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なるせ

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第 19 話

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« リリー視点 »







「 きゃーーーーー!!! 」




 ーーー今、何が起こりましたの?目の前には、憎い庶民の女。後ろには、私のお友達。そして、庶民の女のすぐ傍にいるのは誰?


見た事がないわ。こんな男性。黒い髪に真紅の瞳。真ん丸の目に、スっと通った鼻筋、艶かしいほどの赤さを持つ唇。今はまだ幼さがあり、中性的ではありますが、将来は物凄いイケメンになることは間違いないでしょう顔立ちの、この方。


 見た目は勿論ですけれど…彼の持つ雰囲気は周りの殿方とは全然違うのですわ…!なんて、お美しい…どこかの子息の方なのでしょうか?


っは!そんなことよりも、こんな美しい彼にワインを零した憎い女を罰しなければ…!!




「 女狐が、この国の貴族になにをしておるのですか!!! 」


「 う、あ…す、すみません…っ、今すぐ拭き… 」


「 そういう問題ではな… 」


「 …触れないで貰えるか。近寄るな。 」




 彼は、そうハッキリと女に告げた。私の婚約者の殿下も、殿下の騎士も、その女に優しくするだけだったのに。なのに、彼は…


そう彼は告げた筈なのに、まだ近寄ろうとする女。目に涙を浮かべ、守ってあげたくなるような顔をする。庶民だからって…!!調子乗らないで貰いたいわ…ッ!!!!


 私が女を止めようとしたその時、…パーティー会場の気温が一気に下がった。何が起こったのでしょうか…?女も流石に違和感を覚えたらしく、彼に触れようとする手は止まっております。


けれど。止まったと思ったのは一瞬。服が冷えたら困るから、等と戯言を申しながらさらに彼との距離を詰めようとしている。そんなの、許せないわ。


私の、魔法…味合わせてあげましょうか。そう思った瞬間ーーー




「 …ッ、近、寄るなと言ったのが分からないのか…ッ。 」


「 ヒッ、こ、氷…が…! 」




 目の前の光景は、信じられないようなものだった。女の首元に向けられる鋭利な氷。彼があと少しでも動かせばこの女に命はないでしょう。


 なんと…!彼は氷の魔法を使えるのですか…!この国では、数ある魔導師の中から選ばれた王国魔導師でさえ、氷属性の者は一人しかいないと聞きます。


容姿、雰囲気、魔法、魔法のコントロールも一流…こんなにも全てが揃った人がいるとは思いもしませんでしたわ。…下手したら、殿下よりも…




「 …これ以上、私の主に危害を与えるつもりならば、、、容赦はしませんが。 」


「 アルフ様はこちらへどうそ。ここはレイに任せて行きましょう。 」




 皆が息を飲む中、彼らに近寄ったのは2人の男性。一人は、彼と同じぐらいの身長ながら、有り得ないような威圧感を持っている、銀髪にアメジストの瞳を持つ、顔が整った人。


もう一人は、、、あら、、?まさか、若くして王直属部隊に選ばれたというルーシュ様、、?ルーシュ様といえば、アヴィ兄様の騎士では、、、?


なら、彼はいったい誰なの、、、?




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