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新プロジェクトとニューチューバー
第33話 会議終了
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「さあさあ、そろそろ本題に入らないと時間がなくなっちゃうよ」
先程まで俺を見て笑っていた翔が、急に真面目なトーンで口を開いた。
一体どう言うつもりなんだ?
何かまた企んでるんじゃ……。
「急に仕切り出したな」
「まあね。美久ちゃんと悟の様子も軽くは見れたし、それにこれ以上待ってももう一人の子は来ないみたいだからね」
「心愛先輩の事ですか?」
「余計な事を言うんじゃない」
「心愛先輩?誰ですかそれ!まさかせんぱい……本命はその心愛先輩とか言う子何じゃ……」
「おっけ。じゃあまずは、美久にニューチューブチャンネルの作り方を教えてもらおうかな」
「無視しないでくださいよ!」
早見ちゃんがまたしても機嫌を悪くしてしまったようだが、いちいち構っていては話が進みそうにないので一旦触れずに会議を始める事にした。
不機嫌な早見ちゃんは、一定間隔でスマホをいじっては俺を睨みつけてくるが必死にスルーを決め込んでやったぜ。
早見ちゃん……マジごめん。
「ニューチューブのチャンネルなら誰でもすぐに作る事が出来ますよ」
「へぇそんな簡単なんだ。じゃあ動画の投稿って、ここをこうすればいいのかな?」
「ですです!アナリティクスなんかはここで見れますよ」
翔と美久はすぐに打ち解けて、ニューチューブの事で色々と話が盛り上がっていた。
全くもって二人が何を言っているのかが、俺には分からん。
なので俺は、わかってる風な顔だけして頷く。
「ありがとう美久ちゃん。大体ニューチューブの始め方は理解出来たよ」
「それはよかったです。また何かありましたら何でも聞いて下さい」
「いやぁよかったよかった。これで新プロジェクトは何とかなりそうだな」
「ちょっと神谷さん!ミクのお願いの事、忘れてませんか?」
「あ!そうだったな……」
「ミクにとってはかなり重要案件なんですから、力貸して下さいよ!」
美久の口調から、他人が思っている以上に深刻な問題なのだと感じ取る事ができた。
それに、これだけ新プロジェクトに力を貸してもらって何の礼もしないと言うのは俺の流儀に反してる……ような気がする。
だからここは、全力で美久に力を貸してニューチューブを盛り上げてやろうじゃねえか。
「まあ、色々協力してくれたしな。それで何だが、登録者を伸ばしたいと言う気持ちは分かるが美久は何か具体的な戦略って考えているのか?」
「いえ……まだ何も……ないです」
そりゃそうだよな。
そんな戦略があれば、わざわざ俺や心愛を頼ったりはしなかったはずだし。
しかしだ。俺も心愛から言われて色々考えてはいたんだが、全くもって何も思い浮かばない。
「……せんぱい、ちょっといいですか?」
「あ……ああ、どうした?」
「みくちそのチャンネルって、どんな系をやってるのかなって」
「ミクのチャンネルはこれです!」
「その前にみくちそって何だ?」
「そう呼んだ方が可愛いじゃないですか~~」
「そう言うもんなのか」
「ミクもみくちそ、可愛いと思います!」
「だよね~~」
美久は完全に早見ちゃんと言う存在に、飲み込まれてしまったようだ。
それも仕方ないっちゃ仕方ない。
早見ちゃんのオーラと言うか、なんかそんなもんがそうさせてるんだろうな。
よくは分からんが。
「んじゃ、話を戻すが早見ちゃんはこの美久のチャンネルを見て何か意見とかあるか?」
「うーん、多分ですけど普通過ぎなんじゃないですか?」
「普通過ぎ?」
「それは俺も思ったかな。一般的にビジネスや創作なんかもそうだけど、他との差別化ってすごく大事なんだよ。他と差別化を図る事で、自分のやっている事に付加価値が付いてお客さんを取り込む事が出来るんだ」
「付加価値……ですか」
早見ちゃんや翔の言った事はまさにその通りだと思った。
改めて美久のアップしている動画を見直すと、既に上位のニューチューバー達がやっている事をただ真似ている感じのモノばかりだと気づいた。
だったら美久が上に行く為にしなくてはならない事は、誰もまだやった事のない企画を生み出すこと。
まあ、それがすぐに出来れば苦労もしないのだが……。
「まだ誰もやった事のない企画って、かなり難しくねえか?」
「ですよね。ミクは何にも浮かびません」
「俺も偉そうには言ったけど、実際難しいよね」
「私、良いの思いついちゃったんですけど」
そう早見ちゃんが発言した瞬間、時が数秒止まったかのように感じた。
俺と翔、美久の3人が早見ちゃんへ期待の眼差しを送る。
そして俺は、ゆっくりと早見ちゃんへ尋ねた。
「それは……どんな企画なんだ?」
「えっと、みくちそのチャンネルに先輩が出たらいいかなって。現役女子高生が30歳のサラリーマンに、今どきって言うのを色々教えていく的な~~」
「……は?普通に無理だろ」
「ミクは良いと思います!!」
「みくちそ何言っちゃってんの!!」
「俺もいいと思うけどなぁ」
「かけちそまでやめて!!」
何だ何だ、一体何が起きてるんだ。
俺が美久とニューチューブをやるだって?
絶対ありえないだろ!!
しかし、俺以外の3人はもうその方向で話を進めていた。
美久に関しては、早見ちゃんから言われるがままに動きそうで超怖い。
翔が急にスマホで調べ事をし始めて数分、何か分かった事があるようなので話を聞く事にした。
「今軽く何だけど、サラリーマンと女子高生の二人ニューチューバーがいるかどうか調べてみた」
「それで、どうだったんだ?」
「いなかったよ。これは人気になれるチャンスかもしれないね」
「……まじかよ」
「せんぱいガンバです!」
「神谷さん、よろしくお願いします」
これは……もうほぼ決定って事なのか。
なんかみんなの雰囲気も打ち上げモードだし。
「はぁ分かったよ。ちょっとならやってやらん事もない」
「よし決まりだね!これで悟が人気になってくれたら、会社のニューチューブにもどんどん視聴者が流れてくるかも」
「会社の商品の宣伝もみくっちよろしくね」
「らめ様のお願いとあればミクは何でもやります!」
こうして俺たちのよく分からない会議は終わりを迎えた。
色々と決まった事もあるが、まさか俺がニューチューバーデビューを果たすことになるとはな……。
もう何でもいいか。
先程まで俺を見て笑っていた翔が、急に真面目なトーンで口を開いた。
一体どう言うつもりなんだ?
何かまた企んでるんじゃ……。
「急に仕切り出したな」
「まあね。美久ちゃんと悟の様子も軽くは見れたし、それにこれ以上待ってももう一人の子は来ないみたいだからね」
「心愛先輩の事ですか?」
「余計な事を言うんじゃない」
「心愛先輩?誰ですかそれ!まさかせんぱい……本命はその心愛先輩とか言う子何じゃ……」
「おっけ。じゃあまずは、美久にニューチューブチャンネルの作り方を教えてもらおうかな」
「無視しないでくださいよ!」
早見ちゃんがまたしても機嫌を悪くしてしまったようだが、いちいち構っていては話が進みそうにないので一旦触れずに会議を始める事にした。
不機嫌な早見ちゃんは、一定間隔でスマホをいじっては俺を睨みつけてくるが必死にスルーを決め込んでやったぜ。
早見ちゃん……マジごめん。
「ニューチューブのチャンネルなら誰でもすぐに作る事が出来ますよ」
「へぇそんな簡単なんだ。じゃあ動画の投稿って、ここをこうすればいいのかな?」
「ですです!アナリティクスなんかはここで見れますよ」
翔と美久はすぐに打ち解けて、ニューチューブの事で色々と話が盛り上がっていた。
全くもって二人が何を言っているのかが、俺には分からん。
なので俺は、わかってる風な顔だけして頷く。
「ありがとう美久ちゃん。大体ニューチューブの始め方は理解出来たよ」
「それはよかったです。また何かありましたら何でも聞いて下さい」
「いやぁよかったよかった。これで新プロジェクトは何とかなりそうだな」
「ちょっと神谷さん!ミクのお願いの事、忘れてませんか?」
「あ!そうだったな……」
「ミクにとってはかなり重要案件なんですから、力貸して下さいよ!」
美久の口調から、他人が思っている以上に深刻な問題なのだと感じ取る事ができた。
それに、これだけ新プロジェクトに力を貸してもらって何の礼もしないと言うのは俺の流儀に反してる……ような気がする。
だからここは、全力で美久に力を貸してニューチューブを盛り上げてやろうじゃねえか。
「まあ、色々協力してくれたしな。それで何だが、登録者を伸ばしたいと言う気持ちは分かるが美久は何か具体的な戦略って考えているのか?」
「いえ……まだ何も……ないです」
そりゃそうだよな。
そんな戦略があれば、わざわざ俺や心愛を頼ったりはしなかったはずだし。
しかしだ。俺も心愛から言われて色々考えてはいたんだが、全くもって何も思い浮かばない。
「……せんぱい、ちょっといいですか?」
「あ……ああ、どうした?」
「みくちそのチャンネルって、どんな系をやってるのかなって」
「ミクのチャンネルはこれです!」
「その前にみくちそって何だ?」
「そう呼んだ方が可愛いじゃないですか~~」
「そう言うもんなのか」
「ミクもみくちそ、可愛いと思います!」
「だよね~~」
美久は完全に早見ちゃんと言う存在に、飲み込まれてしまったようだ。
それも仕方ないっちゃ仕方ない。
早見ちゃんのオーラと言うか、なんかそんなもんがそうさせてるんだろうな。
よくは分からんが。
「んじゃ、話を戻すが早見ちゃんはこの美久のチャンネルを見て何か意見とかあるか?」
「うーん、多分ですけど普通過ぎなんじゃないですか?」
「普通過ぎ?」
「それは俺も思ったかな。一般的にビジネスや創作なんかもそうだけど、他との差別化ってすごく大事なんだよ。他と差別化を図る事で、自分のやっている事に付加価値が付いてお客さんを取り込む事が出来るんだ」
「付加価値……ですか」
早見ちゃんや翔の言った事はまさにその通りだと思った。
改めて美久のアップしている動画を見直すと、既に上位のニューチューバー達がやっている事をただ真似ている感じのモノばかりだと気づいた。
だったら美久が上に行く為にしなくてはならない事は、誰もまだやった事のない企画を生み出すこと。
まあ、それがすぐに出来れば苦労もしないのだが……。
「まだ誰もやった事のない企画って、かなり難しくねえか?」
「ですよね。ミクは何にも浮かびません」
「俺も偉そうには言ったけど、実際難しいよね」
「私、良いの思いついちゃったんですけど」
そう早見ちゃんが発言した瞬間、時が数秒止まったかのように感じた。
俺と翔、美久の3人が早見ちゃんへ期待の眼差しを送る。
そして俺は、ゆっくりと早見ちゃんへ尋ねた。
「それは……どんな企画なんだ?」
「えっと、みくちそのチャンネルに先輩が出たらいいかなって。現役女子高生が30歳のサラリーマンに、今どきって言うのを色々教えていく的な~~」
「……は?普通に無理だろ」
「ミクは良いと思います!!」
「みくちそ何言っちゃってんの!!」
「俺もいいと思うけどなぁ」
「かけちそまでやめて!!」
何だ何だ、一体何が起きてるんだ。
俺が美久とニューチューブをやるだって?
絶対ありえないだろ!!
しかし、俺以外の3人はもうその方向で話を進めていた。
美久に関しては、早見ちゃんから言われるがままに動きそうで超怖い。
翔が急にスマホで調べ事をし始めて数分、何か分かった事があるようなので話を聞く事にした。
「今軽く何だけど、サラリーマンと女子高生の二人ニューチューバーがいるかどうか調べてみた」
「それで、どうだったんだ?」
「いなかったよ。これは人気になれるチャンスかもしれないね」
「……まじかよ」
「せんぱいガンバです!」
「神谷さん、よろしくお願いします」
これは……もうほぼ決定って事なのか。
なんかみんなの雰囲気も打ち上げモードだし。
「はぁ分かったよ。ちょっとならやってやらん事もない」
「よし決まりだね!これで悟が人気になってくれたら、会社のニューチューブにもどんどん視聴者が流れてくるかも」
「会社の商品の宣伝もみくっちよろしくね」
「らめ様のお願いとあればミクは何でもやります!」
こうして俺たちのよく分からない会議は終わりを迎えた。
色々と決まった事もあるが、まさか俺がニューチューバーデビューを果たすことになるとはな……。
もう何でもいいか。
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