キャンプは今どれくらい建ててるの?」
「予定通り二箇所の設置が完了してます」
「準備万端だね。じゃーそろそろ僕は一人行動なのかなぁ」
と、ちょっぴり寂しげな雰囲気を滲ませて信長を見つめる。
「戦は明日からじゃ。今宵はゆるりと休むがよい」
「明日か。寂しいなー」
「正随さん、大丈夫ですよ。私らが見失わない様、後をつけますから」
「うん、そうだね。ありがと。もみこちゃん」
「それとお主らにもう一つ伝えることがあった」
おい、またかよー。信長は結構重要な話を後出しでするからな。クィーンは攻撃するとか……。で、今度は一体何だ?
「マァンティスを……決して喰うてはならん」
「……は? く、喰わんし!」
「上様、食料は十分備えがございますよ」
「なら良いが。アレを喰うと脳や細胞が変異する」
「寿命が伸びて超能力者になるんですよねー」
「全員がそうなるとは限らん。変異に耐えきれず死ぬかもしれんぞ」
「あ、あのー、何のお話でしょうか?」
余りにも突拍子もない会話に大園夏子はついていけないでいた。
ややこしくなるので自衛隊や政府関係者には信長の真実は伏せていたのだ。最も俺は信じてないし、言ったところで同じリアクションだろうけど。
「まぁ取り敢えずゆっくり過ごそうよ。疲れたし。ねぇ大園さん、風呂ってあるの?」
「え? あ、はい。本部は設置してます」
「よし、早速入るか。のりお一緒に行くか?」
「わーい、温泉だー!」
温泉ではないけどな。よく被災地に自衛隊が設置してるテントの風呂だよ。ま、言うまいか。
信長の話を誤魔化し、俺はのりおと風呂で疲れを取ることにした。
樹海に入って数キロ先にベースキャンプがあった。周りの樹木は綺麗に切除され、広々とした空間に大きなテントが幾つもある。流石は国を上げての対応だと感心した。だが歩き疲れた。ようやく辿り着いたのだ。
「ここが本部基地となります」
位の高そうな女性自衛官が俺らを案内する。よく見ると顔立ちの整った美人だ。
「ねえ君ぃ、名前なんて言うの?」
早速のりおが話しかけた。
「ここの全指揮を任されてる大園夏子です」
「なぁーつこちゃーん、僕は正随規夫。宜しくねー」
「勿論知ってますよ」
「わー、僕って有名人なんだー」
こいつ……相変わらず節操ないな。つか、疲れてないのか?
「キャンプは今どれくらい建ててるの?」
「予定通り二箇所の設置が完了してます」
「準備万端だね。じゃーそろそろ僕は一人行動なのかなぁ」
と、ちょっぴり寂しげな雰囲気を滲ませて信長を見つめる。
「戦は明日からじゃ。今宵はゆるりと休むがよい」
「明日か。寂しいなー」
「正随さん、大丈夫ですよ。私らが見失わない様、後をつけますから」
「うん、そうだね。ありがと。もみこちゃん」
「それとお主らにもう一つ伝えることがあった」
おい、またかよー。信長は結構重要な話を後出しでするからな。クィーンは攻撃するとか……。で、今度は一体何だ?
「マァンティスを……決して喰うてはならん」
「……は? く、喰わんし!」
「上様、食料は十分備えがございますよ」
「なら良いが。アレを喰うと脳や細胞が変異する」
「寿命が伸びて超能力者になるんですよねー」
「全員がそうなるとは限らん。変異に耐えきれず死ぬかもしれんぞ」
「あ、あのー、何のお話でしょうか?」
余りにも突拍子もない会話に大園夏子はついていけないでいた。
ややこしくなるので自衛隊や政府関係者には信長の真実は伏せていたのだ。最も俺は信じてないし、言ったところで同じリアクションだろうけど。
「まぁ取り敢えずゆっくり過ごそうよ。疲れたし。ねぇ大園さん、風呂ってあるの?」
「え? あ、はい。本部は設置してます」
「よし、早速入るか。のりお一緒に行くか?」
「わーい、温泉だー!」
温泉ではないけどな。よく被災地に自衛隊が設置してるテントの風呂だよ。ま、言うまいか。
信長の話を誤魔化し、俺はのりおと風呂で疲れを取ることにした。
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