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ファン第一号と片思いの相手
第21話 早見ちゃんとカフェ
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俺は今、ショッピングモールの入り口に来ていた。
早見ちゃんからLimeで言われて、出迎えと言うわけだ。
「ハハ、俺はいつから早見ちゃんの執事になったんだ?」
そんな事をボソッと呟き、スマホを見る。
早見ちゃんが来るまでの間、【女性が喜ぶプレゼントの渡し方】と言うサイトを見まくる事にしたのだ。
何か良さそうな記事は無いものか……。
早くしないと、早見ちゃんが来てしまうからな。
そう思うと、どんどんスクロールの速さが速くなる。
とても焦っていたのだ。
俺と言う人間は、何事にもしっかりと準備を欠かさない筈なのだが……。
今回は急遽と言う事もあり、ほぼほぼぶっつけ本番になってしまうのがとても辛い。
ん?これは……。
スクロールした先に、気になる情報が載っていた。
何々、【女性は何よりもサプライズを欲している生き物だ。男は黙ってサプライジングプレゼンツだぜい!いえ~い!】
って、何じゃこれ……。
何とも馬鹿な奴が書いた記事なのだろうとは思ったのだが、妙に惹かれる何かを感じてしまった。
まじまじとその記事を見る。
サプライズか……。
まあ悪くはないな。
何を血迷ったか、俺の中で決定と言う判子がこの記事に押される事になった。
そしてその直後に、早見ちゃんがこっちに向かって歩いて来ているのが見えた。
ひらひらとした黒いワンピースに、厚底の黒い靴、世間では地雷系ファッションだとか呼ばれている服装で今日も決めて来ていた。
「せんぱーい!おはようございまーす♪」
「お……おはよ」
早見ちゃんが俺の近くまで来て、挨拶をしてくる。
その姿はまるで、この世界に降り立った天使のようだ。
「私ー、凄く歩いたので疲れちゃいましたー」
「そうか。それは大変だな」
「そうなんですぅ。なので、このリュック持ってくれませんか?」
「俺が?」
「はい♪せんぱいが♪」
超絶キュートなスマイルで早見ちゃんからお願いされては、断ると言う選択肢は出てこなかった。
本当、この子には敵わない。
若干のキメ顔で、返答する。
「仕方ない。持ってやろう」
「流石ですね♪せんぱいは優しいです♪」
「褒めても何も出ないぜ」
「見返りなんて求めて無いですよー!私が思った事を言っているだけです♪」
「そ……そうか。ありがとよ」
何だこれ!可愛すぎるぞコンチクショー!
危うく早見ちゃんの可愛さに殺されるところだった。
だが俺は、必死に理性を保ちながら冷静な先輩としての立ち振る舞いを早見ちゃんに見せつけてやった。
これで俺の印象は、プライベートでも職場同様にクールで素敵なナイスガイと早見ちゃんの中で登録された筈だ。
ふふ、俺もやれば出来るじゃねえか。
そんな感じで浸っていると、早見ちゃんが壁に貼られている店の一覧表を見ながら話しかけてくる。
「せんぱい、一旦どこかのカフェに行きたいです♪そこで翔さんの事について聞かせて下さい♪」
「そうだな。俺のオススメがあるから、そこにするか」
「へぇ、せんぱいのオススメかぁ。ちょっと不安ですね」
「心配するな。若い女の子にも人気な店だ」
自信満々にそう言った。
何故なら俺には、その確証があったからだ。
早見ちゃんが来るまでの間、プレゼントの渡し方以外にもこのモール内で若い女性人気のあるカフェも探しておいたのだ。
これぞまさしく、出来る男の戦い方よ。
「それは楽しみです♪私、カフェにはとってもうるさいですからね♪」
「任せてくれ」
そう言って、二人でカフェに向かった。
その道中、俺は周りからどう思われているかを妄想する。
ある人からはカップルと思われているんじゃないかとか、また別の人からはお似合いだと思われているんじゃないかとか。
自分でも引くくらいの妄想に俺は浸っていたのだ。
そして目的のカフェに着く。
「さあ着いたぜ。ここだ」
俺が案内したのは、カフェ デ ザンジュと言う名前のオシャレなカフェだ。
外観は清潔感のある白で統一され、所々に天使の羽が描かれている。
「わお!せんぱいにしては、かなりセンスが良いですね♪」
「ふっ、当たり前だぜ」
「でも、外観より店内の雰囲気と料理のセンスの方が大事ですけど」
「……だな」
センスが良いと言われ、とても良い気分に浸っていた俺に対して早見ちゃんが冷静にそう言ってくる。
それを言われた俺は、小さな声で同意した。
「さあせんぱい、中に入りましょ」
「ああ」
俺たちは店内に入った。
店内も外観と同様で、清潔感のある白色で統一されていた。
そして、キョロキョロと店内を見渡していた俺たちに、美人系の女性店員が近づいて来てハキハキとした物言いで接客をしてくる。
「いらっしゃいませ。お客様は2名様ですか?」
「はい。2名様です」
実に綺麗な女性店員だった為か、少し緊張してしまった。
なので返答の仕方が、少しばかし変になっている。
本当、男は美人に弱いと言うけれどまさにその通りだったぜ。
それで俺たちは、その美人店員に奥の席へと案内された。
早見ちゃんからLimeで言われて、出迎えと言うわけだ。
「ハハ、俺はいつから早見ちゃんの執事になったんだ?」
そんな事をボソッと呟き、スマホを見る。
早見ちゃんが来るまでの間、【女性が喜ぶプレゼントの渡し方】と言うサイトを見まくる事にしたのだ。
何か良さそうな記事は無いものか……。
早くしないと、早見ちゃんが来てしまうからな。
そう思うと、どんどんスクロールの速さが速くなる。
とても焦っていたのだ。
俺と言う人間は、何事にもしっかりと準備を欠かさない筈なのだが……。
今回は急遽と言う事もあり、ほぼほぼぶっつけ本番になってしまうのがとても辛い。
ん?これは……。
スクロールした先に、気になる情報が載っていた。
何々、【女性は何よりもサプライズを欲している生き物だ。男は黙ってサプライジングプレゼンツだぜい!いえ~い!】
って、何じゃこれ……。
何とも馬鹿な奴が書いた記事なのだろうとは思ったのだが、妙に惹かれる何かを感じてしまった。
まじまじとその記事を見る。
サプライズか……。
まあ悪くはないな。
何を血迷ったか、俺の中で決定と言う判子がこの記事に押される事になった。
そしてその直後に、早見ちゃんがこっちに向かって歩いて来ているのが見えた。
ひらひらとした黒いワンピースに、厚底の黒い靴、世間では地雷系ファッションだとか呼ばれている服装で今日も決めて来ていた。
「せんぱーい!おはようございまーす♪」
「お……おはよ」
早見ちゃんが俺の近くまで来て、挨拶をしてくる。
その姿はまるで、この世界に降り立った天使のようだ。
「私ー、凄く歩いたので疲れちゃいましたー」
「そうか。それは大変だな」
「そうなんですぅ。なので、このリュック持ってくれませんか?」
「俺が?」
「はい♪せんぱいが♪」
超絶キュートなスマイルで早見ちゃんからお願いされては、断ると言う選択肢は出てこなかった。
本当、この子には敵わない。
若干のキメ顔で、返答する。
「仕方ない。持ってやろう」
「流石ですね♪せんぱいは優しいです♪」
「褒めても何も出ないぜ」
「見返りなんて求めて無いですよー!私が思った事を言っているだけです♪」
「そ……そうか。ありがとよ」
何だこれ!可愛すぎるぞコンチクショー!
危うく早見ちゃんの可愛さに殺されるところだった。
だが俺は、必死に理性を保ちながら冷静な先輩としての立ち振る舞いを早見ちゃんに見せつけてやった。
これで俺の印象は、プライベートでも職場同様にクールで素敵なナイスガイと早見ちゃんの中で登録された筈だ。
ふふ、俺もやれば出来るじゃねえか。
そんな感じで浸っていると、早見ちゃんが壁に貼られている店の一覧表を見ながら話しかけてくる。
「せんぱい、一旦どこかのカフェに行きたいです♪そこで翔さんの事について聞かせて下さい♪」
「そうだな。俺のオススメがあるから、そこにするか」
「へぇ、せんぱいのオススメかぁ。ちょっと不安ですね」
「心配するな。若い女の子にも人気な店だ」
自信満々にそう言った。
何故なら俺には、その確証があったからだ。
早見ちゃんが来るまでの間、プレゼントの渡し方以外にもこのモール内で若い女性人気のあるカフェも探しておいたのだ。
これぞまさしく、出来る男の戦い方よ。
「それは楽しみです♪私、カフェにはとってもうるさいですからね♪」
「任せてくれ」
そう言って、二人でカフェに向かった。
その道中、俺は周りからどう思われているかを妄想する。
ある人からはカップルと思われているんじゃないかとか、また別の人からはお似合いだと思われているんじゃないかとか。
自分でも引くくらいの妄想に俺は浸っていたのだ。
そして目的のカフェに着く。
「さあ着いたぜ。ここだ」
俺が案内したのは、カフェ デ ザンジュと言う名前のオシャレなカフェだ。
外観は清潔感のある白で統一され、所々に天使の羽が描かれている。
「わお!せんぱいにしては、かなりセンスが良いですね♪」
「ふっ、当たり前だぜ」
「でも、外観より店内の雰囲気と料理のセンスの方が大事ですけど」
「……だな」
センスが良いと言われ、とても良い気分に浸っていた俺に対して早見ちゃんが冷静にそう言ってくる。
それを言われた俺は、小さな声で同意した。
「さあせんぱい、中に入りましょ」
「ああ」
俺たちは店内に入った。
店内も外観と同様で、清潔感のある白色で統一されていた。
そして、キョロキョロと店内を見渡していた俺たちに、美人系の女性店員が近づいて来てハキハキとした物言いで接客をしてくる。
「いらっしゃいませ。お客様は2名様ですか?」
「はい。2名様です」
実に綺麗な女性店員だった為か、少し緊張してしまった。
なので返答の仕方が、少しばかし変になっている。
本当、男は美人に弱いと言うけれどまさにその通りだったぜ。
それで俺たちは、その美人店員に奥の席へと案内された。
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