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みんな襲われてるのに、どうやら俺は相手にされてないようだ。
8. カマキリ
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「何やってんだ……こいつ」
大学生と思われる裸体の男は三匹の巨大カマキリと抱き合っていた。いや、愛し合っていたのだ。
「アーン、みんな可愛いなあ。うふふーん」
こ、交尾してるのか? お前は変態かー!
とても信じられない光景に驚くばかりだ。いや呆れていた。だけど、もみこは落ち着いている。カバンから、なんと短刀を取り出し構えをみせたのだ。刃渡り三十センチはあろうか、素人でも上等品だとわかるくらい輝いている。
「ね、ねえ、そんなモノ持って危ないよ? 硫酸かけられるよ」
「ご安心を。わたくしには通じません」
そう言い放ったもみこはズカズカと部屋へ侵入していった。彼女に気づいたマァンティスは、女性の接近があまりにも急だったのか「ギィー!」と悲鳴を上げ慌てふためく。
どうなってんだ? ヤツらが怯えてるぞ?
「あ、君も後で抱いてあげるからね。順番だよー」
ニヤけた男はもみこの殺気がわからない。
「結構です!」
「「「グサンッッ!」」」
「ひぃぃっ!」
もみこは一心不乱にマァンティスを切り刻んだ。あっという間に三匹が絶命する。そして部屋は血だらけとなった。
余りにも残酷で衝撃的な出来ごとに俺はただ驚愕するしかない。
「ああっ、何てことを! 僕は殺さないでよお!」
「正随さん、目を覚ましてください」
「えっ?」
「貴方はマァンティスに拐かされたのです」
「まさか?」
「毒霧吹きつけられたの覚えてないのですか?」
「……うーん」
「貴方が抱いていたのは女性ではなく、マァンティスだったのですよ」
ーーあっ、なるほど。そういう訳か。
俺はそこでピンときた。
つまり、マァンティスが男を襲う目的は交尾だ。毒霧で意識朦朧とさせ、女だと幻覚を見せてたんだ。そして目的を果たしたのち、捕食する。
正に“カマキリ”だ……。
でも、
でも、それなら何故俺はターゲットにされない? そして拳銃でも倒せないヤツをもみこは何故簡単に退治できるんだ?
「ああ、僕が女だと思って愛してたのはエイリアンだったのお?」
ようやく彼は毒霧の幻覚から目醒めた様だ。
「正随さん、招集命令です」
「え? しょーしゅー?」
いったい何者なんだよ? もみこって……。
大学生と思われる裸体の男は三匹の巨大カマキリと抱き合っていた。いや、愛し合っていたのだ。
「アーン、みんな可愛いなあ。うふふーん」
こ、交尾してるのか? お前は変態かー!
とても信じられない光景に驚くばかりだ。いや呆れていた。だけど、もみこは落ち着いている。カバンから、なんと短刀を取り出し構えをみせたのだ。刃渡り三十センチはあろうか、素人でも上等品だとわかるくらい輝いている。
「ね、ねえ、そんなモノ持って危ないよ? 硫酸かけられるよ」
「ご安心を。わたくしには通じません」
そう言い放ったもみこはズカズカと部屋へ侵入していった。彼女に気づいたマァンティスは、女性の接近があまりにも急だったのか「ギィー!」と悲鳴を上げ慌てふためく。
どうなってんだ? ヤツらが怯えてるぞ?
「あ、君も後で抱いてあげるからね。順番だよー」
ニヤけた男はもみこの殺気がわからない。
「結構です!」
「「「グサンッッ!」」」
「ひぃぃっ!」
もみこは一心不乱にマァンティスを切り刻んだ。あっという間に三匹が絶命する。そして部屋は血だらけとなった。
余りにも残酷で衝撃的な出来ごとに俺はただ驚愕するしかない。
「ああっ、何てことを! 僕は殺さないでよお!」
「正随さん、目を覚ましてください」
「えっ?」
「貴方はマァンティスに拐かされたのです」
「まさか?」
「毒霧吹きつけられたの覚えてないのですか?」
「……うーん」
「貴方が抱いていたのは女性ではなく、マァンティスだったのですよ」
ーーあっ、なるほど。そういう訳か。
俺はそこでピンときた。
つまり、マァンティスが男を襲う目的は交尾だ。毒霧で意識朦朧とさせ、女だと幻覚を見せてたんだ。そして目的を果たしたのち、捕食する。
正に“カマキリ”だ……。
でも、
でも、それなら何故俺はターゲットにされない? そして拳銃でも倒せないヤツをもみこは何故簡単に退治できるんだ?
「ああ、僕が女だと思って愛してたのはエイリアンだったのお?」
ようやく彼は毒霧の幻覚から目醒めた様だ。
「正随さん、招集命令です」
「え? しょーしゅー?」
いったい何者なんだよ? もみこって……。
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