テンプレ乙とか言わないでください()

なるせ

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第 17 話

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「 …ッおえ、…くッ… 」




 何故、こんな事になっているのだろうかーー。


目の前に広がるのは、学園とは思えない煌びやかな光景。新入生は制服だが、上級生はドレスや正装を着用している。


レイからパーティーと聞いていた時から嫌な予感はしていたんだ。パーティーなんて行ったら俺が死ぬ。もう、ほぼ瀕死の状態だが。


けれど、出なければいけないのは分かっていたし、隅の方で何か食べ物を食べる位したらすぐに帰ろうと思っていたのに。


な ん な ん だ 、 こ の に お い は ! ! ! !


恐らく、香水の匂いなんだろうが、臭い。恐ろしく臭い。今、食べ物なんか胃の中に入れたら、一瞬でリバースする自信しかない。


胃に何も入っていないはずなのにもう吐きそうだし。ここで誰かに近寄られてみろ。俺はすぐさまリバースし、ぶっ倒れ、学園にもう行けなくなる。


神様から魔王を倒す試練を与えられている身としては、ヒロイン達の行動は一応把握しておかなければならない。


隼人ならいつ魔王退治に向かうのか、どんなことが起こるのか分かっていただろうがーー、


俺は知らん。そんなもん。勝手にヒロイン達に魔王退治に行かれては困る。だから、学園には一応通っておきたい。


あ"ーーー。もう何でもいい。この匂いどうにか出来ないのか。人目を考えなくていいなら、今すぐ俺の後ろに控えてるレイかルーシュの肩に顔をうずめたい。が、流石にそれは出来ない。


帰るにも、さっきルーシュから聞いたが、パーティーが終わるまで馬車は来ないそうだ。俺一人なら魔法で寮に帰るなど容易いことだが、流石にレイとルーシュを置いてはいけない。


…あっれぇ。これ詰んでね?




「 …はぁ…おい、ルーシュ、 」


「 はい。どうされましたか? 」


「 コレが終わるまであとどれくらいだ? 」


「 ざっと…一時間程度かと。その後は各自で、ということになっておりますが、婚約者を探すことに使われるかと思われます。 」




 最悪。一時間…絶対に持たない。無理だ無理。


…端にあるソファに座っている俺は眉間に皺を寄せ、さぞ近寄り難い雰囲気を出していることだろう。まあ、近寄られたくないんだけど。


そんな雰囲気を醸し出しているにも関わらずチラチラこっちを見てくる令嬢達。見るな。俺は絶対お前らとは結婚出来ないし、結婚どころか近寄ることさえ不可能だ。


…レイは勿論、ルーシュもかなり近寄れる存在だったことは今日、ここに来て初めて知った。この匂いの中にいるぐらいならルーシュの肩の方がマシだ、と思えた自分に驚きだ。


…グチグチ言っても仕方ない、か。こうなったら魔法で嗅覚を一時的に失わせ、ヒロイン達の観察でもしておこう…。




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