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使い魔狩り

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使い魔狩りの話を聞いた日から、四日が経った。
その日もおれは、カイと連れ立って街の人達の手助けに出掛ける。

最初はおれ一人で始めた人助け。
最近ではカイも手伝ってくれるようになった。
リアムは…悪魔が人助けなんてすんなよ、と言って、基本的にはあまり手伝ってくれない。
だけどあの夜の一件以来、たまに一緒に来てくれるようになった。
今日は来てくれなかったけど。

使い魔狩りの話を聞いた翌日も、その次の日も、昨日もカイと一緒に街に出掛けたけど、あの日以来、なんだかカイの様子が少しおかしい気がしていた。

どうおかしいかと聞かれるとハッキリとは答えられないけど、ソワソワしてると言うか、話しかけても上の空だし、かと思えば突然こちらをじっと見つめてきて急にニヤッと笑ったりするからちょっと怖い。

畑で並んでお芋を掘りながら、様子がおかしい理由を思い切って訊ねてみることにした。


「…ねぇ、カイ。なんかあった?」

「へっ?な、ななななにもないよ?」


(…絶対嘘だ。)


彼は何か隠し事をしている。

おれに懐いてくれている彼は、今までおれに隠し事なんてしたこと無かったのに。

おれにも言えないようなことって、一体なんだろう。
危険なこととかしてないといいけど…。

一人グルグルと脳内で考えを巡らせていると、そんなことより、とカイが口を開く。


「ルカくん、明日の夜って空いてる?もし何も予定なければ、リヒトには内緒で1人でこの場所に来て欲しいんだけど…」


そう言って手渡してきたのは、一枚の地図。


「空いてるけど…どうしてリヒトには内緒なの?」

「それは…ごめん、今はまだ言えない。でも大丈夫、危険なこととかじゃないから。来てくれればわかるから、ね?」


ウルウルとした瞳で見つめられたら、嫌とは言えなかった。
…カイのやつ、おれがその目に弱いってこと、分かってやってる。

正直あの夜の一件以来少し警戒心が強まっていたおれは内心、もしカイが使い魔狩りの真犯人でおれのことを殺そうとしてたら…なんて一瞬考えてしまって、慌てて頭を振ってその考えを打ち消した。

大丈夫、カイに限ってそんなことある訳ない…。
でも万一ってことがあるから、カイには申し訳ないけど一応リヒトに話してから出掛けよう。

そう決めて、おれは渡された地図をそっとポケットにしまった。
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