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沢井 虎太郎
ボディタッチ 3
しおりを挟む「やっと俺の番だね」
そう言って微笑むなおからは、明らかに他の3人とは違う雰囲気が漂っている。
どう表現したらいいのか分からないけど、なんと言うか、こいつ絶対何かやらかしそうだなっていう感じの雰囲気。
「おいで、ひな。いっぱい可愛がってあげる」
ベッドもソファも使わずに、ベッド脇の床に立って両腕を広げるなおにゆっくりと近付いたひなくんは、遠慮がちにその腕の中へと収まった。
俯いていたひなくんの顎に手を添え、そっと上向かせたなおは、その手で今度は髪を梳き、耳をくすぐり、頬を撫で、首筋を撫で下ろしていく。
──な、なんか、圧倒的にエロいんですけどー!
手つきもエロいが、身に纏う空気が半端なくエロい。
そしてその手がひなくんの鎖骨に触れた瞬間。
「ひゃっ?!や、やだ…!」
ぶるりと全身を震わせたひなくんが、なおの腕の中から飛び退いた。
「…もしかして、鎖骨弱いの?」
「よ、弱いって言うか…、そこ触られるの苦手なの!」
「ふーん…。ねぇ、もう一回触っちゃだめ?」
「ぜったいだめ!」
自らの鎖骨を両腕でガードし、警戒するようになおと距離をとるひなくん。
「分かった分かった。触らないから。ぎゅってしていい?」
「…うん」
そして、おずおずと近付いてきたひなくんを再び腕の中に閉じ込めたなおは、あろう事か彼の鎖骨にねっとりと舌を這わせたのだ。
弱点である箇所に、経験したことの無い刺激を受けてしまってはひとたまりもない。
「あんっ」
初めて聞く艶かしい声を上げ、ひなくんはガクンと膝から崩れ落ちそうになる。
「おっと」
なおはそれを片手で受け止めると、ゆっくりとベッドに押し倒した。
──こいつ…マジでやらかしやがった。
「さ、さわらないって、言った…っ」
「うん、だから触ってないよ?舐めただけ」
「へりくつだっ」
「ごめんね。ここ触った時のひなの反応が可愛かったから、ついもっと見たくなっちゃって。でも、もう絶対触らないし舐めたりもしないから。他のところ、触らせて」
その言葉通り、その後なおがひなくんの鎖骨に触れることは無かった。
だけど、スイッチが入ってしまったのか、どこに触れられても甘い吐息を漏らすようになってしまったひなくん。
そうして残りの時間もみっちり触れられ続け、レイさんから講習の終了時間がきたことを告げられる頃には、ひなくんはもうすっかり息も絶え絶えになっていた。
「はぁ…、はぁ…っ……」
「ね?だから言ったでしょ?服着てたってやらしいことはできるって」
「なおおま、エロすぎやろ…」
「クールそうに見せかけて、実はこいつが一番エロいんじゃね?」
「オレ勃ったわ…」
けい、りゅう、じゅんくんの言葉に、おれはコクコクと頷くことしかできない。
結局、男の性には逆らえず、全員もれなくソコを膨らませてしまっていたおれ達は、残り時間を使って熱を鎮める羽目になってしまった。
次回の講習では、触れ合いに加えてキスまで進むらしい。
今度こそ、おれの男らしい一面を見せたい、けど。
つい先程見せ付けられた、なおとひなくんの触れ合いがあまりにもしっくりきていたものだから。
おれはこのまま、弟キャラを貫いた方が上手くいくのかもしれない、なんて思ってしまった。
まあ、でも、とりあえず今は。
この昂りをなんとかすることに専念しよう。
いまだベッドに横たわり、潤んだ瞳や上気した頬が目に毒過ぎるひなくんを極力視界に入れないようベッドに背を向けて、おれ達はただひたすらその熱が鎮まるのを待った。
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