禁断の青い果実

唐突に増えた『家族』

ヤツの『同居』

『やだァ……♡
聖人さんったら………こんな朝っぱらから……唄も見てるじゃない………』


いきなり！真希さんから「新しい父親」をプレゼントされたおれ。
その明くる日からおれン家に『居候』して来た「ヤツ」。
そしておれの目の前で朝飯時から堂々とイチャついてみせる二人が、なんか面白くなかった。


ーその日は土曜日ー
おれはビグホを手にすると、電話先にカーソルを合わせて呼び出す。

一瞬だけメロディーコールが流れて「相手」の声が聞こえる。

「「もしもし？」」

おれは光莉を市街地に呼び出した。
てか「恋人」だし？デートとか当たり前だろ？


待ち合わせはいつもの喫茶店。
いち早く出向いたおれよりも少し遅れて現れた光莉。

……遅れたというのは適切なコトバではないな。
おれが早くに来すぎただけだ。


『ごめん、待った？』

『いや、早く来すぎたのはおれだし？』

言いながら極甘にしたアイスコーヒーでノドを潤す。

『すいません、私も彼と同じモノをください。』

『かしこまりました。』


光莉はおれと同じモノを注文した。その注文の品が届くのを待機するおれの目に、一組のカップルが飛び込んできた。

彼らはそれぞれチョコパフェとくりぃむソーダを楽しみながら、一向に話をしない。
どちらも照れて話を切り出せないのが一目瞭然である。

でも彼らはなかなかの「イィ大人」である。


『お待たせしました、アイスコーヒーになります！』

『ありがとうございます♪』


光莉の注文が来たところで、おれは話を切り出した。

『なぁ、ホテル行こうぜ？』

『はぁ？アンタ、突然何言ってんの！？』

思わず飲んでるアイスコーヒーが鼻に入るところだった………
昼も昼、真昼間から一体うっちゃんはどうしたのか？

でも、彼の目を見てると………
断れなかった……

それ程に今日のうっちゃんの目は、

"おれに構ってくれ！"

そう私に訴えかけてた。


『じゃあ……行こうか？』

アイスコーヒーは半分以上グラスに残るまま、私たちは「次」へと向かう。