【R18】心優しい淫魔のハジメテの相手は祓魔師でした

枯枝るぅ

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はじまり

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「…はぁー、さすがに疲れた…。でも、ルカの中めちゃくちゃ気持ち良かったよ。これからいつでもこの身体を抱けるなんて最高」

「…おれも、はじめてだったけどすごく気持ちよかった…あの…次は、いつするの?」


おれの頭の下に腕を差し込み、反対の手でくしゃくしゃに乱れた髪を整えるように撫でてくれながら気持ち良かったと言われて嬉しくなる。
そしてすっかり彼との行為の虜になってしまったおれは正直またすぐにでもして欲しくて問うと、髪を撫でていた彼の手の動きがピシッと止まった。


「……ん?ちょっと待って、はじめて?」

「え?う、うん、そう、だけど…」


ビックリしたように聞き返してくる彼は、まさかこれがおれの初めての性行為だなんて思わなかったみたいだ。

だからおれは、この見た目だから今まで人間の女を襲おうとしても同性だと思われて上手くいかなかったこと、それで魔力が尽きかけてしまい、一旦魔力を補充するため仕方なく人間の男を誘惑し襲うことにしてここへ来たことを話した。


「…だから自分が両性具有だってことも気付かなかったのか」

「うん…誰かに見られるのもはじめてだったから…」

「まじかよ、淫魔のヴァージン貰うの初めてだわ…なんかすごい、責任とらないといけない気分」


(…責任…?って、なんだろう…?)


人間は、性行為の経験が無い相手を抱いてしまったら何かしらの責任を取らないといけない決まりでもあるのだろうか?

困ったように苦笑いしてるリヒト。

もしかして、性行為の経験が無い淫魔を抱いてしまったから、その責任とやらを取らなきゃいけないのが嫌…とか?

それで契約した直後だというのに、もう契約を解除されてしまうのかもしれない。


(…どうしよう、おれ、リヒトとの契約が無くなったらまた一人で獲物を探さないといけないんだ…。出来るかな、おれに…)


悪魔のくせに、と思われるかもしれないけど、リアムもカイも居なくなった世界でまた一人ぼっちに戻るのは心細いし、こんなに心地良い場所を見つけてしまって、それを手放すのも惜しい。

だからおれはどうしてもリヒトとの契約を無かったことにされたくなくて、必死で彼に縋りついた。


「リヒト、お願い、捨てないで…契約、解除しちゃいや…」

「……は?捨てる?なんで?」

「え…だって、責任…?面倒くさいんじゃないの……?」

「ん?ああ、ごめんごめん。ものの例えだよ。別に実際責任取らなきゃとか、それを負担に思ってるとかないから安心して?」


大丈夫、こんなに俺好みの甘くてエッチな身体した子、そう簡単に手放したりしないから。
リヒトのその言葉に、強ばっていた身体からホッと力が抜けた。

それと同時に、いくら身体目当てとは言えおれみたいに弱くて性行為以外なんの役にも立てなさそうな淫魔を助けてくれて、そばに置いてくれて、魔力や精液を分け与えてくれるリヒトの為に少しでも強くなりたい、そう思った。


「あの、おれ、弱いから戦闘にも向いてないと思うけど…頑張って、リヒトの為に尽くすから…」


そう言って彼に擦り寄れば、そっと抱き寄せて髪を撫でてくれる掌が気持ちいい。


「ルカは、戦闘なんてしなくていいよ。俺のそばに居てくれて、少し家のこととか手伝ってくれれば後は自由にしてていいから」

「でも……」

「大丈夫だよ、ルカの力を借りなくても、俺結構強いからさ。…さて、俺はもうそろそろ寝るけど、ルカはどうする?」

「…おれ、悪魔だから寝ないよ?」

「うん、知ってる。じゃあさ、命令。…朝まで、このまま俺に抱っこされてて?」


命令。

そう言われた途端、首筋に付けられた印の辺りがピリッと痛み、身体中の細胞が彼の命令に従わなければとざわめき出す。

そうしておれは彼の命令通り、彼の温かな腕の中でその寝顔を見つめながら一夜を明かした。

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