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新プロジェクトとニューチューバー
第41話 疑いの目
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時刻は18時45分。
【ムーンマルクカフェ】の中には、はしゃいでいる女子高生が四人と真剣な話をしているおば様が二人、そしてビジネスマンらしき男性がノートパソコンを開いて仕事をしているのが確認出来る。
そんな中で俺は、美久から驚くべき質問を受けていた。
心愛と俺が付き合っているか?だと……馬鹿馬鹿しいにも程がある。
一旦心を落ち着かせようと、コーヒーをゆっくり啜る。
「そんな事、あるわけないだろ」
「ほんとですか?」
「そもそも仮に付き合っていたとしたら、俺が犯罪者になっちまうだろ」
「親の許可があったら大丈夫じゃなかったでしたっけ?」
「そうなのか?つかどうでもいいわ!俺と心愛はそんな関係じゃねえから」
俺の返答に納得がいっていないのか、まだまだ疑っていますよと言う表情で睨みつけてくる美久。
どうやったら美久の中に生じた誤解が解けるのか、その事を必死に考え続けた。
「ちょっと聞きたいんだが、美久はなんで俺と心愛が付き合ってるって思ってんだ?」
「だって心愛さんが言ってましたもん。今度、神谷さんと映画へ行く事になったって」
「待て待て待て、それは成り行き上仕方なくと言うやつだ。決して付き合ってるから一緒に行くとか、そう言う理由ではないぞ」
「成り行き上仕方なく?……怪しいですねぇ」
「……やめろ。その薄気味悪いジトーッとした目で俺を見るな」
「その成り行きって何ですか?」
どうにかして真相を探りたいと思っている美久を相手に、俺は何と返事をしたらいいのか分からなくなっていた。
あの日起こった事を美久に話す訳にもいかないし、これだけ疑われていては俺が何を言っても誤解は解けないだろう。
だったら、この状況を打破出来る最強の一手はあれしかない。
「ちょっと電話してくる」
「今ですか?話の途中ですけど!」
「俺はサラリーマンだ。高校生の君には分からないかもしれないけど、こう言う突発的に仕事をしないといけない時もあるのだよ」
「お仕事なら仕方ありませんね。電話が終わったら質問の答えを聞かせてもらいますから」
「ああ、別に構わないけど」
そう一言残して、俺は電話をする為に店から出た。
何とか上手く美久を騙すことが出来たな。
仕事の電話と言うのは全くの嘘で、俺が本当に電話を掛ける相手は早見ちゃんだ。
俺の知る限り、美久は早見ちゃんに対して強いリスペクトがある。
なので何を言われても反対はしないし全てイエスと答えてしまうんだ。
前の感じを見ていると、リスペクトだけじゃなくて恋心的なのも芽生えてそうだったけどな。
そんな関係性の相手がいきなり店に現れたら、俺や心愛の関係を気にしている余裕なんてなくなるだろう。
しかし、ここで二つ問題が生じた。
一つ目は、俺から早見ちゃんに電話を掛けるのが今回初めてだと言うこと。
二つ目は、俺と美久がいるこの【ムーンマルクカフェ】に何と言って呼び出すか、その理由が必要だと言うこと。
まあ二つ目の理由に関しては、ニューチューブの企画会議がボロボロだから助けてくれとかなんとか言えば大丈夫かもしれないが問題は一つ目だ。
スマホを取り出しLimeのアプリを開く。
トーク履歴から早見ちゃんを見つけ、指でタップする。
通話と言う場所を見つめながら数分が経過して、美久を待たせている事を思い出す。
早くしなければ、早見ちゃんを呼べたとしてもここへすぐ来れるとも限らないし。
緊張を抑えながら、俺はゆっくり通話と書かれた場所をタップした。
「もしもし、せんぱいですか~?珍しいですね~、せんぱいから電話してきてくれるなんて」
「も……もちもち……」
か……噛んだ!?
絶対噛んではいけないところで噛んでしまった……。
もう……誰か俺を殺してくれ……。
早見ちゃんは大爆笑しながら俺の話を聞いていた。
俺が噛んだ事が相当面白かったらしい。
そりゃそうだよな。
もしもしをもちもちと言ってしまったのだから。
まあそれは一旦置いといて、早見ちゃんはちょうど【ムーンマルクカフェ】の近くにいるとの事だったのですぐに来てくれるようだ。
……美久の驚く顔が目に浮かぶぜ。
【ムーンマルクカフェ】の中には、はしゃいでいる女子高生が四人と真剣な話をしているおば様が二人、そしてビジネスマンらしき男性がノートパソコンを開いて仕事をしているのが確認出来る。
そんな中で俺は、美久から驚くべき質問を受けていた。
心愛と俺が付き合っているか?だと……馬鹿馬鹿しいにも程がある。
一旦心を落ち着かせようと、コーヒーをゆっくり啜る。
「そんな事、あるわけないだろ」
「ほんとですか?」
「そもそも仮に付き合っていたとしたら、俺が犯罪者になっちまうだろ」
「親の許可があったら大丈夫じゃなかったでしたっけ?」
「そうなのか?つかどうでもいいわ!俺と心愛はそんな関係じゃねえから」
俺の返答に納得がいっていないのか、まだまだ疑っていますよと言う表情で睨みつけてくる美久。
どうやったら美久の中に生じた誤解が解けるのか、その事を必死に考え続けた。
「ちょっと聞きたいんだが、美久はなんで俺と心愛が付き合ってるって思ってんだ?」
「だって心愛さんが言ってましたもん。今度、神谷さんと映画へ行く事になったって」
「待て待て待て、それは成り行き上仕方なくと言うやつだ。決して付き合ってるから一緒に行くとか、そう言う理由ではないぞ」
「成り行き上仕方なく?……怪しいですねぇ」
「……やめろ。その薄気味悪いジトーッとした目で俺を見るな」
「その成り行きって何ですか?」
どうにかして真相を探りたいと思っている美久を相手に、俺は何と返事をしたらいいのか分からなくなっていた。
あの日起こった事を美久に話す訳にもいかないし、これだけ疑われていては俺が何を言っても誤解は解けないだろう。
だったら、この状況を打破出来る最強の一手はあれしかない。
「ちょっと電話してくる」
「今ですか?話の途中ですけど!」
「俺はサラリーマンだ。高校生の君には分からないかもしれないけど、こう言う突発的に仕事をしないといけない時もあるのだよ」
「お仕事なら仕方ありませんね。電話が終わったら質問の答えを聞かせてもらいますから」
「ああ、別に構わないけど」
そう一言残して、俺は電話をする為に店から出た。
何とか上手く美久を騙すことが出来たな。
仕事の電話と言うのは全くの嘘で、俺が本当に電話を掛ける相手は早見ちゃんだ。
俺の知る限り、美久は早見ちゃんに対して強いリスペクトがある。
なので何を言われても反対はしないし全てイエスと答えてしまうんだ。
前の感じを見ていると、リスペクトだけじゃなくて恋心的なのも芽生えてそうだったけどな。
そんな関係性の相手がいきなり店に現れたら、俺や心愛の関係を気にしている余裕なんてなくなるだろう。
しかし、ここで二つ問題が生じた。
一つ目は、俺から早見ちゃんに電話を掛けるのが今回初めてだと言うこと。
二つ目は、俺と美久がいるこの【ムーンマルクカフェ】に何と言って呼び出すか、その理由が必要だと言うこと。
まあ二つ目の理由に関しては、ニューチューブの企画会議がボロボロだから助けてくれとかなんとか言えば大丈夫かもしれないが問題は一つ目だ。
スマホを取り出しLimeのアプリを開く。
トーク履歴から早見ちゃんを見つけ、指でタップする。
通話と言う場所を見つめながら数分が経過して、美久を待たせている事を思い出す。
早くしなければ、早見ちゃんを呼べたとしてもここへすぐ来れるとも限らないし。
緊張を抑えながら、俺はゆっくり通話と書かれた場所をタップした。
「もしもし、せんぱいですか~?珍しいですね~、せんぱいから電話してきてくれるなんて」
「も……もちもち……」
か……噛んだ!?
絶対噛んではいけないところで噛んでしまった……。
もう……誰か俺を殺してくれ……。
早見ちゃんは大爆笑しながら俺の話を聞いていた。
俺が噛んだ事が相当面白かったらしい。
そりゃそうだよな。
もしもしをもちもちと言ってしまったのだから。
まあそれは一旦置いといて、早見ちゃんはちょうど【ムーンマルクカフェ】の近くにいるとの事だったのですぐに来てくれるようだ。
……美久の驚く顔が目に浮かぶぜ。
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