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新プロジェクトとニューチューバー
第38話 嘘がバレる!?
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トイレから出た俺は、早見ちゃんが待つテーブルへと戻った。
上手い言い訳なんて何も思いついてはいない。
だから作戦はたった一つだ!
とにかく頭を下げて大切な予定があると言い切る!!
「お待たせ」
「先輩遅すぎですよ!!」
「すまんすまん、ちょっと大事な電話がな」
「電話……ですか?だって先輩、スマホの電源切れてるって言ってませんでしたっけ?」
「そ……れは……」
やべ!!そうだった……。
完全にその設定忘れてたぜ。
不思議そうに俺の顔を見てくる早見ちゃんに対して、俺は上手く目を合わせられなかった。
「それは何ですか?スマホの電源切れてるって嘘だったんですか?嘘だったとしたら何でそんな嘘をついたんですか?先輩超意味不明かもです」
「ご……誤解だ。俺は嘘なんてついていない」
「だったらどうしてスマホが使えたんですか?」
「……モバイルバッテリーだ。鞄の中に入れてたのをすっかり忘れてたんだよ」
「本当ですか?本当だと言うならそのモバイルバッテリーを見せてください」
「ああ……いいとも」
手に持っていたビジネス鞄のチャックを開き、モバイルバッテリーを取り出そうとする。
しかし、いくら探したってそんな物は存在しないのだ。
何とかこの状況を脱したいと、俺は早見ちゃんに対して嘘をついた。
……まずい。
実にまずいぞ。
俺の言った事が嘘だとバレてしまったら、それこそ早見ちゃんとの関係が終わってしまう。
「先輩、やっぱりその鞄の中にモバイルバッテリーなんて入っていないんじゃないですか?」
「あれ、おかしいな。さっき使ってその後どこに置いたんだっけ……」
「嘘っぽーい!先輩がそんな人だったなんて私がっかりです!嘘をついてまで私との食事から帰りたかったなんて……私ショックです!!」
「違う……違うんだ!!」
「月姫様が可哀想~~」
「君には関係ないだろ!」
俺の恋敵である若者ウェーターが、俺にだけ聞こえる声で煽ってくる。
何とも憎たらしい奴だが、今はあいつの相手をしている場合ではない。
早見ちゃんは目に涙を浮かべながら、俺の事を睨みつけていた。
……ここまでか。
素直に全て話すしかなさそうだな。
「早見ちゃん……すまない。実は……」
「お話し中失礼します。神谷様、こちらは神谷様のお忘れ物で間違いないでしょうか?」
突然俺達の元へとやって来た中年男性のウェーター。
そのウェーターが手に持っていた物はまさに今、喉から手が出る程に欲しているアイテム。
モバイルバッテリーそのものだった。
だがどうしてあのウェーターがそんな物を持っているんだ?
それになぜか俺の忘れ物だと思っている……。
「それをどこで?」
「お手洗いに忘れておられました」
「そうでしたか。探してたので助かりました……ハハハ」
お手洗いに忘れていた?
俺が入ったのが奥の個室……となると、残り2つの個室のどちらかに午前中に来た客が忘れて帰ってたと言う事か。
まじで運が良かった。
こんな奇跡、一生に一度起こればいい方だよな。
「それでは私はこれで。早見様、神谷様、残りのお時間もごゆっくりとなさってください」
「あ……ありがとうございました」
そのウェーターが去り際、俺に対してさりげなくウインクをしてきたように思えた。
これが気のせいか気のせいじゃないのか、もう知る由はない。
今わかっている事は、あのウェーターのお陰で俺は早見ちゃんとの食事を抜け出し心愛の元へと向かえるようなったと言う事だ。
「先輩……すいませんでした。私の事……嫌いになりましたよね?」
「い……いいよ。全然気にしてないから。それに、俺が早見ちゃんの事嫌いになるわけないだろ。君は俺の大切な後輩なんだからさ」
……決まったぜ。
これが余裕のある大人な対応ってもんよ。
これで早見ちゃんに与えたマイナス印象も少しは良くなるんじゃないか?
「はぁ、先輩は女心が分かってなさすぎです」
「え……それって因みにどう言うところが……」
「もういいです!予定があるんですよね?早く行ってください!」
「あ!そうだった!ごめん早見ちゃん、また後日お詫びはさせてくれ」
「はいはい、楽しみにしてますね~」
少し不機嫌な早見ちゃんと別れて、俺はダッシュで心愛が待つ公園へと向かった。
上手い言い訳なんて何も思いついてはいない。
だから作戦はたった一つだ!
とにかく頭を下げて大切な予定があると言い切る!!
「お待たせ」
「先輩遅すぎですよ!!」
「すまんすまん、ちょっと大事な電話がな」
「電話……ですか?だって先輩、スマホの電源切れてるって言ってませんでしたっけ?」
「そ……れは……」
やべ!!そうだった……。
完全にその設定忘れてたぜ。
不思議そうに俺の顔を見てくる早見ちゃんに対して、俺は上手く目を合わせられなかった。
「それは何ですか?スマホの電源切れてるって嘘だったんですか?嘘だったとしたら何でそんな嘘をついたんですか?先輩超意味不明かもです」
「ご……誤解だ。俺は嘘なんてついていない」
「だったらどうしてスマホが使えたんですか?」
「……モバイルバッテリーだ。鞄の中に入れてたのをすっかり忘れてたんだよ」
「本当ですか?本当だと言うならそのモバイルバッテリーを見せてください」
「ああ……いいとも」
手に持っていたビジネス鞄のチャックを開き、モバイルバッテリーを取り出そうとする。
しかし、いくら探したってそんな物は存在しないのだ。
何とかこの状況を脱したいと、俺は早見ちゃんに対して嘘をついた。
……まずい。
実にまずいぞ。
俺の言った事が嘘だとバレてしまったら、それこそ早見ちゃんとの関係が終わってしまう。
「先輩、やっぱりその鞄の中にモバイルバッテリーなんて入っていないんじゃないですか?」
「あれ、おかしいな。さっき使ってその後どこに置いたんだっけ……」
「嘘っぽーい!先輩がそんな人だったなんて私がっかりです!嘘をついてまで私との食事から帰りたかったなんて……私ショックです!!」
「違う……違うんだ!!」
「月姫様が可哀想~~」
「君には関係ないだろ!」
俺の恋敵である若者ウェーターが、俺にだけ聞こえる声で煽ってくる。
何とも憎たらしい奴だが、今はあいつの相手をしている場合ではない。
早見ちゃんは目に涙を浮かべながら、俺の事を睨みつけていた。
……ここまでか。
素直に全て話すしかなさそうだな。
「早見ちゃん……すまない。実は……」
「お話し中失礼します。神谷様、こちらは神谷様のお忘れ物で間違いないでしょうか?」
突然俺達の元へとやって来た中年男性のウェーター。
そのウェーターが手に持っていた物はまさに今、喉から手が出る程に欲しているアイテム。
モバイルバッテリーそのものだった。
だがどうしてあのウェーターがそんな物を持っているんだ?
それになぜか俺の忘れ物だと思っている……。
「それをどこで?」
「お手洗いに忘れておられました」
「そうでしたか。探してたので助かりました……ハハハ」
お手洗いに忘れていた?
俺が入ったのが奥の個室……となると、残り2つの個室のどちらかに午前中に来た客が忘れて帰ってたと言う事か。
まじで運が良かった。
こんな奇跡、一生に一度起こればいい方だよな。
「それでは私はこれで。早見様、神谷様、残りのお時間もごゆっくりとなさってください」
「あ……ありがとうございました」
そのウェーターが去り際、俺に対してさりげなくウインクをしてきたように思えた。
これが気のせいか気のせいじゃないのか、もう知る由はない。
今わかっている事は、あのウェーターのお陰で俺は早見ちゃんとの食事を抜け出し心愛の元へと向かえるようなったと言う事だ。
「先輩……すいませんでした。私の事……嫌いになりましたよね?」
「い……いいよ。全然気にしてないから。それに、俺が早見ちゃんの事嫌いになるわけないだろ。君は俺の大切な後輩なんだからさ」
……決まったぜ。
これが余裕のある大人な対応ってもんよ。
これで早見ちゃんに与えたマイナス印象も少しは良くなるんじゃないか?
「はぁ、先輩は女心が分かってなさすぎです」
「え……それって因みにどう言うところが……」
「もういいです!予定があるんですよね?早く行ってください!」
「あ!そうだった!ごめん早見ちゃん、また後日お詫びはさせてくれ」
「はいはい、楽しみにしてますね~」
少し不機嫌な早見ちゃんと別れて、俺はダッシュで心愛が待つ公園へと向かった。
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