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そこのモンスター社員、今すぐ退職届を書きなさい!
第25話 品転⑦
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「伊集院!? お前、何のつもりだ? なぜ専務室に行かなくてはならない?」
「ふん。それはお前も分かってるだろ」
係長は後方の男性らに目で合図する。国税局の御方だと思ってたけど、よく見ると筋骨隆々の屈強な男性だ。その彼らがあっという間にマネージャーを取り押さえた。
「お、おい、何するんだ……離せ! こんなことしていいと思ってるのか!?」
その問いに係長は何も答えず、マネージャーを強引に連れてエレベーターに乗った。
八階で降りると、役員付き秘書が只事ではないと察知し慌てて駆け寄ったが、屈強な男性陣がそれを制す。
彼らは一体何者なのでしょう?
係長に聞きたい。けれどもそんな雰囲気ではなかった。そしてそのままノックもせず専務室の扉を開けた。
門前専務はこの状況に呆然と立ち尽くしていたが、やがて口を開く。
「……これは何の騒ぎかね?」
「あぁぁ、門前専務ぅぅぅ……」
「青葉、答えろ。なぜ捕まってる? 彼らは誰なんだ?」
そこへ伊集院係長が後方から前に出た。
「門前正照、ようやくお前を追い詰めることができて嬉しいよ」
係長の存在に気づいた専務は驚きを隠せない。
「い、伊集院!? どういうことだ!」
「説明してやる。先ずは……品転から行こうか」
「品転だと?」
「あぁ。耳に入ってると思うが、国税局は取引先の裏帳簿を確認した。そしてコイツが隠し持っていた領収書は我々が押収した」
「貴様は私が雇った人事労政Grの社員だよな? やってること分かってるのか?」
「ふん」
係長はマネージャーから奪った領収書の数々を半笑いで読み上げた。
「高級ゴルフクラブセット、旅行•温泉カタログギフト、大吟醸 七百二十ml桐箱入 ? 最高級霜降りサーロインステーキ約百八十g×三枚。何だこれは……イクラ 醤油漬け一kg、うなぎ長焼き詰め合わせ四種八枚入……どんだけ会社の金で自分にご褒美あげてんだ?」
し、信じられません。従業員五万人を超える大企業の役員がすることでしょうか?
「クッ、クククッ……それらは議員に配った贈答品だが、まぁいい」
「何に使おうが品転した事実は変わらない」
「ふふん……それにしてもまさか飼い犬に噛まれるとはな。貴様、やはり私を捕まえる目的で入社したのか?」
「そうだ。俺は背任罪を諦めてはいない。だがその前に、お前はとんでもない犯罪を犯した」
「たかだか品転だ。これくらいの脱税など大した罪にはならん。今度も議員に助けてもらうだけだが?」
「その大した罪にもならない脱税を隠すために、お前は俺の妹を……?」
門前専務から笑顔が消えたーー
「ふん。それはお前も分かってるだろ」
係長は後方の男性らに目で合図する。国税局の御方だと思ってたけど、よく見ると筋骨隆々の屈強な男性だ。その彼らがあっという間にマネージャーを取り押さえた。
「お、おい、何するんだ……離せ! こんなことしていいと思ってるのか!?」
その問いに係長は何も答えず、マネージャーを強引に連れてエレベーターに乗った。
八階で降りると、役員付き秘書が只事ではないと察知し慌てて駆け寄ったが、屈強な男性陣がそれを制す。
彼らは一体何者なのでしょう?
係長に聞きたい。けれどもそんな雰囲気ではなかった。そしてそのままノックもせず専務室の扉を開けた。
門前専務はこの状況に呆然と立ち尽くしていたが、やがて口を開く。
「……これは何の騒ぎかね?」
「あぁぁ、門前専務ぅぅぅ……」
「青葉、答えろ。なぜ捕まってる? 彼らは誰なんだ?」
そこへ伊集院係長が後方から前に出た。
「門前正照、ようやくお前を追い詰めることができて嬉しいよ」
係長の存在に気づいた専務は驚きを隠せない。
「い、伊集院!? どういうことだ!」
「説明してやる。先ずは……品転から行こうか」
「品転だと?」
「あぁ。耳に入ってると思うが、国税局は取引先の裏帳簿を確認した。そしてコイツが隠し持っていた領収書は我々が押収した」
「貴様は私が雇った人事労政Grの社員だよな? やってること分かってるのか?」
「ふん」
係長はマネージャーから奪った領収書の数々を半笑いで読み上げた。
「高級ゴルフクラブセット、旅行•温泉カタログギフト、大吟醸 七百二十ml桐箱入 ? 最高級霜降りサーロインステーキ約百八十g×三枚。何だこれは……イクラ 醤油漬け一kg、うなぎ長焼き詰め合わせ四種八枚入……どんだけ会社の金で自分にご褒美あげてんだ?」
し、信じられません。従業員五万人を超える大企業の役員がすることでしょうか?
「クッ、クククッ……それらは議員に配った贈答品だが、まぁいい」
「何に使おうが品転した事実は変わらない」
「ふふん……それにしてもまさか飼い犬に噛まれるとはな。貴様、やはり私を捕まえる目的で入社したのか?」
「そうだ。俺は背任罪を諦めてはいない。だがその前に、お前はとんでもない犯罪を犯した」
「たかだか品転だ。これくらいの脱税など大した罪にはならん。今度も議員に助けてもらうだけだが?」
「その大した罪にもならない脱税を隠すために、お前は俺の妹を……?」
門前専務から笑顔が消えたーー
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