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02夏休みの出来事
ダイヤのネックレス事件03
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近くで壷を逆さにして振っていた純架が、流れてきた異音に耳をそばだてる。
「おや、犬の鳴き声が聞こえるね。……おっと」
赤くて幅のある首輪をつけたジャーマン・シェパード・ドッグの中型犬が、内側から飛び出して、こちらへと走り寄ってきた。茶色で三角の耳をしている。俺たちの調査を見物していた英二のもとに来ると、舌を出しながらお座りした。
「よしよしライアン、いい子だ」
英二がこの可愛くたくましいペットの頭を撫でてやる。犬は嬉しそうに見上げて尻尾を振った。
純架が感心したように、その場で舌を出しながらお座りする。
「へえ、よく馴れてるね」
お前もな。
結城が犬と戯れる英二を微笑ましく見つめた。
「今は天国に旅立ってしまった、ゴールデンレトリバーのジョンの、彼は跡継ぎというわけです。ライアンは厳しくしつけられて、今は英二様の護衛としても活躍しているんですよ」
純架はライアンのもとに歩み寄り、「お手!」と手を出す。シェパードはちょこんと前足を伸ばして純架の手に載せた。奈緒や日向が探索を一時中断して、何事かと群がってくる。
英二はたちまち人気者となった愛犬をいたわった。
「おい、ライアンが困るじゃないか」
しかし俺の見る限り、英二はペットに興味を持たれて少し嬉しそうだった。奈緒が犬に抱きついて頬ずりする。
「思ったよりがっしりしてるね」
飼い主は得意げに胸を反らした。自分のことのように誇らしいらしい。
「まあ災害救助犬や軍用犬、警察犬、麻薬探知犬として、あちこちで幅広く活躍している犬種だからな。……よしよし、後で遊んでやるからな。お前らもダイヤのペンダントを探すのに戻れ。時間がもったいないぞ」
純架は英二に尋ねた。お座りの体勢を維持して、まるで犬のようだ。
「何でライアンを連れて来たんだい?」
英二は少しはにかんだ。しかしすぐ、感情を隠すようにぶっきらぼうに答える。
「俺が単純に『探偵部』の皆に見せびらかしたかったというのもある」
すぐ生真面目の檻に取って返した。
「ただ、ダイヤのペンダントを見つけても名乗り出ず、そのまま懐にしまう奴もいるかもしれない――と考えてな。その用心のためにここへ運ばせたんだ。何しろライアンの嗅覚は一級だからな、無言でのネコババは不可能だ。……いや、見つけた奴のものになる約束だから、別にネコババしてもいいんだけどな。それじゃつまらんだろう」
俺は冗談半分に舌打ちした。
「ちぇっ、信用ねえな」
ライアンを中心に『探偵部』の輪が出来ていると、そこへいつの間にやら見知らぬ中年が現れていた。純白のワイシャツから黒々と日焼けした頭部と腕が覗いている。紺のスラックスを穿き、オールバックの黒髪だ。鉄塔のような威圧感と高身長を誇り、冷徹な眼光が他の特徴を全て消し去らんとしている。鉄板を入れたような分厚い胸板は、日頃彼が肉体的修練を行なっていることを示していた。
英二がその存在に気付き、杭のように背筋を伸ばした。柔和な顔はとっくに霧消している。
「父上。お久しぶりです」
純架が目をしばたたいた。英二と男を等分に見やる。
「英二君のお父さん? こちらの方が?」
威厳の鎧をまとった騎士は、傲然とした態度で俺たちを見下ろす。そうして『笑顔』をこしらえた。
「そうだ。私が英二の父、三宮剛だ。今日は『探偵部』の友達の方が来られるということで、短い自由時間をここで潰すことにしたのだ。いつも英二がお世話になっている。ありがとう」
しかしその声音には感謝の真心が感じられない。どこか他人事で、無性に冷たいものだった。その証拠として、彼の作り笑いの中で、目だけは凍土の果てのようだ。
俺は唾を飲み込んだ。それほど英二の父の威圧感は凄まじかった。これが何世代にも渡ってこの国の一角を担ってきた、大企業の長の存在感か。神秘的で圧倒的で、俺は思わず生唾を飲み込む。
「英二は私の宝、唯一無二の存在だ。それが『探偵部』というくだらない、どうしようもない部活動に加わったと聞いたときは、さすがの私も天を仰ぎたくなったよ。まあ本人は続けたいようだから構わないが、父としてこの嘆きはどうすれば癒せるかね?」
さっきまでの楽しさはどこへやら、皆は毒を射ち込まれたように押し黙った。気まずい静寂が音もなく翼を広げる。最も馬鹿にされた純架でさえ一言も発せない。
それを打ち破ったのは結城だった。彼女は主人の父親にお辞儀した。
「私は三宮家と主従関係にある菅野家の人間です。身の程はわきまえています。ただ三宮様、『探偵部』は有意義です。この前の英二様襲撃事件では見事助けを呼ぶことに成功しました。彼らがいなければ、英二様は賊の手にかかって逝去なされていたかもしれないのです。どうか認めてあげてください」
経済圏の権力者は、この哀訴をまるで相手にしない。
「私を誰だと思っている。三宮造船の頭首だぞ。お前ごときが口を利いていい存在ではない。……だいたい英二が危険な状況に陥ったのは、『探偵部』の交流会に参加したせいではないか」
「――はい。済みませんでした。ご無礼をお許しください」
結城が引き下がると、鋼の男は侮蔑を露わにして一同を見下ろした。強烈な重圧が俺の双肩にへばりつく。
「だいたい渋山台高校など、大富豪三宮家に到底釣り合わない学校なのだ。そこを選んだのは結城、お前が好環境だと報告したためだろう。それが『探偵部』に入部だと? お前の眼力を疑わざるを得ないな」
純架がさすがにむっとして口を挟む。彼がこうまで愚弄されるのは、俺も初めて目の当たりにした。
「ずいぶんな言いようですね。さっきから聞いていれば、『探偵部』に対する明白な侮辱として看過できませんが」
「本当のことを述べただけだ。それとも何かね? 君たちに実績があるとでも?」
純架は鮮やかに切り返した。
「英二君からは僕たちのことを何も聞いてないのですか? 寂しい親御さんですね」
しかし英二の父は冷笑する。どこまでも余裕があった。
「『探偵部』に加わったと結城から耳にした程度だ。それで私に反撃したつもりかね、少年。……では、私は仕事で缶詰になる。ゆっくりしていきたまえ、皆さん」
三宮剛はそう慇懃無礼に吐き捨てると、階段の方向に歩いていった。その周りを黒服が取り巻き、ライアンがくっついていく。やがて廊下の角に入って見えなくなった。階段を上がる足音が小さくなっていき、やがて聞こえなくなる。
奈緒が盛大な溜め息をついた。英二に文句を言う。
「人間性の欠片もないおっさんね。あれ、本当にお父さん?」
英二は守勢に回った。皆の盾になれなかった自分を悔やむように。
「まあそう言うな。……どうした、ダイヤのペンダントは諦めたのか?」
奈緒は手を打ち合わせた。
「そうだった。ライアンちゃんといいゲスといい、無駄な時間を潰したわ。さあ、気を取り直してお宝を探そうよ、朱雀君」
その後、『探偵部』の両グループは互いに敵視し合いながら、1階を調べ続けた。しかし探せど探せど、スマホの写真に鮮やかに刻まれていた品物は見つからない。
結城が客間の美術品を仔細に調べる俺を見咎めた。熊が魚を咥えた、よくある木彫りの彫像だ。
「壊さないでくださいね、高価なものですから」
「大丈夫だよ」
英二の大声がどこかの部屋から漏れ聞こえてくる。
「おい、サービスして言わせて貰うなら、俺も結城もトイレに隠したりなんかしないぞ」
刻限である日没が間近くなる。俺たち4人は、いまだそのシルエットすら見せないダイヤのネックレスに、疲労感をつのらせていた。ちきしょう、本当に隠したのか?
俺と奈緒のもとに純架がやってきて声をかけてくる。どうやらいったん広間に集まって、今後のことについて協議したいとのことだ。
「残る二つの質問を有意義に使いたい。そのためには集合してもらわないとね」
俺は大分斜めに傾いてきた日差しを睨み、無駄な時間を過ごす余裕はないと思った。
「行くか、飯田さん」
「そうね、朱雀君」
半ば諦め気味だった。英二の奴、本当に1階に隠したのか? それすら疑われてくるほどの、あまりの進展のなさだった。
かくして憂鬱そうな顔が4個並んだ。英二と結城は三宮剛の一件があってから、似たような曇り空の表情をしている。泣き出してもおかしくはない。
純架が億劫そうに切り出した。
「どうだい、飯田さん。君ら2人にも了解を取りたいんだが……」
「何よ、了解って」
「英二君への第四の質問を、僕がしてもいいかってことだよ」
「何か思いついたのね――いいわ、やってみせて」
俺は疑心暗鬼を舌にのせた。こうなってくると当初の純架の質問にも懐疑的にならざるをえない。
「それは決定的な質問になるのか? 俺はもうくたくただよ。何でもやってくれ、それで見つかるんならな」
日向が純朴に頭を下げた。彼女もまた疲れている。
「お願いします、桐木さん」
3人全員が純架に機会を託した。『探偵部』部長は英二と向き合う。
「じゃ、皆の了解が取れたってことで、四つ目の質問だよ。いいかい?」
「ああ、構わないぞ」
「それじゃ遠慮なく……。『ダイヤのネックレスは、1階に隠されている?』」
英二は快心の笑みを浮かべた。甘い変化球を余裕をもって打ち返す感じで、はっきり答える。
「返事は『いいえ』だ」
「おや、犬の鳴き声が聞こえるね。……おっと」
赤くて幅のある首輪をつけたジャーマン・シェパード・ドッグの中型犬が、内側から飛び出して、こちらへと走り寄ってきた。茶色で三角の耳をしている。俺たちの調査を見物していた英二のもとに来ると、舌を出しながらお座りした。
「よしよしライアン、いい子だ」
英二がこの可愛くたくましいペットの頭を撫でてやる。犬は嬉しそうに見上げて尻尾を振った。
純架が感心したように、その場で舌を出しながらお座りする。
「へえ、よく馴れてるね」
お前もな。
結城が犬と戯れる英二を微笑ましく見つめた。
「今は天国に旅立ってしまった、ゴールデンレトリバーのジョンの、彼は跡継ぎというわけです。ライアンは厳しくしつけられて、今は英二様の護衛としても活躍しているんですよ」
純架はライアンのもとに歩み寄り、「お手!」と手を出す。シェパードはちょこんと前足を伸ばして純架の手に載せた。奈緒や日向が探索を一時中断して、何事かと群がってくる。
英二はたちまち人気者となった愛犬をいたわった。
「おい、ライアンが困るじゃないか」
しかし俺の見る限り、英二はペットに興味を持たれて少し嬉しそうだった。奈緒が犬に抱きついて頬ずりする。
「思ったよりがっしりしてるね」
飼い主は得意げに胸を反らした。自分のことのように誇らしいらしい。
「まあ災害救助犬や軍用犬、警察犬、麻薬探知犬として、あちこちで幅広く活躍している犬種だからな。……よしよし、後で遊んでやるからな。お前らもダイヤのペンダントを探すのに戻れ。時間がもったいないぞ」
純架は英二に尋ねた。お座りの体勢を維持して、まるで犬のようだ。
「何でライアンを連れて来たんだい?」
英二は少しはにかんだ。しかしすぐ、感情を隠すようにぶっきらぼうに答える。
「俺が単純に『探偵部』の皆に見せびらかしたかったというのもある」
すぐ生真面目の檻に取って返した。
「ただ、ダイヤのペンダントを見つけても名乗り出ず、そのまま懐にしまう奴もいるかもしれない――と考えてな。その用心のためにここへ運ばせたんだ。何しろライアンの嗅覚は一級だからな、無言でのネコババは不可能だ。……いや、見つけた奴のものになる約束だから、別にネコババしてもいいんだけどな。それじゃつまらんだろう」
俺は冗談半分に舌打ちした。
「ちぇっ、信用ねえな」
ライアンを中心に『探偵部』の輪が出来ていると、そこへいつの間にやら見知らぬ中年が現れていた。純白のワイシャツから黒々と日焼けした頭部と腕が覗いている。紺のスラックスを穿き、オールバックの黒髪だ。鉄塔のような威圧感と高身長を誇り、冷徹な眼光が他の特徴を全て消し去らんとしている。鉄板を入れたような分厚い胸板は、日頃彼が肉体的修練を行なっていることを示していた。
英二がその存在に気付き、杭のように背筋を伸ばした。柔和な顔はとっくに霧消している。
「父上。お久しぶりです」
純架が目をしばたたいた。英二と男を等分に見やる。
「英二君のお父さん? こちらの方が?」
威厳の鎧をまとった騎士は、傲然とした態度で俺たちを見下ろす。そうして『笑顔』をこしらえた。
「そうだ。私が英二の父、三宮剛だ。今日は『探偵部』の友達の方が来られるということで、短い自由時間をここで潰すことにしたのだ。いつも英二がお世話になっている。ありがとう」
しかしその声音には感謝の真心が感じられない。どこか他人事で、無性に冷たいものだった。その証拠として、彼の作り笑いの中で、目だけは凍土の果てのようだ。
俺は唾を飲み込んだ。それほど英二の父の威圧感は凄まじかった。これが何世代にも渡ってこの国の一角を担ってきた、大企業の長の存在感か。神秘的で圧倒的で、俺は思わず生唾を飲み込む。
「英二は私の宝、唯一無二の存在だ。それが『探偵部』というくだらない、どうしようもない部活動に加わったと聞いたときは、さすがの私も天を仰ぎたくなったよ。まあ本人は続けたいようだから構わないが、父としてこの嘆きはどうすれば癒せるかね?」
さっきまでの楽しさはどこへやら、皆は毒を射ち込まれたように押し黙った。気まずい静寂が音もなく翼を広げる。最も馬鹿にされた純架でさえ一言も発せない。
それを打ち破ったのは結城だった。彼女は主人の父親にお辞儀した。
「私は三宮家と主従関係にある菅野家の人間です。身の程はわきまえています。ただ三宮様、『探偵部』は有意義です。この前の英二様襲撃事件では見事助けを呼ぶことに成功しました。彼らがいなければ、英二様は賊の手にかかって逝去なされていたかもしれないのです。どうか認めてあげてください」
経済圏の権力者は、この哀訴をまるで相手にしない。
「私を誰だと思っている。三宮造船の頭首だぞ。お前ごときが口を利いていい存在ではない。……だいたい英二が危険な状況に陥ったのは、『探偵部』の交流会に参加したせいではないか」
「――はい。済みませんでした。ご無礼をお許しください」
結城が引き下がると、鋼の男は侮蔑を露わにして一同を見下ろした。強烈な重圧が俺の双肩にへばりつく。
「だいたい渋山台高校など、大富豪三宮家に到底釣り合わない学校なのだ。そこを選んだのは結城、お前が好環境だと報告したためだろう。それが『探偵部』に入部だと? お前の眼力を疑わざるを得ないな」
純架がさすがにむっとして口を挟む。彼がこうまで愚弄されるのは、俺も初めて目の当たりにした。
「ずいぶんな言いようですね。さっきから聞いていれば、『探偵部』に対する明白な侮辱として看過できませんが」
「本当のことを述べただけだ。それとも何かね? 君たちに実績があるとでも?」
純架は鮮やかに切り返した。
「英二君からは僕たちのことを何も聞いてないのですか? 寂しい親御さんですね」
しかし英二の父は冷笑する。どこまでも余裕があった。
「『探偵部』に加わったと結城から耳にした程度だ。それで私に反撃したつもりかね、少年。……では、私は仕事で缶詰になる。ゆっくりしていきたまえ、皆さん」
三宮剛はそう慇懃無礼に吐き捨てると、階段の方向に歩いていった。その周りを黒服が取り巻き、ライアンがくっついていく。やがて廊下の角に入って見えなくなった。階段を上がる足音が小さくなっていき、やがて聞こえなくなる。
奈緒が盛大な溜め息をついた。英二に文句を言う。
「人間性の欠片もないおっさんね。あれ、本当にお父さん?」
英二は守勢に回った。皆の盾になれなかった自分を悔やむように。
「まあそう言うな。……どうした、ダイヤのペンダントは諦めたのか?」
奈緒は手を打ち合わせた。
「そうだった。ライアンちゃんといいゲスといい、無駄な時間を潰したわ。さあ、気を取り直してお宝を探そうよ、朱雀君」
その後、『探偵部』の両グループは互いに敵視し合いながら、1階を調べ続けた。しかし探せど探せど、スマホの写真に鮮やかに刻まれていた品物は見つからない。
結城が客間の美術品を仔細に調べる俺を見咎めた。熊が魚を咥えた、よくある木彫りの彫像だ。
「壊さないでくださいね、高価なものですから」
「大丈夫だよ」
英二の大声がどこかの部屋から漏れ聞こえてくる。
「おい、サービスして言わせて貰うなら、俺も結城もトイレに隠したりなんかしないぞ」
刻限である日没が間近くなる。俺たち4人は、いまだそのシルエットすら見せないダイヤのネックレスに、疲労感をつのらせていた。ちきしょう、本当に隠したのか?
俺と奈緒のもとに純架がやってきて声をかけてくる。どうやらいったん広間に集まって、今後のことについて協議したいとのことだ。
「残る二つの質問を有意義に使いたい。そのためには集合してもらわないとね」
俺は大分斜めに傾いてきた日差しを睨み、無駄な時間を過ごす余裕はないと思った。
「行くか、飯田さん」
「そうね、朱雀君」
半ば諦め気味だった。英二の奴、本当に1階に隠したのか? それすら疑われてくるほどの、あまりの進展のなさだった。
かくして憂鬱そうな顔が4個並んだ。英二と結城は三宮剛の一件があってから、似たような曇り空の表情をしている。泣き出してもおかしくはない。
純架が億劫そうに切り出した。
「どうだい、飯田さん。君ら2人にも了解を取りたいんだが……」
「何よ、了解って」
「英二君への第四の質問を、僕がしてもいいかってことだよ」
「何か思いついたのね――いいわ、やってみせて」
俺は疑心暗鬼を舌にのせた。こうなってくると当初の純架の質問にも懐疑的にならざるをえない。
「それは決定的な質問になるのか? 俺はもうくたくただよ。何でもやってくれ、それで見つかるんならな」
日向が純朴に頭を下げた。彼女もまた疲れている。
「お願いします、桐木さん」
3人全員が純架に機会を託した。『探偵部』部長は英二と向き合う。
「じゃ、皆の了解が取れたってことで、四つ目の質問だよ。いいかい?」
「ああ、構わないぞ」
「それじゃ遠慮なく……。『ダイヤのネックレスは、1階に隠されている?』」
英二は快心の笑みを浮かべた。甘い変化球を余裕をもって打ち返す感じで、はっきり答える。
「返事は『いいえ』だ」
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