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02夏休みの出来事
114の鍵事件04
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そして十分後、着替え終わった俺たちは三宮造船の高級車で商店街目指して走っていた。エンジン音がほとんどせず、上下の揺れも少ない。冷房もキンキンに効いていて、快適なドライブだった。
純架は奈緒をなだめすかそうと説得を試みる。
「どうせ瑞穂君が名乗り出てくれたんだ。彼女の家で兄の帰りを待った方が楽だよ」
奈緒は毅然とした態度で部長に反抗した。その瞳は憤怒で燃え盛っている。
「この怒りは当事者でないと分からないわ。私は今すぐにでも奥山弘一をとっ捕まえたいのよ」
純架は聞き分けのない奈緒に、諦めたように肩をすくめた。二人の会話で瑞穂が更に縮こまっている。
「ごめんなさい……」
奈緒は無理矢理笑顔を作った。完成されたそれはやはりぎこちない。
「いいのよ瑞穂ちゃんは。計画に加担したのはあれだけど、ちゃんと名乗り出てきてくれたし。君に対してはもう怒ってないわ」
英二が後部座席で寝息を立てている。隣に座る結城の肩に頭を預けていた。結城はまるで聖母のように、その様を柔らかく見つめている。
純架がスマホをいじっていた。
「この辺のパチンコ屋といったら商店街の『スターライト』だけだね。まだ無一文になってないなら、奥山は悠々打っているはずだ。あんまり大勢で行くのもなんだし、英二君は疲れているようだから、僕と飯田さん、楼路君、瑞穂君の四人で行こう」
「到着しました」
車が滑らかに停止する。座り心地のいい椅子から未練たらたら腰を浮かすと、俺たちはアーケード街に向かって歩き始めた。
茹で上げられるのかと思うほど暑いせいか、パチンコ『スターライト』の涼しい店内はまさにオアシスだった。かいた汗が急速に冷却されていく。
店内は騒々しいマシンの音と、客を煽る甲高いアナウンスとでうるさかった。超満員で、盤面を凝視する客たちは黙々と玉の行方を追っている。銀玉の入った入れ物をホクホク顔で運ぶ人もいれば、札を崩して次の玉を用意する人、金がなくなって悪態をつきつつ出口へ向かう人もいた。
純架が瑞穂の耳に口を近づけて怒鳴った。それぐらいしないと聞こえないほど騒がしいのである。
「瑞穂君、兄を見かけたら教えてくれたまえ」
弘一の顔を知っているのは瑞穂だけだ。瑞穂はうなずくと、狭い店内を縦列で進んでいった。俺はパチンコ屋という非日常空間に少し怯んでいた。無言でついてくる奈緒もそうなのか、口数はめっきり減っている。
最初の列は空振りだった。俺たちは反転し、次の列に進んでいく。だがこれにも瑞穂の兄の姿はなかったようだ。
やはり既に散財し、店を出てしまったのか。それとも、最初からパチンコ屋には行かなかったのか。諦めムードが漂う。
「いた! 兄です!」
突如瑞穂が腕を持ち上げて指差した。その先に、サングラスをかけてパチンコを打つ少年の姿があった。茶髪を浅く刈り、耳からは銀のイヤリングを垂らしている。肩や腕は剥き出され、浅黒い肌を露わにしていた。
俺たち四人は他の客にぶつからないよう慎重に、弘一の側まで進んだ。気配を察したか、それとも俺たちの姿がガラスに映ったか、弘一がこちらに振り返る。
「あれ、瑞穂じゃねえか。……誰だ、お前ら」
浮ついた、軽い口調だった。奈緒の髪の毛が若干逆立つ。
「お前ら、じゃないでしょう! 返しなさいよ、3万円!」
奈緒の怒りに満ちた表情とこの台詞とで、弘一は明敏にも事態を悟ったらしい。パチンコを打つ手を止め、しょうがなさそうに頭を掻いた。
「裏切ったのか、瑞穂」
烈火のごとく怒るかと思いきや、弘一はどこまでも軽かった。
「まあしょうがねえか。こうなることも考えなかったわけじゃない」
よくよく見れば、弘一の足元にはパチンコの銀玉が一杯に詰まったケースが四つも並んでいる。そんな俺の視線に気付いたか、弘一は白い歯を輝かせた。
「すげえだろ。今日は俺、調子いいんだ」
自分の財布を取り出し、中から一万円札を数枚抜き取ると、こちらに向かって差し出した。
「ほら、返すぜ。もういいだろ。さっさと失せな。俺はまだまだ稼ぐつもりなんだからな」
純架は弘一の軽さに心底呆れていた。腰に手を当てて、鎖骨に顎をつける。
「どういう神経してるんだい、君は」
奈緒がスマホを手にし、番号をプッシュした。掛ける先は決まっている。
「警察呼ぶわ。信じらんない、この兄貴」
「わ、分かった分かった」
弘一がさすがに慌てた。パチンコは高校生がやった場合補導の対象となるのだ。そうなれば色々面倒なことになり、何より買った金を取られることになりかねない。
「今すぐやめて換金するからよ、そしたら謝るから。な? 警察だけは勘弁してくれ」
結局弘一は6万も勝ったらしい。ほくほく顔の彼はしかし、店を出ると奈緒の雷鳴にすくみあがった。
「さあ、3万円返しなさいよ! この最低の泥棒!」
「たはは、悪い。ほれ、この通り」
奈緒は弘一が差し出した一万円札3枚を引ったくった。自分の財布にしまい込む。
「で、土下座よ。当然ながら。ほら、早く!」
弘一は躊躇するかと思いきや、アーケードの片隅でうずくまり、額を地面にこすりつけた。羞恥心をかなぐり捨てている。
「申し訳ありませんでした!」
周囲の視線が集中するのが知覚された。これは土下座するものよりされるものの方が恥ずかしい。奈緒は顔を真っ赤にして弘一の後頭部を睨みつけた。
瑞穂がかばうように兄の背中に手を載せ、奈緒を見上げる。奉行所でお裁きを受けているような体勢だ。
「馬鹿な兄をお許しください、飯田さん。お願いします」
純架も俺もうなだれた。愚兄賢妹の生きた見本にやりきれなさを感じる。奈緒が長く息を吐いた。彼女は斬撃を浴びせるように問いかける。
「もう二度とこんな真似しない?」
弘一は土下座の姿勢のまま額を地面に擦り付けた。
「はい、決して……!」
奈緒はまだ視線の刃で切り刻んでいたが、ふっと肩の力を抜いてそれをやめた。
「……分かったわ。もういいわ、頭を上げて」
弘一が上体を起こす。その卑屈な笑顔に、俺は目を閉じたくなった。
「許してくれるので?」
「まあね。……妹さんが可哀想だし」
「ありがとう!」
弘一は控え目に叫ぶと、立ち上がって、改めて頭を下げた。上げた面は緩んでいる。そして、再びパチンコ屋に舞い戻ろうと歩き出した。奈緒が瞠目する。
「え? またパチンコやる気なの?」
弘一はこちらに肩越しに振り向き、親指を立てて莞爾と笑った。
「今の俺はついてる! 今日は負ける気がしないんだ。じゃあな、お前ら!」
そしていそいそと店内に入っていった。取り残された俺たちは、しばし呆然と立ち尽くしていた。
車に戻ってことの次第を報告する。冷房の効いた車内で、日向も結城も、寝起きの英二も、犯人の軽さに驚きを隠せなかった。
「やっぱり警察に来てもらったほうが良かったんじゃないですか?」
奈緒は低くうなった後、日向の意見に半分賛成した。
「まあ、そうなんだけど。瑞穂ちゃんが気の毒で、ちょっとためらっちゃったんだ」
純架は微苦笑した。思慮深げに腕を組んで椅子に沈む。
「それにしても奥山の良心の欠乏は、その妹・瑞穂君の良心の豊富と正反対だね。同じ家に育っておきながらこうも違うとは驚きだよ」
英二は足を組んで的確に指摘した。
「親の教育の良し悪しだけじゃない。人生に早熟なのは妹の方だったってことだ」
俺は英二と交わした会話を思い出す。彼は自分に仕える結城を当然のことのように考えていた。思わず言ってやる。
「英二、お前がそれ言うなよ。菅野さんに感謝したこともないくせに」
俺の注意に英二は胸を張って言い返した。その顔は生徒を諭す塾講師のようだ。
「それが主従の関係というものだ。お前はそれが分かっていないだけだ。いい加減理解するんだな。なあ結城?」
結城は心持ち頭を下げた。薄っすら笑みさえ浮かべている。
「はい、英二様。朱雀さん、私のことはお気になさらず」
うーん、何か悔しい。
純架が左右の五指をつき合わせて、今回の一件をまとめようとする。
「まあ蓋然性は低いけど、奥山が心を改めてくれることを願うよ。瑞穂君のいい兄さんとしてね。それが何より大事なことだと僕は思う」
俺は口の端を吊り上げた。美男子をからかう。
「いい兄貴だな、お前は」
愛が素直に育った陰には、きっと純架の教育の成果も隠れているのだろう。ただ奇行癖のある純架だ。素直に鑑としてか、それとも反面教師としてかは分からない。何にしても、その良心は妹の学ぶところであるはずだ。
純架はまばたきした。困惑気味に口を開く。
「何だい、褒めてるのかい?」
「たまにはな」
奈緒が手を叩いた。事件が一件落着して陽気さを取り戻している。
「今回は奥山の馬鹿のおかげで尻すぼみになっちゃった。『探偵部』として、またどこかへ泳ぎに行こうよ。どう?」
「賛成!」
俺たちはまだまだ続く夏に、遊ぶ気満々で拳を上げるのだった。
純架は奈緒をなだめすかそうと説得を試みる。
「どうせ瑞穂君が名乗り出てくれたんだ。彼女の家で兄の帰りを待った方が楽だよ」
奈緒は毅然とした態度で部長に反抗した。その瞳は憤怒で燃え盛っている。
「この怒りは当事者でないと分からないわ。私は今すぐにでも奥山弘一をとっ捕まえたいのよ」
純架は聞き分けのない奈緒に、諦めたように肩をすくめた。二人の会話で瑞穂が更に縮こまっている。
「ごめんなさい……」
奈緒は無理矢理笑顔を作った。完成されたそれはやはりぎこちない。
「いいのよ瑞穂ちゃんは。計画に加担したのはあれだけど、ちゃんと名乗り出てきてくれたし。君に対してはもう怒ってないわ」
英二が後部座席で寝息を立てている。隣に座る結城の肩に頭を預けていた。結城はまるで聖母のように、その様を柔らかく見つめている。
純架がスマホをいじっていた。
「この辺のパチンコ屋といったら商店街の『スターライト』だけだね。まだ無一文になってないなら、奥山は悠々打っているはずだ。あんまり大勢で行くのもなんだし、英二君は疲れているようだから、僕と飯田さん、楼路君、瑞穂君の四人で行こう」
「到着しました」
車が滑らかに停止する。座り心地のいい椅子から未練たらたら腰を浮かすと、俺たちはアーケード街に向かって歩き始めた。
茹で上げられるのかと思うほど暑いせいか、パチンコ『スターライト』の涼しい店内はまさにオアシスだった。かいた汗が急速に冷却されていく。
店内は騒々しいマシンの音と、客を煽る甲高いアナウンスとでうるさかった。超満員で、盤面を凝視する客たちは黙々と玉の行方を追っている。銀玉の入った入れ物をホクホク顔で運ぶ人もいれば、札を崩して次の玉を用意する人、金がなくなって悪態をつきつつ出口へ向かう人もいた。
純架が瑞穂の耳に口を近づけて怒鳴った。それぐらいしないと聞こえないほど騒がしいのである。
「瑞穂君、兄を見かけたら教えてくれたまえ」
弘一の顔を知っているのは瑞穂だけだ。瑞穂はうなずくと、狭い店内を縦列で進んでいった。俺はパチンコ屋という非日常空間に少し怯んでいた。無言でついてくる奈緒もそうなのか、口数はめっきり減っている。
最初の列は空振りだった。俺たちは反転し、次の列に進んでいく。だがこれにも瑞穂の兄の姿はなかったようだ。
やはり既に散財し、店を出てしまったのか。それとも、最初からパチンコ屋には行かなかったのか。諦めムードが漂う。
「いた! 兄です!」
突如瑞穂が腕を持ち上げて指差した。その先に、サングラスをかけてパチンコを打つ少年の姿があった。茶髪を浅く刈り、耳からは銀のイヤリングを垂らしている。肩や腕は剥き出され、浅黒い肌を露わにしていた。
俺たち四人は他の客にぶつからないよう慎重に、弘一の側まで進んだ。気配を察したか、それとも俺たちの姿がガラスに映ったか、弘一がこちらに振り返る。
「あれ、瑞穂じゃねえか。……誰だ、お前ら」
浮ついた、軽い口調だった。奈緒の髪の毛が若干逆立つ。
「お前ら、じゃないでしょう! 返しなさいよ、3万円!」
奈緒の怒りに満ちた表情とこの台詞とで、弘一は明敏にも事態を悟ったらしい。パチンコを打つ手を止め、しょうがなさそうに頭を掻いた。
「裏切ったのか、瑞穂」
烈火のごとく怒るかと思いきや、弘一はどこまでも軽かった。
「まあしょうがねえか。こうなることも考えなかったわけじゃない」
よくよく見れば、弘一の足元にはパチンコの銀玉が一杯に詰まったケースが四つも並んでいる。そんな俺の視線に気付いたか、弘一は白い歯を輝かせた。
「すげえだろ。今日は俺、調子いいんだ」
自分の財布を取り出し、中から一万円札を数枚抜き取ると、こちらに向かって差し出した。
「ほら、返すぜ。もういいだろ。さっさと失せな。俺はまだまだ稼ぐつもりなんだからな」
純架は弘一の軽さに心底呆れていた。腰に手を当てて、鎖骨に顎をつける。
「どういう神経してるんだい、君は」
奈緒がスマホを手にし、番号をプッシュした。掛ける先は決まっている。
「警察呼ぶわ。信じらんない、この兄貴」
「わ、分かった分かった」
弘一がさすがに慌てた。パチンコは高校生がやった場合補導の対象となるのだ。そうなれば色々面倒なことになり、何より買った金を取られることになりかねない。
「今すぐやめて換金するからよ、そしたら謝るから。な? 警察だけは勘弁してくれ」
結局弘一は6万も勝ったらしい。ほくほく顔の彼はしかし、店を出ると奈緒の雷鳴にすくみあがった。
「さあ、3万円返しなさいよ! この最低の泥棒!」
「たはは、悪い。ほれ、この通り」
奈緒は弘一が差し出した一万円札3枚を引ったくった。自分の財布にしまい込む。
「で、土下座よ。当然ながら。ほら、早く!」
弘一は躊躇するかと思いきや、アーケードの片隅でうずくまり、額を地面にこすりつけた。羞恥心をかなぐり捨てている。
「申し訳ありませんでした!」
周囲の視線が集中するのが知覚された。これは土下座するものよりされるものの方が恥ずかしい。奈緒は顔を真っ赤にして弘一の後頭部を睨みつけた。
瑞穂がかばうように兄の背中に手を載せ、奈緒を見上げる。奉行所でお裁きを受けているような体勢だ。
「馬鹿な兄をお許しください、飯田さん。お願いします」
純架も俺もうなだれた。愚兄賢妹の生きた見本にやりきれなさを感じる。奈緒が長く息を吐いた。彼女は斬撃を浴びせるように問いかける。
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弘一は土下座の姿勢のまま額を地面に擦り付けた。
「はい、決して……!」
奈緒はまだ視線の刃で切り刻んでいたが、ふっと肩の力を抜いてそれをやめた。
「……分かったわ。もういいわ、頭を上げて」
弘一が上体を起こす。その卑屈な笑顔に、俺は目を閉じたくなった。
「許してくれるので?」
「まあね。……妹さんが可哀想だし」
「ありがとう!」
弘一は控え目に叫ぶと、立ち上がって、改めて頭を下げた。上げた面は緩んでいる。そして、再びパチンコ屋に舞い戻ろうと歩き出した。奈緒が瞠目する。
「え? またパチンコやる気なの?」
弘一はこちらに肩越しに振り向き、親指を立てて莞爾と笑った。
「今の俺はついてる! 今日は負ける気がしないんだ。じゃあな、お前ら!」
そしていそいそと店内に入っていった。取り残された俺たちは、しばし呆然と立ち尽くしていた。
車に戻ってことの次第を報告する。冷房の効いた車内で、日向も結城も、寝起きの英二も、犯人の軽さに驚きを隠せなかった。
「やっぱり警察に来てもらったほうが良かったんじゃないですか?」
奈緒は低くうなった後、日向の意見に半分賛成した。
「まあ、そうなんだけど。瑞穂ちゃんが気の毒で、ちょっとためらっちゃったんだ」
純架は微苦笑した。思慮深げに腕を組んで椅子に沈む。
「それにしても奥山の良心の欠乏は、その妹・瑞穂君の良心の豊富と正反対だね。同じ家に育っておきながらこうも違うとは驚きだよ」
英二は足を組んで的確に指摘した。
「親の教育の良し悪しだけじゃない。人生に早熟なのは妹の方だったってことだ」
俺は英二と交わした会話を思い出す。彼は自分に仕える結城を当然のことのように考えていた。思わず言ってやる。
「英二、お前がそれ言うなよ。菅野さんに感謝したこともないくせに」
俺の注意に英二は胸を張って言い返した。その顔は生徒を諭す塾講師のようだ。
「それが主従の関係というものだ。お前はそれが分かっていないだけだ。いい加減理解するんだな。なあ結城?」
結城は心持ち頭を下げた。薄っすら笑みさえ浮かべている。
「はい、英二様。朱雀さん、私のことはお気になさらず」
うーん、何か悔しい。
純架が左右の五指をつき合わせて、今回の一件をまとめようとする。
「まあ蓋然性は低いけど、奥山が心を改めてくれることを願うよ。瑞穂君のいい兄さんとしてね。それが何より大事なことだと僕は思う」
俺は口の端を吊り上げた。美男子をからかう。
「いい兄貴だな、お前は」
愛が素直に育った陰には、きっと純架の教育の成果も隠れているのだろう。ただ奇行癖のある純架だ。素直に鑑としてか、それとも反面教師としてかは分からない。何にしても、その良心は妹の学ぶところであるはずだ。
純架はまばたきした。困惑気味に口を開く。
「何だい、褒めてるのかい?」
「たまにはな」
奈緒が手を叩いた。事件が一件落着して陽気さを取り戻している。
「今回は奥山の馬鹿のおかげで尻すぼみになっちゃった。『探偵部』として、またどこかへ泳ぎに行こうよ。どう?」
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