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はじまり
契約 ※
しおりを挟む「…いい子だね。じゃあ、契約の印、付けさせてもらうよ」
おれの身体をゆっくりとベッドに横たえた彼は、胸元の十字架を右手で握り、左手の人差し指と中指でおれの首筋に触れ、何やらよく分からない言葉を唱え始める。
すると触れられた箇所がジワジワと熱を持ち始め、最後にそこをぐっと強く押された瞬間、バチン!と痺れるような強い痛みが走った。
「ぁうっ!」
あまりに強烈な痛みに思わず声が漏れる。
けれど不思議なことに、先程まであんなに息苦しかったのが嘘のように楽になっていて、契約を結んだ主の力を分け与えられるという言葉の意味を身をもって実感した。
「…痛かったね、ごめんね。ちょっと術を使って、首のところに契約印を入れさせてもらったんだ。これできみは俺の使い魔になったから、これからは俺の言うことには必ず従ってもらうよ」
「…はい、あ、えっと…ご、ごしゅじんさま」
「ははっ、そんなかしこまった呼び方しなくていいよ。俺のことはリヒトって呼んで。きみの名前は?」
「……ルカ」
「よろしくね、ルカ。…さて、と」
「……?」
「契約したから、もう俺の力、分けてあげてるのは、気付いてるよね?」
「…はい」
「だから、かしこまった口調も無し。でさ、分けてあげた力で、少しは回復したと思うんだけど。どうする?…俺の精液、いる?」
そういえば、これまでのやり取りですっかり忘れてたけど。
元はと言えば、おれはここに彼の精液を摂取する為にやってきたのだ。
それに、使い魔になったらたっぷり注いでくれるって言ってた…。
多少回復したとはいえ、それでもまだ命の危機を脱した、という程度。
おれがリアムやカイみたいにちゃんと人間を襲って、その体液を奪うことでしっかりと魔力を補充出来ている状態の身体だったとしたら、彼から分け与えられる魔力だけで問題なく生きていけるのだけれど。
元が極度の飢餓状態だった訳だから、カラッカラに乾いた土に柄杓一杯の水を撒いただけでは土は大して潤わず、そこで植物が育たないのと同じように、直接体液を注ぎ込まれたのではなく彼の持つ魔力を間接的に分け与えられているだけでは、おれの身体だってそうすぐには潤わない。
今この身体に、彼の精液を注いでもらったら…。
考えただけで身体の奥がジンジン痺れて、表情がうっとりと蕩けていくのが分かった。
「…すげぇエロい顔してる。欲しいの?」
「……うん…欲しい…。リヒトの精液、ちょうだい?」
彼の身体にしがみつき、誘うようにその耳元で囁けば、あっという間に衣服を剥ぎ取られ、自らの衣服も脱ぎ捨てた彼がおれの身体を貪りはじめた。
「ぁ……、あっ…あ…!」
(なにこれ、きもちいい……っ)
初めて経験する快楽に、自分でも聞いたことの無いような甘い声が漏れ出すのを止めることができない。
リヒトの熱い指が、舌が、肌の上をなぞる度に快感の波が押し寄せてきて、身体が勝手にビクビクと跳ね上がる。
そしてその唇で胸の突起をちゅうっと吸われると、頭の中が真っ白になった。
「あぁんっ...♡」
「...やらしい声。ここ、きもちいいんだ?かわいいね」
「あっあっ、なんか、そこ、へん…っんぁあ♡」
「ん、なんかすげぇ甘い…ずっと舐めてられそう」
「だめぇ…ずっと舐められたらおかしくなっちゃう…」
胸の突起を吸い上げながら舌をにゅるりと絡められ、くにくにと転がされるのが堪らなく気持ち良くて、胸元で蠢く彼の頭を抱き締め喘ぐ。
左右の突起を交互に口と指で苛められ、満足した彼の頭が下半身へ移動する頃にはおれの息はすっかり上がりきっていた。
こんなに感じやすい身体で女を襲おうとしてたのか、おれ…。
なんて少しショックを受けていると、おれの脚を大きく開かせその間に顔を埋めようとしていた彼の口からさらにショッキングな言葉が発せられた。
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