俺に王太子の側近なんて無理です!

クレハ

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初等部編

19.魔法実技の授業

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「魔法実技の授業を始めます。おや?新顔が二名いますね。自己紹介をお願いします。」

「イズリル・バードナーです」

「...オブシディアン・ハーバー」

「よろしい。二人の実力を見る為にあの的に向かって好きな魔法を放ってください。全力で放ってもらって構いませんよ、結界が張ってありますので。」

 いや、俺とオブシディアンが全力出したらこの紙みたいな耐久性の結界なんて吹き飛ぶし。

 あと死人も出る。

 んー、あ、あの魔法でいいか。

「じゃあ俺からー」

 手を軽く前に突き出し魔力を練り上げていく。

 すると俺の周りを赤い光の粒がふわりと舞い、暖かい風が俺の髪を巻き上げる。

「爆ぜろ」

 ドガァァァァァンッ!

 的は跡形もなく消え去った。

 先生や他のみんなも唖然としている。

「いかがですか?先生」

「へ!?あ、ああ、素晴らしい魔法だった。もはや詠唱でもなかったな。いや、実に素晴らしい!次、ハーバー」

 オブシディアンは怠そうに前に立つとパチンッと指を鳴らす

「飲み込め」

 すると黒い球体が的を飲み込んであっという間に消えてしまった

「なんと!こんなに闇魔法を使いこなしているとは!二人とも素晴らしい!私から教えることはもう何もないかもしれないな!」

 先生は感極まっているので放っておくとして

「バードナー!ハーバー!二人とも凄かったぞ!」

「殿下!ありがとうございますー」

「バードナー、ハーバー、やはりあなた方の実力は素晴らしいですね、剣と魔法、どちらも優れています。文句のつけどころがありません。」

「すご、かった...僕では、とても真似できない...」

「別にウェイス殿は真似しなくていいのではー?なんにでも得手不得手はあるし。できないことに目を向けるよりできるところに目を向けて伸ばすべきだ、と俺は思うけどねー。」

「できないことより、出来ること...」

「おい、バードナー。お前の実力は認めてやらなくはない。仕方なくだ、だが態度を改めろ。いつも殿下に無礼な事をするな」

 おやおや?珍しいなぁキリエがこんな事を言ってくるとは。

「ふふふ、では親しみを込めてキリエと呼んであげようか?キリエ・クローウェル殿、俺の事はイズとでも」

「なっ!」

そう言うと顔を真っ赤にするキリエ

面白いな。

「では私の事もアロナと呼んでいただきたいです、イズリル」

「僕...も、ロニー、呼んでイズリル」

「はいはい、アロナもロニーもキリエも適当にイズって呼んでくれていいから。」

「バードナー、俺もお前の事をその...イズと呼びたいのだが」

「もうお好きにどうぞーっ」

そ、そうか!と照れながらメイルは笑っていた。




キリエ・クローウェルsid

俺は騎士団長の息子のキリエ。

幼い頃から父上から剣術を教えて貰ったり魔法を習ったりしていた。

でも、どちらかと言えば剣術の方が得意だ。
だからと言って決して魔法を疎かにしていたわけではない。

剣術の授業の時、あの日手を抜いた事実はない。むしろ殺す気で挑んだ。

だが結果はどうだ、惨敗だ。

それにあの薄気味悪いハーバーにも負けた。

俺はたまに時間がある時は騎士団の訓練に参加しているが負けたことはあまりない。

負けると言えば副団長と特攻隊長、あとは父上位だ。

それに今度は魔法の授業で圧倒的なまでの実力差を見せつけられた。

これで認めなければ俺は...

でも、メイル殿下への態度が悪い!

何なんだあいつは、いつもヘラヘラとしやがって!

それさえ治れば、その、まぁ、側近候補として認めてやらん事もないのだが!

ハーバーはいけすかない野郎だ。

バードナー...イ、イズに異常なまでの執着を持っていそうな男

あいつにはあまり深入りはしない方がいいと感が告げているのであまり話しかけないようにしている。

きっと他のやつもそうだろう。

二人の実力はまだこんなものではないはずだ。

もしかしたら剣術も俺の父上すら凌駕しているかも知れないし、魔法の方もロニーのお父上の魔術師団長を超えているのではと思ってしまう。

まあこれは憶測なのでありえないがありえそうだってだけだ。

それに、メイル殿下が言うように、確かにイズはメイル殿下を避けているような気がする。

これは気をつけていないとわからないくらいの変化だ。

何故なのかは分からない。

これだけの実力がありながらなぜ真面目に授業を受けないのかも何もかもが分からない。

所詮俺は剣を振るしか能がないのでアロナあたりならばすこしは分かることがあるのかもしれないが

いつか、あいつの事もわかる日が来るのだろうか。


end






「イズ、約束の純度の高い魔石です、どうぞ。」

「ああ、ありがとうアロナ」

「今日の授業はとても有意義でした。いつも授業に出てくれればいいのですがね」

「ははは、遠慮しておきまーす」

「もう少ししたらテストですよ?大丈夫なのですか?」

「ああ、大丈夫大丈夫、今回も首席取るからー」

「余裕ですね、負けませんよ」

「んじゃ、俺たちはそろそろこれでー、行こう、オブシディアン」

「ああ」

そう言って俺とオブシディアンはアロナと別れた。
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