みんな襲われてるのに、どうやら俺は相手にされてないようだ。

鼻血の親分

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みんな襲われてるのに、どうやら俺は相手にされてないようだ。

1. 地球外生物

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 俺はパン工場に勤めて七年になる社畜だ。ちなみに彼女いない歴二十五年がそのままの年齢と思っていただきたい。ついでに最終学歴は高卒であることも付け加えておく。

 見た目は、そこそこ身長あるけれど猫背でいつも下を向いてるコミュ障の冴えない男と自己評価してる。そんな“ぼっち”な性格だから楽しくもない、ただキツいだけの工場へあえて出勤したくもなかった。なので操業停止による自宅待機はとても喜ばしくノンストレスな日常かと思いきや、実はそうでもないのだ。

 世界は地球外生物の脅威に晒されていた。

 エイリアンマァンティス……

 連日ニュースを賑やかしてる宇宙から飛来したカマキリのような巨大昆虫は人をかどわし殺害する。そして産卵を繰り返し地球上で増殖しているのだ。

 アパート二階の窓からも、時々ぶぅぅんと飛んでるマァンティスを目撃する。人類が滅亡するのは時間の問題だと思った。

 だけどこの未知の生命体、徐々に生態が明らかになってきた。胡散臭い専門家によると成人男性しか襲わないそうだ。女性を極端に嫌っており、子供・老人は見向きもしない。

 但し、敵意を見せると性別・年齢関係なく上空へ飛び立ち、尻尾から強酸性水溶液を吹っかけるので皮膚が爛れ大火傷してしまう。一般市民による攻撃・挑発は無謀な行為だった。かと言って今のところ有効な撃退方法は見つかっていない。自衛隊や警察が銃を乱射しても強力な羽でガードされ、ロケットランチャーでも効かないそうだ。また政府のお偉いさんが話合いを試みたけど意思疎通できないし、知能も不明。

 つまりお手上げなのだ。

「腹減った……」

 自宅待機一週間を過ぎて食料は底をついていた。知り合いも居ない俺に助けてくれる人は皆無だ。

 このままでは餓死が待っている。

「買い出し行かないと死ぬな」

 混乱した世の中だけど社会は完全にストップしてるわけではない。女性自衛官による警備の元、かろうじて食料・日用品が売られているのだ。

 俺は“二枚重ねマスク”で防御を整えた。マァンティスが男性を襲う際、先ずはピンクの毒霧を吹きかけ意識朦朧にした上で殺害すると専門家が言ってたのを思い出したからだ。抵抗しない限り、いきなりは襲ってこない。それが事実ならマスクでも無いよりかマシだろう。

「よし……行こうか」

 俺は震える手で扉を開け、久しぶりの外へ出た。
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