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泉 龍之介
きっかけ
しおりを挟む俺は、ガキの頃からあまり勉強が得意じゃなかった。
そもそも大人しく人の話を聞くっつーのが苦手で、理解する能力?も多分人より足りてなくて、なんとか中学までは卒業したものの、高校には行かずに働き始めた。
まぁ、高校に行かなかったのは俺が馬鹿なのだけが理由じゃなかったんだけど。
俺の両親は俺が6歳の時に離婚した。
その原因は母親が外に男作ったからで、母親は俺と親父を置いて出て行った。
それから男手一つで俺を育ててくれた親父が、俺が高校の進学先をどうするか決めている時期に病気でぶっ倒れて。
命に別状は無かったし、治療費は生命保険でほとんどどうにかなる?らしいけど、それまでと同じように働けなくなった親父の財力では高校に通うだけの余裕なんて無くて、まぁ元々学校なんて行きたくなかったしじゃあ働くかっつーことで高校に進学するのは辞めた。
とはいえ中卒でできる仕事なんて限られてる。
工場、飲食、原付の免許を取ってからは配達…色々やったけどあんま稼げなかったり、仕事を覚えられなかったりして辞めた。
体力と筋力だけは自信があったから、鳶の仕事は結構良かった。良い稼ぎになるし。
でも、他の職人と殴り合いの喧嘩しちまってクビんなった。
一つ言っておくと、俺が吹っ掛けた訳じゃない。
ガタイが良くて顔立ちがハッキリしてる俺は割と柄悪く見られがちだけど実際には結構平和主義者だからね?
向こうが先に手出してきたんだ、クソ弱かったけど。そんなん、やられたらやり返すでしょうが。
で、20歳過ぎた頃から23歳ぐらいまでホストをやった。
自分じゃよく分かんねぇけど俺は顔が整ってるらしく女が結構寄ってくるから、すぐに稼げるようになった。
だけどこの仕事はあんま向いてなかった。
俺はこう見えて意外と酒が弱い。
あと、人の話を聞くのが苦手だから客の話を聞くのも苦痛で、ちゃんと話聞いてなくてクレームが入ったりした。
一番問題だったのが、俺は女が苦手だってこと。
女が苦手というか、女を恋愛対象として見れねぇ。
俺と親父を捨てたクソババアのせいで、女は裏切るもんだっていう認識が植え付けられちまってて。
だから、女友達はいたけど女と付き合ったことは無い。
恋人がいたことはあったけど、全員男。
じゃあなんでホストなんてやったんだって言われたら、ほんとにね~なんでだろーね~って感じだ。
まぁ、付き合ったりする訳じゃなければ大丈夫かなって思ったみてぇなところはある。
ただ、客の女が勘違いして言い寄ってきてりすんのがすげぇめんどくさかった。
こっちは女と付き合う気ねぇのに。
だけど困ったことに、俺のちんこは何故か女相手じゃないと勃たなかった。
今まで付き合ってきた男達とセックスしようと試したことはある。
でも、男相手だと勃起しない。
いくら好きだと思っていても、だ。
付き合いたくはないのに、身体が反応するのは何故か女だけだった。
だから客の女を抱いたりしたせいで、余計に相手に勘違いさせちまったんだと思う。
それでホストを辞めて、今度は女性専用風俗で働いてみたけどそっちも同じ。
勘違いした客に言い寄られることが増えてそれが面倒で辞めた。
で、次はなんの仕事するかなって困ってた時にゲイビ男優のスカウトを受けた。
最初は無理だと思った。
俺は気持ちはゲイだけど、身体はストレートで、男を抱いたこと無かったしこれから先も男相手に勃つ気がしなかったから。
そのことをスカウトマンに話したら、STSを紹介された。
今更気持ちをストレートに寄せるのは無理でも、身体をゲイに寄せるなら出来るかもしれない。
AV男優になりたいからとかじゃなく、いい加減自分の心と身体を一纏めにしちまいたくて、俺はSTSに通い、ついでにゲイビに出ることを決めた。
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