禁断の青い果実

『母親』として。『あたし』として。

『唄』は『誰』のモノ？

ーその日ー
『現場』を目撃してしまった事を本人達に悟られぬよう、「何食わぬ顔」を貫き、終始『あの子ら二人』の前で平静を装い続けるのがどれだけ大変だったか………


『では！オジャマしましたー♪』
ニッコリと「優しい唄の母親」を忠実に演じ通した。


ヒカリちゃんが帰って、漸く唄は解放された。

「その事」に何故かホッとしている自分がいる事には……知らないフリをした。


だって、あたしは唄の母親なんだから…………


『ねぇ………唄、
今日の晩ご飯、何を食べたい？』

おれは真希さんに、そう初めて聞かれた。

それで迷うコトなく！おれは答える。

『肉じゃが！』

真希さんはジャガイモを一つ手にすると、

『肉じゃがだね？
任せとけ♪』

今まで誰にも見せたコトの無いような笑顔でおれにそう言った。

その笑顔におれがやられないワケがない。


ソファーでばぁちゃんとテレビ見てると、

♪ピンポンピンポン♪♪

まさに！けたたましい呼び鈴の音。

…………まさか………………(滝汗)

おれはこんな呼び鈴の鳴らし方をする人間を唯一一人把握している。

真希さんは「戦闘中」であった為に、おれが代わりに出る。

『……どちら様ですか？』

すると暗くなりかけているインターホンの先から見慣れたカオが覗く。

「「アタシアタシーーーっ♡」」

ホラ、な…………………………
おれは仕方なく玄関の訪問者を出迎えるコトにした。


ガチャ。

『よぉ！唄♡アタシアナタに会えなくて、とても寂しかったのよ♡』

玄関先で"ヤツ"より濃厚な抱擁を受ける。

『ちょっと…………
く、苦しい…………』

二人でじゃれてると、戦闘を中断した真希さんがやって来た。


『あら！踊じゃない？
プチ久しぶりよね？
前に来たのって………「オヤツパーティー」だったよね？』

ニッコリ微笑み、真希さんは言う。

すると同じく！それに対抗するかの如くにニッコリと微笑み返し、踊も返す。

『ハイ！それくらいです！
ちょっと唄を拝借します！！』

言うなりおれのカラダは宙に浮いた。

『スグに返すんでーーー♪♪♪』


そうしておれはおれの部屋に連れ込まれた。

おれのベッドを見るなり踊が呟く。

「………てか！シングルベッドか…………(悩)」
オレの体重なら！破壊必須だろうなぁ………

………仕方ねぇ。」


おれはヤツにカーペットの上に寝技をかけられた。

「………悪いようにはしねぇからよ………♡」


この後おれはどうなるか、理解しているつもりだ………