神々に育てられた人の子は最強です

Solar

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クラスメイトは2

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「なぁなぁ、聞いたかあの話」
「あぁ、あれだろ?魔物の大行進モンスターパレードを一瞬で終わらせたっていう」
「それマジだったらすごくね!」

 私たちは今日は珍しく訓練が休みになり、帝国の街を歩いていた。
 隣には雫ちゃんと花蓮先生がいる。何でも、花蓮先生は神夜と特に仲が良かった私たちが悲しんでいるんじゃないかと思って、少しでも悲しませないためにと最近一緒にいることが多い。

「さっきから何か話してるけど、どうしたのかな?」
「わからないけど、他所の国ですごく強い人が現れたって言っている気がする」
「どこで聞いたんですか、雫さん!」
「いや、ただ周りの人が言っていることを繋げただけですよ、先生」

 そう言えば歩いている最中、同じ話を耳にする。

「まぁ、ちゃんとしたことはお城に戻ってから騎士さんに聞こ?」
「そうだね、愛菜」

 それから3人でいろいろな店に行った。この国の人は私たちが召喚された勇者だと知っている。ついこの間、皇帝様が公にしたからだ。
 そのおかけでどんな店に行っても何かが無料でついてきたり、いろんな人が話しかけてくる。

「勇者様ー、頑張ってくださいー」
「勇者様は容姿まで優れているなー」

 街を歩くだけで、そんな声が飛んでくる。流石に私たちは少し照れくさくなった。でも、そんな中視線を感じることも増えた。時々じゃない。ずっと、まるで監視されてるかのように思える。
 まっ、そんなことはいいかっ。神夜くんは見守っているって言っていた。神夜くんの言葉なら信じれる。
 そう考えて、頭を切り替えて雫ちゃんと先生と街を楽しむことにした。

「おおー勇者様、ちょっとこっちに寄ってくれー」

 一人のおじさんが私たちを呼んだ。なので行ってみたら、アイテム売り場だろうか。色々な物が置いてある。

「勇者様、うちのアイテムを見ていってください」
「アイテム?」
「アイテムってのは、今勇者様たちが腕に付けているやつとかの事だよ。それを付けていると何かしらの効果があるものを言うんだ」

 おじさんは「例えば」と、呟いて店に置いてある一つの物を手に取った。
 それは周りにキラキラした宝石を埋め込んだブローチだった。

「このブローチは一度だけ致命傷を代わりに受けてくれるんだよ」

 おじさんの言葉に私たちはへぇ~、と言って返した。ここは異世界、魔法があるんだからそれぐらいのことができる道具はあるだろう。それに神夜くんはもっとすごい魔法を使っていたからあまり驚かない。
 それは雫ちゃんも同じの様子。先生は子供のように目を輝かせている。

「これを無料でやるよ、勇者様」
「む、無料だなんて!ダメです、頂けません!!」

 先生は無料という言葉に動揺しながら、必死に断っている。
 私も無料という言葉に欲しいという感情が現れたが、何故か胸の奥がモヤモヤしてダメだ、と思ってしまった。
 隣を見ると、雫ちゃんは胸を抑え嫌そうな顔をしている。

「ごめんなさい、おじさん。私たち行く場所あるから」
「そうかぁ、また寄ってきてくれよな」

 そう言っておじさんは笑顔で手を振ってるくれた。

◇◆◇◆◇◆◇◆

 勇者が去った後、店主のふりをしていた俺は奥の部屋に向かった。

「すみません、勇者にブローチを渡すことに失敗しました」
『よい、今度は別の勇者を狙うのじゃ』
「了解しました、皇帝様」

 鏡に写っていたこの帝国のトップ、ローゼス様の前で跪き頭を下げる。そしてローゼス様が写っていた鏡は黒くなっていき、皇帝様の姿は消えた。

「む~!む~!」
「うるさいなぁ、店主」

 目の前でこの店の店主の男が、腕を柱に結ばれ口に布を巻かれ喋れない状態でもがいている。
 なにか喋りたがっているようなので口の布を取ってやった。

「貴様、何をする!これが騎士のやることか!それにさっき勇者に渡そうとしたのは【アイテム効果補正】のブローチで、腕に付けているのは【隷属の腕輪】でわないか!」

 そう、俺は騎士だ。普通騎士は民を守り、国を守る存在。だが、この際仕方がない、何故なら……

「わりぃな、これは皇帝様の命令なんでな。それに腕輪のことがバレたらあんまり良くねぇなぁ。これは秘密の案件なんだ」

 そう言って俺はニヤリと顔を歪め店主にこう言った。

「二階にいるあんたの奥さんって、美人だよなぁ」
「そ、それがどうした………。まっ、まさか……」

 店主の顔が青白くなってく。俺の考えていることがわかったようだ。

「あんたの奥さんを、俺が食って俺専用のとのにしてもいいよなぁ」
「ふっ、ふざけるな!!」
「この国では、皇帝様が絶対。俺はその皇帝様の命令でやってきて、内容は勇者にあのブローチを渡すこと。民に手を出してはいけないが、バレなければいい話だ」

 店主の顔は怒りに染まり、フー、フー、と息が荒れている。

「おっ、勇者だ。ちょっと黙ってろよ、ちゃんとあんたの奥さんは可愛がってあげるからよ」

 俺はまた店主の口に布を巻き付け、店のカウンターに立った。

◇◆◇◆◇◆◇◆

 昼食を3人で食べ終え、少し国を出て魔法の練習や、剣の練習をしてるうちに夕方になったので城に戻った。
 なので、街で噂になっていた話を近くにいた二人の騎士さんに聞いてみた。

「あっ、勇者パーティーの方ですか」

 騎士さんはそう言った。
 勇者パーティーとは、勇者に続く強者が集められたパーティーだ。その中には、聖女である私、姫宮愛菜と剣姫の星乃雫ちゃん、秋山くんの友達で、重戦士の田中龍也くん、そして双剣士で、少し気弱な男の子の木村賢也くん、この五人が勇者パーティーだ。

「ああ、あれは本当らしいですよ」
「なんかすごい二つ名がついてたし」
「どんなんですか?」
「たしか、『覇王』」

 その理由を聞いてみると、|魔物の大行進(モンスターパレード)を終わらすとき、一歩も動かず威圧に近いもので倒し、その後ろ姿がそのように見えたかららしい。

「しかもその人、全身黒の装備で結構イケメンらしいし」
「それと、|魔物の大行進(モンスターパレード)を終わらしたから、王様が推薦状だしてEX冒険者になったらしい」

 私たちは話を聞き終わり、騎士さんに「ありがとうございます」と手を振って去った。
 そして練習をした為、汗をかいたので風呂場に向かおうとした。
すると、ある声が聞こえた。

「いやぁ~、今日もちゃんと動けたな!」
「ああ、ちょっと傷ついたがこの調子でレベルアップして強くならないとな」

 その声は、勇者の称号を持つ秋山光輝とその友達の田中くんだった。その体には少し血が流れていた。
 それを見た先生が急いで秋山くん達に駆け寄った。

「あなた達!どこに行っていたんですか!」
「いや、ただダンジョンに行ってレベル上げを」
「騎士さんと一緒に行かず、自分たちだけでですか!」
「はい」

 二人は先生が怒っている姿を見て、少し呆然としている。それもそうだろう、いつもぽわぽわした空気を纏っていた先生が大きな声を上げ、怒っているのだ。
 先生の説教の声が城に響き、中にいたクラスメイトが集まってくる。
 先生は私の方を向き「治癒魔法をかけてください」と言ってきたので、秋山くんと田中くんに治癒魔法をかける。
 訓練で練習していたため、今は治癒魔法がレベル2に上がっている。そのため、少しの傷だった二人の傷はすぐに癒えた。
 その後、数分間の間二人は先生に叱られていた。そして説教が終わったあと、最後に先生は一言いっていた。

「あなた達、これからダンジョンに行く時はちゃんと騎士さんと一緒に行ってください。もう自分の生徒が死ぬなんて事は嫌ですから。それに秋山くんは勇者なんですから、もっと自分を大切にしてください。あなた達は……大事な……生徒なんですから……」

 そう言うと、私たちの方に戻ってきて「さぁ、お風呂に行きましょう」と私と雫ちゃんの手を引き歩き出した。
 あの時の先生の目には、涙が薄らと浮かんでいた。たぶん、「もう自分の生徒が死ぬなんて」のことは、神夜くんのことだったんだろう。

 そしてお風呂が終わり、私たちは自分の部屋に戻って、眠りに着くのだった。
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