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02夏休みの出来事
夏祭りの偶像事件03
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その本城が、今日ついに、純架を夏祭りに同行したいと言ってきてくれたのだ。
純架は新品の灰色の浴衣に袖を通し、うきうきと待ち合わせをした。そしてマネージャーの車で来た本城と落ち合い、『ウルトラさん』のお面をつけた彼と一緒に夏祭りに繰り出したという。だが余りの人混みと、純架より速すぎる本城の足とで、早々にはぐれてしまったそうだ。
あいにくスマホは繋がりにくい状態が続き、連絡も取れない。純架は仕方なく、それ以後、祭りを楽しみながら本城を捜していたという。
花火の閃光で明滅する視界をよそに、日向は口を尖らせた。軽い苛立ちが舌に乗り、重いつぶてとなって部長の鼻っ柱を叩く。
「なんで桐木さん、本城さんの友達だって教えてくださらなかったんですか? 私が本城さんのファンだってこと、ご存知だったでしょうに」
純架は日向が首からぶら下げているデジタルカメラを指差し、「キャメラ、キャメラ」とのたまった。
確かにアッコさんはそう呼ぶ。
「僕らは友達じゃないよ。よくて知り合いさ」
「向こうは、本城さんは友達だと思ってますよ」
純架の頬を自嘲の影が滑り落ちる。彼らしくもなく気落ちしているようだった。
「さっき本城君と少し会話したけど、彼は僕を護衛として使ってみたかったようなんだ。友達だなんてこれっぽっちも思ってなさそうだよ。まあ僕も期待してなかったからがっかりはしなかったけどね」
「そんな……」
純架は俺たちを人だかりの中から少し空いている道端に誘導した。河岸の凄まじい密集地帯から外れると、ようやく声も聞き取りやすくなる。様々な人が夜空のショーを楽しんでいる中、純架は咳払いして改まった。
「さて、花火が始まって明るくなった。これなら『ウルトラさん』の仮面をつけてる本城君も捜しやすいってものだね。せっかく出会ったんだ、君たちも人捜しに協力してくれたまえ」
俺は疑念を呈する。何だ、すっかり『探偵部』の活動じゃないか、と思いながら……
「それはいいけど、この夏祭りの人出の中で本城を見つけるなんて無理だろ。雲を掴むような話だ」
「そうでもないさ」
純架は綿飴を舐めつつ推測を語りだした。
「多分本城君も僕を捜しながら祭りを楽しんでいると思う。もし本城隆明だとばれたら、サインや写真をせがむ客たちに囲まれて身動きが取れなくなってしまうからね。だからお面は付けたまま、あくまで『ウルトラさん』のお面の少年として行動しているはずさ。……僕はそう睨んで、花火にうっかり見とれるまでは真面目に捜していたんだ」
嘘付け、金魚すくいや射的屋で遊んでたくせに。俺はそんな不満を押し殺した。
「ただ花火が上がり始めて、彼はこう考えたはずさ。『お面の穴越しに見るなんて味気ない』とね。そこで彼はお面を外して堂々と花火を満喫できるような、ひと気のない場所に移動したに決まってる。しかもそれは一般の客たちの最後列になるだろうとも予測される。他人が花火に見とれて、誰一人として視線を向けないようなポジションだね。というわけで……」
純架は俺たちを眺め渡した。
「僕と飯田さん、辰野さんと楼路君の二手に分かれて、静かな、でも花火が見られる、本城君好みの場所を片っ端から当たってみよう。境内や駐車場とかが怪しいかな」
なるほど。俺と日向、奈緒はうなずき、再び『仮面サイダー』と化した純架の指示通りに手分けして動き出した。
夜空には大輪の花が次々咲き乱れている。せっかくの見世物をゆったり観賞できないのは残念だが、こんなのもまた俺ららしくていい。ただ純架よ、せっかくなら気を使って、俺と奈緒を組ませてほしかったよ。
俺と日向は境内を捜索した。日向は血走った目をあちらこちらにやり、本城隆明の姿を網膜に捉えんとしている。本城の大ファンである彼女は、偶然手にした繋がりに運命的なものを感じているらしい。その両手は愛用のデジタルカメラを壊す勢いで握り締めていた。
人々はそれぞれ見つけたスペースに腰を下ろし、うちわで喉元をあおぎつつ真夏の一大イベントに興趣を得ていた。彼ら彼女らの邪魔にならないよう、慎重に体を運びつつ目当ての人物を血まなこで捜す。親子連れ、カップル、親友同士。色々な客が思い思いに眼福を享受している。本城隆明は一人だろうから、見つけるのは案外たやすいのではないだろうか。そんな希望的観測が胸をよぎった。
そして、それは現実のものとなる。奥の奥、灯篭を背にして地べたに座り、両足を投げ出している一人の少年。『ウルトラさん』のお面を両手でもてあそび、咲いては散る花火を眺めている彼こそは――
「本城君!」
日向が感激のあまり卒倒しそうになった。俺の肩にすがりつき、どうにか転倒を回避する。
そう、本城隆明は、大ブレイク中の新進気鋭の高校生アイドルは、人目をはばかったその場所に存在していたのだ。ブランド物の軽装が涼しげだった。
「しゃ、写真を……」
日向がカメラを向けようとするのを、俺は手首を押さえて制止する。
「駄目だ、辰野さん。それは失礼だ。後で許可をもらって撮ろう」
「う、うん……」
日向は夜目にも分かる真っ赤な顔で、もはや本城しか見ていなかった。俺は彼女と並んで本城に近づく。
さすがに数メートルの距離となると、彼もこちらに気付いたようだ。いかにも不機嫌な顔である。樹氷のような繊細な美の優男で、化粧の成果でまつ毛が豊富だ。高い鼻、薄い唇だった。俺は周囲に聞かれないよう、しかし花火の爆音にかき消されないよう、慎重に調整した声量で尋ねた。
「……本城隆明さん、ですよね?」
「ちっ」
明白で聞き間違えようのない、鋭い舌打ちだった。日向の笑顔が固まる。本城を天使か何かだと錯覚していた彼女にとって、それは現実の非情さを突きつけるものだった。
本城は頭をかいた。大げさで粗雑な振る舞いだ。
「参ったな、ここでも見つかるか。……何だい、サインか? 写真か?」
それは後でもらうとして、まずは用件を果たさねば。
「俺たちは桐木純架の友人です」
本城は虚を突かれたように目を丸くした。次いで微苦笑する。
「えっ? ああ、そうなんだ。君ら、俺を捜しに来たんだな――桐木の指図で」
察しがいい。アイドルとは顔がいいだけでなく、頭の回転も速いのか。
「そうです」
「あいつ今どこにいる?」
日向が気を取り直して答えた。まだ希望を捨てていない、といういじらしい必死さが垣間見える。
「私たちとはまた別に、本城さんを捜しています。捜しているんですよ、本城さんを」
本城は手の平を額に当てて笑う。それは紛れもない嘲笑だった。
「そうか。まるで使えねえ奴だな」
日向は冷水をかけられたかのように凝固した。
まあ、純架の行動は「使えない」と言われても反論できないものではある。散々遊んで、花火まで楽しんでたし。
だが……俺は言い放った。
「そんな言い方はないでしょう。あいつはあいつなりに護衛の義務を果たそうとしてたんです」
日向も気分を害したか、やや強い口調で指摘した。
「ご立腹なのは分かります。でも本城さんもあまり本気で桐木さんを捜していたわけではないようですね」
本城の側に水風船と焼きそばの空パック、ラムネの空き瓶が転がっている。本城はにやりと笑った。
「アイドルやってると自由はないからな。こんなときぐらい目一杯遊ばないと。桐木を呼んだのだって、あいつの美貌や声を目くらましに使いたかっただけだし。気がついたらいなくなってて、本当に役立たずだと思ったね、俺は」
俺は嫌悪を隠せなかった。なるほど、純架が言っていたように、本城は純架を友達とはみなしていないらしい。その本心が言葉の端々ににじんでいる。偶像の本性は仮面のない今、自己主張する野生の狼のようだった。
俺が更に文句を言おうとした、そのときだ。
「やあ、本城君、楼路君、辰野さん。ここにいたんだね」
純架と奈緒が現れた。うちわで胸元に風を送りながら、こちらに小走りで駆け寄ってくる。
「どこに行ってたんだ、桐木。せっかく俺の護衛という大役を任せてやったってのに……」
地面に唾を吐き捨てないのが不思議なほど、本城は顔を歪めた。
「0点だな。がっかりしたよ」
純架は苦笑した。それは自分の不手際への酷評を甘んじて受けたものといえる。
「ごめんごめん」
本城が立ち上がった。尻をはたいて埃を落とす。花火はまだ続いていて、炸裂音が夜空を徹底的に引き裂いていた。
「興ざめだな。桐木もその友人も、俺のサインや写真が欲しいんだろ? 今応じてやるから早くしろ」
「悪いね。それじゃ辰野さん、うちわにでもサインをもらったらいいよ」
日向はかないそうな夢を、首を振って拒絶した。その双眸に明白な怒りの炎がちらついている。
「本城さん、こんな人だったんですか? 桐木さん、なんで怒らないんですか。あんまり酷すぎるじゃないですか!」
純架は綿飴を舐める。それはだいぶ小さくなっていた。
「いいんだよ、辰野さん。護衛役を引き受けたのは僕の自由意志だからね。任務失敗は責められてしかるべきだよ。僕が彼の言う大役を果たせなかったのは確かだからね」
日向は頑なだった。純架の顔を見上げて袖を引っ張る。
「でも……!」
本城が失笑して、癇に障る罵倒を紡いだ。
「どうした、早くしろ。せっかくこのアイドル・本城隆明が対応するんだ。もたもたするな」
純架は新品の灰色の浴衣に袖を通し、うきうきと待ち合わせをした。そしてマネージャーの車で来た本城と落ち合い、『ウルトラさん』のお面をつけた彼と一緒に夏祭りに繰り出したという。だが余りの人混みと、純架より速すぎる本城の足とで、早々にはぐれてしまったそうだ。
あいにくスマホは繋がりにくい状態が続き、連絡も取れない。純架は仕方なく、それ以後、祭りを楽しみながら本城を捜していたという。
花火の閃光で明滅する視界をよそに、日向は口を尖らせた。軽い苛立ちが舌に乗り、重いつぶてとなって部長の鼻っ柱を叩く。
「なんで桐木さん、本城さんの友達だって教えてくださらなかったんですか? 私が本城さんのファンだってこと、ご存知だったでしょうに」
純架は日向が首からぶら下げているデジタルカメラを指差し、「キャメラ、キャメラ」とのたまった。
確かにアッコさんはそう呼ぶ。
「僕らは友達じゃないよ。よくて知り合いさ」
「向こうは、本城さんは友達だと思ってますよ」
純架の頬を自嘲の影が滑り落ちる。彼らしくもなく気落ちしているようだった。
「さっき本城君と少し会話したけど、彼は僕を護衛として使ってみたかったようなんだ。友達だなんてこれっぽっちも思ってなさそうだよ。まあ僕も期待してなかったからがっかりはしなかったけどね」
「そんな……」
純架は俺たちを人だかりの中から少し空いている道端に誘導した。河岸の凄まじい密集地帯から外れると、ようやく声も聞き取りやすくなる。様々な人が夜空のショーを楽しんでいる中、純架は咳払いして改まった。
「さて、花火が始まって明るくなった。これなら『ウルトラさん』の仮面をつけてる本城君も捜しやすいってものだね。せっかく出会ったんだ、君たちも人捜しに協力してくれたまえ」
俺は疑念を呈する。何だ、すっかり『探偵部』の活動じゃないか、と思いながら……
「それはいいけど、この夏祭りの人出の中で本城を見つけるなんて無理だろ。雲を掴むような話だ」
「そうでもないさ」
純架は綿飴を舐めつつ推測を語りだした。
「多分本城君も僕を捜しながら祭りを楽しんでいると思う。もし本城隆明だとばれたら、サインや写真をせがむ客たちに囲まれて身動きが取れなくなってしまうからね。だからお面は付けたまま、あくまで『ウルトラさん』のお面の少年として行動しているはずさ。……僕はそう睨んで、花火にうっかり見とれるまでは真面目に捜していたんだ」
嘘付け、金魚すくいや射的屋で遊んでたくせに。俺はそんな不満を押し殺した。
「ただ花火が上がり始めて、彼はこう考えたはずさ。『お面の穴越しに見るなんて味気ない』とね。そこで彼はお面を外して堂々と花火を満喫できるような、ひと気のない場所に移動したに決まってる。しかもそれは一般の客たちの最後列になるだろうとも予測される。他人が花火に見とれて、誰一人として視線を向けないようなポジションだね。というわけで……」
純架は俺たちを眺め渡した。
「僕と飯田さん、辰野さんと楼路君の二手に分かれて、静かな、でも花火が見られる、本城君好みの場所を片っ端から当たってみよう。境内や駐車場とかが怪しいかな」
なるほど。俺と日向、奈緒はうなずき、再び『仮面サイダー』と化した純架の指示通りに手分けして動き出した。
夜空には大輪の花が次々咲き乱れている。せっかくの見世物をゆったり観賞できないのは残念だが、こんなのもまた俺ららしくていい。ただ純架よ、せっかくなら気を使って、俺と奈緒を組ませてほしかったよ。
俺と日向は境内を捜索した。日向は血走った目をあちらこちらにやり、本城隆明の姿を網膜に捉えんとしている。本城の大ファンである彼女は、偶然手にした繋がりに運命的なものを感じているらしい。その両手は愛用のデジタルカメラを壊す勢いで握り締めていた。
人々はそれぞれ見つけたスペースに腰を下ろし、うちわで喉元をあおぎつつ真夏の一大イベントに興趣を得ていた。彼ら彼女らの邪魔にならないよう、慎重に体を運びつつ目当ての人物を血まなこで捜す。親子連れ、カップル、親友同士。色々な客が思い思いに眼福を享受している。本城隆明は一人だろうから、見つけるのは案外たやすいのではないだろうか。そんな希望的観測が胸をよぎった。
そして、それは現実のものとなる。奥の奥、灯篭を背にして地べたに座り、両足を投げ出している一人の少年。『ウルトラさん』のお面を両手でもてあそび、咲いては散る花火を眺めている彼こそは――
「本城君!」
日向が感激のあまり卒倒しそうになった。俺の肩にすがりつき、どうにか転倒を回避する。
そう、本城隆明は、大ブレイク中の新進気鋭の高校生アイドルは、人目をはばかったその場所に存在していたのだ。ブランド物の軽装が涼しげだった。
「しゃ、写真を……」
日向がカメラを向けようとするのを、俺は手首を押さえて制止する。
「駄目だ、辰野さん。それは失礼だ。後で許可をもらって撮ろう」
「う、うん……」
日向は夜目にも分かる真っ赤な顔で、もはや本城しか見ていなかった。俺は彼女と並んで本城に近づく。
さすがに数メートルの距離となると、彼もこちらに気付いたようだ。いかにも不機嫌な顔である。樹氷のような繊細な美の優男で、化粧の成果でまつ毛が豊富だ。高い鼻、薄い唇だった。俺は周囲に聞かれないよう、しかし花火の爆音にかき消されないよう、慎重に調整した声量で尋ねた。
「……本城隆明さん、ですよね?」
「ちっ」
明白で聞き間違えようのない、鋭い舌打ちだった。日向の笑顔が固まる。本城を天使か何かだと錯覚していた彼女にとって、それは現実の非情さを突きつけるものだった。
本城は頭をかいた。大げさで粗雑な振る舞いだ。
「参ったな、ここでも見つかるか。……何だい、サインか? 写真か?」
それは後でもらうとして、まずは用件を果たさねば。
「俺たちは桐木純架の友人です」
本城は虚を突かれたように目を丸くした。次いで微苦笑する。
「えっ? ああ、そうなんだ。君ら、俺を捜しに来たんだな――桐木の指図で」
察しがいい。アイドルとは顔がいいだけでなく、頭の回転も速いのか。
「そうです」
「あいつ今どこにいる?」
日向が気を取り直して答えた。まだ希望を捨てていない、といういじらしい必死さが垣間見える。
「私たちとはまた別に、本城さんを捜しています。捜しているんですよ、本城さんを」
本城は手の平を額に当てて笑う。それは紛れもない嘲笑だった。
「そうか。まるで使えねえ奴だな」
日向は冷水をかけられたかのように凝固した。
まあ、純架の行動は「使えない」と言われても反論できないものではある。散々遊んで、花火まで楽しんでたし。
だが……俺は言い放った。
「そんな言い方はないでしょう。あいつはあいつなりに護衛の義務を果たそうとしてたんです」
日向も気分を害したか、やや強い口調で指摘した。
「ご立腹なのは分かります。でも本城さんもあまり本気で桐木さんを捜していたわけではないようですね」
本城の側に水風船と焼きそばの空パック、ラムネの空き瓶が転がっている。本城はにやりと笑った。
「アイドルやってると自由はないからな。こんなときぐらい目一杯遊ばないと。桐木を呼んだのだって、あいつの美貌や声を目くらましに使いたかっただけだし。気がついたらいなくなってて、本当に役立たずだと思ったね、俺は」
俺は嫌悪を隠せなかった。なるほど、純架が言っていたように、本城は純架を友達とはみなしていないらしい。その本心が言葉の端々ににじんでいる。偶像の本性は仮面のない今、自己主張する野生の狼のようだった。
俺が更に文句を言おうとした、そのときだ。
「やあ、本城君、楼路君、辰野さん。ここにいたんだね」
純架と奈緒が現れた。うちわで胸元に風を送りながら、こちらに小走りで駆け寄ってくる。
「どこに行ってたんだ、桐木。せっかく俺の護衛という大役を任せてやったってのに……」
地面に唾を吐き捨てないのが不思議なほど、本城は顔を歪めた。
「0点だな。がっかりしたよ」
純架は苦笑した。それは自分の不手際への酷評を甘んじて受けたものといえる。
「ごめんごめん」
本城が立ち上がった。尻をはたいて埃を落とす。花火はまだ続いていて、炸裂音が夜空を徹底的に引き裂いていた。
「興ざめだな。桐木もその友人も、俺のサインや写真が欲しいんだろ? 今応じてやるから早くしろ」
「悪いね。それじゃ辰野さん、うちわにでもサインをもらったらいいよ」
日向はかないそうな夢を、首を振って拒絶した。その双眸に明白な怒りの炎がちらついている。
「本城さん、こんな人だったんですか? 桐木さん、なんで怒らないんですか。あんまり酷すぎるじゃないですか!」
純架は綿飴を舐める。それはだいぶ小さくなっていた。
「いいんだよ、辰野さん。護衛役を引き受けたのは僕の自由意志だからね。任務失敗は責められてしかるべきだよ。僕が彼の言う大役を果たせなかったのは確かだからね」
日向は頑なだった。純架の顔を見上げて袖を引っ張る。
「でも……!」
本城が失笑して、癇に障る罵倒を紡いだ。
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