俺に王太子の側近なんて無理です!

クレハ

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9年後

31.悩み事

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「あっ!あのっ、イズリル殿...っ!」

「チッ、うるさいガキが来たか」

「ちょい!ディアンは黙る!ステイ!」

「あ、あの、イズリル殿、今日も付与魔法で作ったアイテムを持ってきたのですか?」

そう言って話しかけて来たのはこの国の第二王子であるアルフレッド殿下だ。

「今日はもう用事は終わりました、今帰る所ですよ。」

そう言って優しく笑うとアルフレッド殿下は何か話したそうにもじもじとしている。

こう言ったところはメイルには似ていないんだなー

すると、意を決したのか大きな声を出してこう言った

「い、今時間があるなら少し話せませんか!相談したい事があるのです!」

ギュッと目を瞑り返事を待つ姿を見て断れる人はいるだろうか、いや、いまいよ。

「ええ、勿論ですアルフレッド殿下。」

「本当ですか!で、では僕の部屋で話しましょう!」

「アルフレッド殿下の部屋ですか?私達が入っても良いのでしょうか?」

「イズリル殿やハーバー殿は信用できるのでっ」

「そう言われては仕方ありませんね、さ、行こうかディアン。」

「...はぁ、お前がそう言うならそうしよう。」

呆れた表情を見せるディアン。

そんなディアンは放っておいてっと

恐らくメイルとの問題かな?





ーーーアルフレッドの部屋ーーー

「さ、着きました、此処です。」

「失礼致します。」

「...」

アルフレッド殿下は使用人達を部屋から退室させると早速ですがそこに座って楽にして下さいと俺とディアンに座る様促した。

「それで、相談というのは?」

「じ、実は...その...兄上の派閥と僕の派閥がギスギスしてる、と言うか敵対しているのはご存知ですよね?」

「えぇ、そうですね。」

「ついでにアルフレッド殿下の過激派組織がかなり活発で、メイル殿下にしょっちゅう暗殺未遂をしては失敗しているとか。」

「はい、その通りです...」

何だか今にも泣きそうで俺が悪者みたいな構図になってる

「僕は兄上が大好きです、兄上の為なら王位継承権を放棄しても良いと思うくらいには尊敬もしているし...なのに周りはわかってくれず、兄上には近づいてはならないと話すことすらも出来ないのです...家族なのにっ...うっ、ひっく...」

...どうしよう、泣き出してしまった。

「僕はただ兄上が大好きなのでっ、将来は一臣下としてっ、兄上を支えていきたいと...っ、思っていた、ひっく、だけなのにっ!」

しょうがないので俺はそっとアルフレッド殿下を抱きしめる

背中を一定のリズムでトントンと軽くたたく。

「アルフレッド殿下はメイル殿下のことが本当に大好きなのですね」

そう言うと腕の中でコクコクと頷くアルフレッド殿下

恐らくだが今の所陛下達は下手に動けないと言うのが現状なのではないだろうか

着々と過激派の証拠集めを頑張ってはいるがあと一歩、あと一歩の進展がない今、下手に動いては一巻の終わりだ。なので第二王妃も第一王妃と呑気にお茶会などできる雰囲気ではない、ないのだが...これではアルフレッド殿下が可哀想だな...うーん

「アルフレッド殿下、手紙を書いてみませんか?」

「手紙...?」

あ、今普通の解決策だなと思った奴いるだろ!

俺に何を求めているのか知らんが俺は凡人なんだ!

「届ける方法は私にお任せください、何とかして見せましょう」

「あ、有難う御座います、イズリル殿っ!」


















「さて、手紙は預かった。所でディアンさんや、これどうやって渡そうか?」

「何だ、何も考えてなかったのか?」

「だって!あの流れはあの答えがベストだっただろ!?」

「ふん、カッコつけるからそうなる。」

やだ!ディアンが冷たいこと言う!!

ゔー、此処はあれだ、そのー、流石にメイルに直接渡すのはどの面下げて来たー!って追い出されそうだからここはアロナ辺りを頼るのが無難かなー

いやー、9年ぶり?

でも俺からしたらそうでもない、だって戦闘してる様子見てたからね。

「それで?イズリルはその手紙をどうやってあのクソガキに渡すんだ?」

「まぁ、とりあえずアロナを頼ってみるよ、今日の夜にアロナの部屋にでも忍び込んでみようかな」

「そうか、さっさと終わらせて早くあいつらと関わるのをやめろ。」

...もう何も言わない










その夜、イドラス学園に再び足を踏み入れている。

久しぶり!イドラス学園!

さてと、アロナの部屋は多分あそこだなー

ここはそうだなぁ、窓ガラスに小石でも投げてみるか

それか部屋に勝手に入るか

んー、此処は俺らしく勝手に部屋に入って家主を待っておくか!

俺は転移でアロナの部屋に侵入、ゴホンッ、部屋に入る。

ふーん、アロナらしい部屋だな、部屋には本が山積みでやたら書類も多いし...あっ!この本なんて絶版してるやつ!俺も見たい!!

なーんて部屋を物色しているとアロナの気配が部屋に近づいてくる。

なので俺は完全に気配を消しアロナの執務机に腰をかけ、足を組み、ついでに腕も組んで何処ぞのお偉いさんかよってツッコミしたくなる様な不遜な態度で迎えることにした。


ガチャッ


「遅かったな、アロナ」

「っ!?何者です!?」

その言葉と同時に攻撃魔法が俺に向かって飛んできた

「無効化」

俺がそう一言言うとアロナの魔法と同じ攻撃魔法で打ち消した。

「随分会ってなかったからもう俺のこと忘れたんですかー?俺ですよー、俺ー。イズリル・バードナーここに見参!」

一応おちゃらけた様な話し方で話してみるが...

もう普通に話して良いか。

「......は、え、イ...イズなのですか...?」

「それ以外の誰に見えるんだー」

「な、何と言うか...妖艶になりましたね?」

「フハッ、何その感想!そこはせめて美人でおねがいー。」

「ハァ、あれから9年ですか...貴方本当にあれから私たちの前に現れませんでしたね、結構死にかけた時もあったと思うのですが?」

「こら、俺に甘えない。結局生きてるでしょ?殿下は。」

「生きてますよ、生きていてもらわなければ困ります!そういえばメイル殿下は傷や病、それに毒の症状も治りが早いと主治医が不思議がっていました、結局体が丈夫なのだろうと言っていましたね。」

ふむ、あの魔術・・もちゃんと作動してるな。

「それは良かった」

そうやって俺はニッと笑った。

「それで?まさか今日此処にきたと言う事はメイル殿下に危険が迫っている...とかですか?」

「いや?全然。」

「...」

「...」

お互い無言で見つめ合う

「意味がわからない!!」

「まあ待て、アルフレッド殿下からメイル殿下宛に手紙を預かってるんだってば。」

「...貴方こんなに一触即発な時期に何を呑気な」

「いやぁ、アルフレッド殿下が大好きなお兄ちゃんと仲良くしたいのに周りがそれを許さないのが辛いって泣いて言うから...ね?つい。」

「つい、ではありませんよ全く」

「でも殿下にこれ渡してくれるだろ?アロナなら。」

「...」

「...」

またしても無言で見つめ合う

「はぁ、分かりました、今からメイル殿下に返事を書く様に言ってきますので貴方は此処を動かずに大人しくしていて下さいね。」

「はーい」

俺がそう言うとアロナはため息を吐いて部屋を出て行った。
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