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なるせ

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第 5 話

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アヴィ視点



…俺の弟…アルフはあんなに綺麗に泣く奴だったか?

アルフは気持ち悪い泣き方をするやつだった。
泣いているのをわざと見せつけるような、そんな奴じゃなかったか?

なのに。


挙句の果てには泣き顔を見せたくない?

ルーシュの言っていたことは本当だったんだな…
高熱を出して寝込んでいたのは知ってた。

けど、見舞いに行く気にもならなかったし、
そもそも、ずっと会いに行っていなかった。

アルフが俺に会いに来ない限り俺はアルフと会うことがないんだ。…けど、今回は会いに来なかった。

本当にあったのか?
いや、寝込んでいたのだから、何かある訳がない。

だけど、なんだ?この感じは。

…ルーシュがアルフと似ていると言った時は耳を疑ったが、ルーシュの言っていた意味が何となくわかる。

ああ…そういや、リリーはどうしたのだろうか?
アルフとリリーは会ったことがないから俺以外に兄弟がいることは知らないはず。

リリーも随分な我儘な奴だ。そして性格も悪い。
アルフはリリーよりは意地悪くない。

我儘だが、アルフは性格が悪い訳では無い…まあ、アルフとリリーが会っていたら性格も悪くなっていたような気もするが。

そういや、来月からあの二人も学園へ通うのか。
問題だけは起こさなければいいが…

アルフに至っては婚約者も決めなければいけない。
本人がそれを望むかどうか分からないが、あの子は次男だ。

私にそれ相応の婚約者がいる限り、結婚したくないのならしなくてもいい。ということになってはいるが…

私にも良い婚約者がいかんせんいないのだ。
やはり、家を継ぐにはアルフに結婚してもらうほかないな

この国では、男同士の結婚は勿論、あまり勧められてはいないが、身内での結婚もできる。

子を身篭ることが出来る男があまり…というか、ほぼいないので、貴族には少ない話だ。

側室程度なら男がいるのは聞いたことがあるが。

…って、俺は何を考えているのだ。
俺がアルフと?…冗談じゃない。




コンコンッ




「ルーシュか?」


「あ、あの、兄様…俺です…アルフです…ぐすっ、」


「アルフ?…どうしたんだ、急に。」




…やっぱり変わってないか。
さっきのはやっぱり見間違えだった…?




「っふ、ぐずっ、…身体、に、…変な…」



「?…分からないから入ってこい。特別だからな。」



「…兄様ぁ…これ、これ…」




ブブッ!!!!!
なんでこいつは胸を俺に見せてくるんだ!?

前でもそんなことはしなかったぞ!?




「ど、どうしたんだ!それを早くしまえ!」



「違う、んで、す…変な、痣、が…」




ピク…

変な痣だと?胸に?…もしかして、あの印か?

確か…薔薇の花だったよな…?
薄いか濃いかでより適正が見られる、というのを聞いたことがある。




「…これ、病気か、なんかなんですか?」



「見せてみろ」




…?




「なんでお前が離れていくんだ?」



「え、いや、あの、…すいません」




…かなりくっきりと…薔薇の花が…
こいつが…?




「安心しろ…って、アルフ!?どうした?!」




倒れ…?!





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