新☆何でも屋

みのる

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河原へヒア ウィ ゴー!※

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朝から中村はカリカリしていた。
『お~い!まい~、まだ準備が終わらないのか?
早くしないと昼飯が遅くなっちまうぞ?ほんとうにまったく…』

『まって、もう行くから!』
と奥から声が聞こえきて、何やらバタバタと音がしたかと思うと、ガラガラガラガシャーンと盛大にすっ転んだ様な音がしてきた。間もなくう~んう~んと唸り声が聞こえて来たからまず間違い無いだろう。

店主中村は額に手を乗せヤレヤレと思いながら
『お~い!まい、大丈夫か?』

『え、ええ、大丈夫よお待たせ‼』
と膝を擦りながらうっすらと化粧をした奥さんが出てきた。じゃあそろそろ行くかと店主中村は大きなリュックを背負い、とらにリードを付け子猫ちゃん達をそれぞれ1匹ずつゲージに入れた。ゲージをどこから手に入れてきたのか某ドラッグストアの「チューリップ」模様が描かれているショッピングカートに乗せる。

さて、中村一家勢揃いでどこに行くのかと言うと今から遡ること2日前……

約2時間ものあいだ元店主の独自論が続いていた。
『ほんとにまったく‼嘆かわしい!』

一区切り付いた所をみはらかってすぐ様元店主を止めに入る店主中村。
『おっさん!俺が悪かった、もうその辺で勘弁してくれ‼
それで、今日は何か用でも有るのか?』

元店主は自分が何をしに来たのか思い出し、
『そうそう肝心なことを忘れてたよ、明後日お前さんら夫婦と私達夫婦でバーベキューでもやらないかと思ってな。
どうせ暇だろう?この間は連休だったし代わりに店番してやったけど、明後日は平日だし客も来ないだろうから店を閉めてもいいんじゃないか?』

『う~んそうだな、まい…どうする?バーベキューやりたいか?』
と振り返ると、お嬢様育ちの為にバーベキューなんかと縁がなかった奥さんが目をキラキラさせながら
『是非やりたいです‼』
と飛び付いた。

店主中村も乗り気になり、
『よし、じゃあ俺らも参加しようか!
で、おっさん…バーベキューはいったいどこでやるんだ?』

店主は待ってましたとばかりに答える。
『家の前の岩足川の河原でやるつもりだから、明後日の昼より少し早めに来てくれ。』

……という訳で現在に至る。

ガラガラとショッピングカートを押しながら散歩気分で歩を進める2人。奥さんが、
『私、バーベキューなんてはじめてだから…とっても楽しみなの♪』

『へ~、そうなんだ。じゃあ今回おっさんに誘ってもらえて良かったな!』

『ええ、でも本当に食材持って行かなくていいのかしら?なんだか悪い気がするわ・・・』
と気にするも店主中村はあまり気にもせずに、
『こっちで用意するって言ってたんだからいいんじゃないの?いざとなったら例の箱も有るし。』
等とやり取りしてうちに目的地に到着した中村夫妻。ふと川原の方を見やると既にいつでもバーベキューをはじめられるように準備がされていた。

中村夫妻に気付いた元店主が2人に声をかける。
『やあ来たね、いつでもはじめられるから早く来たまえ。』

すかさず店主中村は返事を返す。
『あぁわかった、それよりもどこから降りれるんだ?』

『あ~、もう少し先から降りれるようになってるからそこから来ると良いよ。』

中村夫妻が更に歩を進め河原への降り口付近まで来るとたまがお出迎えにやってきた。
にゃ~ん
『あら、たまちゃん♡お出迎えに来てくれたの?』
たまのお出迎えと久しぶりの再会だったので喜ぶ奥さん。

子猫ちゃん達をゲージから出し、とらのリードも外してやる中村夫妻。するとまってましたとばかりに河原へと駆け出す猫の親子、中村夫妻もヤレヤレと後を追う。

『おっさん、随分用意が早いな…もっと早くに来た方が良かったか?』

『いや構わんよ、暇だから早くから用意しただけだからね。
それよりもさっきから気になってたんだけど…お前さんのその大荷物は何かね?』

『いや、これは・・・バーベキューするなら必要かと思って前に買ったのを持って来たんだけど…必要なさそうだな。』
と言い、“はぁ~、これ重かったのにな・・・“とため息混じりに呟く店主中村。

『今日はお誘い頂きありがとうございます。』
と軽くお辞儀をする奥さんに、

『あら、まいちゃん久しぶりね♪元気にしてたかい?』
と元店主奥さんも挨拶をする。

『はい、お陰様で…(以下略)』
などとしばらく談笑をしたのち、元店主がそろそろはじめるかと声をかけるとそれぞれが二手にわかれ店主陣は火起こしをして飯盒と鍋を火にかける。奥さん陣は野菜や肉を切っていく。
準備を終えいよいよ調理に取り掛かる。元店主が様々な肉や野菜を豪快に焼きはじめ元店主の奥さんは何故か用意されてた天麩羅鍋で菜の花や大葉などを天麩羅にしていく。

頃合をみはらかった元店主が、
『よし、ご飯も炊けたしお前さんらはもう良いから遠慮せずどんどん食え!』

待ってましたと飛び付く店主中村と、お先に頂きますと声をかけて席に座る中村奥さん。

『これはいったいなんだ?中々美味いな、どこで売ってるんだ?』
中村が菜の花の天麩羅を食べながら質問をすると、

元店主が対岸の方を指差し、
『あそこにいっぱい咲いてるんだよ。』
と言うものだから中村がつられて指が差してる方を見てみた。すると犬が走り回っており立ち止まったかと思うと悠々と片足を上げた。

途端にブーっ!と吹き出しゴホゴホとむせ返る中村、落ち着くとすぐ様元店主に苦情を入れる、
『おっさん!なんつーもんを食わせるんだ!!あそこは犬のトイレじゃないのか!?』

元店主は落ち着き払い返事をする。
『安心しろ、うちのが老後・・・じゃなくて暇を持て余してるからとはじめた家庭菜園のだから問題は無い。』

中村はやや警戒しながもまたたべはじめる。焼けた肉を幾つか皿に取りその中の1つを箸で摘み店主に、
『牛肉と鶏肉は分かるんだが…この肉はなんの肉だ?匂いも少しクセが有るみたいだけど…』

『あぁその肉か、先日ちょっといい肉が手に入ってね。
そう言えばここら辺に野良犬が出てね、もうちょっとでたまが襲われる所だったんだ。』

その言葉を聞いた中村はゴクリと唾を飲み込み、箸に挟まれてる肉をマジマジと見ている。

固まってる中村を見かねて元店主が声をかける。
『その肉は羊だから安心して食え、いくらなんでも犬の肉なんか出さんよ。』

中村は訝しげに、
『おっさんならやりかねないから怖いんだよ、ほんとうにまったく…』

一悶着は有ったものの和気藹々とバーベキューを楽しんだ面々は、さてそろそろ片付けようかとなり後片付けをはじめた。
猫ちゃん達は久しぶりのお御馳走を平らげ、つい先程まで走り回って遊んでいたが遊び疲れたようで固まって寝ている。

『後片付けも終わったし…帰るかと、どうだい家によっていくかね?』
『う~んどうしようか…』
と言いながら歩きはじめた4人と7匹、県道まで上がってくると店主中村が叫んだ。
『あれ?ここに置いて置いたチューリップ薬局のカートが無い!誰かに盗られたのか?誰が持って行ったんだよ、ほんとにまったく!!』
とプリプリ怒っている。



タラコ唇さんの画力の限界💦
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