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泉 龍之介
肉バルにて 2
しおりを挟む「んー…おれも潮吹き?とかできたほうがいいのかなぁ…」
ひなの衝撃的な一言に、じゅんくんの口から勢いよくレモンサワーが噴射された。
正面に座っていたなおがそれをモロに浴びたけど、普段から割と冷静ななおはこんな時も冷静で、「きったな」と言いながらおしぼりで拭きつつ、隣に座ったひなに「かからなかった?大丈夫?」と声を掛けている。
そしてじゅんくんはといえば、けいに「あんたが吹いてどないすんねん!」と鋭いツッコミを入れられていた。
「ねぇりゅう、どう思う?」
つんつんと袖を引っ張られたかと思えば、デケェタレ目がこっちを見上げてくる。
──えぇ、俺?俺に聞くの?
元はと言えばひなの爆弾発言のせいで割とテーブルの上が地獄絵図なのに、目の前のハプニングなんて我関せず、もう彼の頭の中は潮吹きのことでいっぱいらしい。
だけど潮吹きできたほうがいいかどうかなんてそんな質問、なんて答えるのが正解なのか俺には分からなくて、「ひなが潮吹きしてぇなら俺と練習する?」なんて気の利かない返しをしながら頭をぽんぽんするしか出来なかったし、周りからは白い目で見られたしで、流石の俺でもちょっと心が折れかけた。
「…れんしゅうするの?いまから?」
「いや、今ここ肉バルなんで今からは無理ですけどね?」
ひな以外の4人から白い目で見られて、自分的にもその返しは無いわと思ってて、多分ひなもドン引きだろうと覚悟を決めたのに、カシオレ一杯で酔っ払ったひなはもう正常な判断が出来なくなってるらしく、意外と食いついてきて逆に焦る。
「…なんだぁ。じゃあしない。眠くなっちゃうもん」
「あ、そうなのね」
──くそおおおおおお。なんで俺達は今肉バルなんかにいるんだ!なんでここラブホじゃねぇんだちくしょう!
今じゃないならしないってことは、今だったらしたってことだろう、多分。
だから俺は、口では冷静に返しながらも内心、現在地をめちゃくちゃ悔やんで地団駄踏んでいた。
すると眠くなっちゃうという言葉通り本当に睡魔に襲われ始めたらしいひなが、頭をぽんぽんする俺の手にスリスリと擦り寄ってきて、思わずでれっと顔面が崩れたのが自分でも分かった。
「んふふ、なんかりゅうの手って安心する~。好きぃ」
「……なぁ、襲っていい?」
「駄目です」
なおに真顔で返されたけどそんなんどうでもいい。
前言撤回。
今すぐここで潮吹きの練習しよう。
ここ肉バルだけどいいべ、ひなのちんこだって肉みてぇなもんだし、ちょっと肉汁溢れさすだけだから、って言ったら、こたが「最低…」といつもの犬みてぇな人懐っこい目からは考えられないほど冷めた目で見てきた。
だって、しょうがなくね?
こんな可愛いことされて我慢出来る男っていんの?
だとしたらそいつ不能なんじゃね?
いいよもうなんでも、俺は自分の欲望に忠実に生きる。
ずっとくふくふ擽ったそうに笑いながら俺の手に擦り寄ってくるひなに、俺の肉汁も溢れそうだ。
俺も男相手にここまで興奮できるんだって、ひなに出会うまでは思いもしなかったし、ぶっちゃけSTSなんてちょっとうさんくさいと思ってたけど。
今では入って良かったと心の底から思う。
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