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熊谷 純平
けいの悩み
しおりを挟む「…あー、俺もがっつりチューしたかったわ…つかこのままやったら俺、一生チューもエッチもできひんやん…」
1階の部屋へと戻り、椅子に腰掛けた途端、大きな溜息を吐いてガクリと項垂れるけい。
「ねぇ、けい。何があったのか分からないし、絶対大丈夫なんて無責任なことは言えないけど、おれにできることがあったら言って?なんでもは無理だけど、なるべく力になりたいからさ」
そんなけいの足元にしゃがみ込んだひなが、下から覗き込むようにしてけいに慰めの言葉を掛けている。
そんな健気な妹分の姿を見て、オレも黙ってはいられなかった。
「けい、オレも、お前より経験少ないと思うけど、もし困ってんなら力になりてぇからいつでも言ってくれよな。一応これでも年上だし」
「おれも全然知識ないけど、協力できることあるならするー」
「俺も。ここで会ったのも何かの縁なんだしさ。遠慮なく頼ってよ」
「さっきはちょっとかっこ悪いとこ見せちゃったけど、俺も一応その道のプロ…になる予定の男だから。泥船に乗ったつもりで安心して相談してこいよ」
「いやそれ沈むから。泥船じゃなくて大船な」
「こまけぇなぁ、なおは」
こたもなおもりゅうも、気持ちは同じらしい。
まだ三回しか顔を合わせていないのに一緒にいてここまでしっくりくるのはコイツらが始めてで、なおの言うようにきっと何かの縁で結ばれて、こうしてここに集まったに違いないから。
今、目の前ですっかり肩を落としているけいの力になってやりたいと、オレ達全員がそう思った。
「みんな、ほんまにありがとう。なんか、もうこのメンバーにやったら話してもええかなって気になってきたわ」
「もう、話して楽になっちゃえ。ため込むのはよくないよ?」
「…せやね。うん、もう話すわ。話して楽になりたいわ、俺。でも、頼むから、笑わんと聞いてな?…もし笑われたりしたら俺、立ち直れへんと思うから」
「うん、絶対笑わない。約束する」
優しく穏やかな調子で話しかけるひなに背中を押され、オレ達に何があったか話してくれることを決意したけいの顔は先程よりもだいぶスッキリして見えた。
そして、絶対笑わないというひなの言葉に、オレ達も強く頷く。
ただ、けいの話を聞くには、今日の残り時間では足りなさそうだ。
その為オレ達は次回早めに集まって、けいの話を聞くことになった。
しかも、次回の講習からはいよいよ前戯について学ぶらしい。
…なかなか、濃厚な一日になりそうだ。
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