俺に王太子の側近なんて無理です!

クレハ

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幼少期編

1.前世の記憶

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「にゃーっ」

猫が木の上から降りれなくなってる
僕は公爵家嫡男イズリル・バードナー5歳
5歳だからと言っても伊達に礼儀作法を学んじゃいないので木に登って助けるなんて発想すらなかった。

そう、のだ。

「猫が降りれないなら木に登って助ければいいんじゃね?」

執事やメイドに止められながらも一度もやったことのない木登りをスルスルと登り切って猫のところまで行くと手を伸ばす。

「おいで、もう怖くないぞ、猫。」

「坊っちゃま!危のうございます!早く降りてきてくださいませ!」

「セバスは心配しすぎだ。ほら、猫おいで。」

「にゃーっ!」

トンッ

グラッ

「きゃーっ!」

「坊っちゃま!」

バキバキバキッ、ドンッ

「いてて、猫、大丈夫...かな」

そこで俺の意識はブラックアウト。

そこで前世の記憶を思い出してしばらく高熱でうなされることになる。

僕、いや、俺の前世って意外としょうもなかった。

最後の心残りなんてお酒飲みたかったなぁくらいだ。まあ地震の震災で亡くなるなんてあまりいい最後でもないけどな。

これってあれか?

異世界転生ってやつ?

この世界は言わば剣と魔法の世界。

そこのバードナー公爵家の嫡男として生まれてはや5年。俺は前世とは真逆でおとなしい性格だったらしい。だが、幸か不幸か今ここに前世の記憶が重なってしまった。

ああ、これはお父様とお母様には心配かけるくらい人格が変わるかもしれないなぁ。

セバスにもメイドにも心配をかけた、後で謝らねば。

ふと意識が浮上する。

「はぁ、キツイ...熱があるのか?」

取り敢えず誰か呼ばないと。

チリンチリンッ

ダダダダダダダッ

バンッ!

「「イズっ!」」

「坊っちゃま!」

「わっ、お父様、お母様、セバスも、そんなに慌てなくても」

「何を言っているか!木から落ちてその後高熱で3日寝込んでいたのだぞ!」

「そうよ!わたくしもう心配で心配でっ」

「坊っちゃま、もう二度とあのような事は致しませぬように!」

ははっ、思ったより寝込んでいたみたいだ。

「はい、お父様、お母様、それにセバスも、心配お掛けして申し訳ありません。」

「イズが無事ならそれで良いのだ。」

「さ、まだ熱があるわ、横になっておやすみなさい、イズ。」

「はい、おやすみなさい」

お母様の冷たい手が気持ちよくてそのまま意識が落ちた。






次の日医者が来てもう大丈夫だろうと太鼓判を押されたのでベッド生活から解放された。

因みにあの時助けた猫は無事野良に帰ったらしい、良かった。

あれから俺の生活は少し変わった。

今までの俺は言われただけの勉強しかしてこなかったみたいだがここは剣と魔法の世界。ファンタジー!

そう、魔法があるのだ!

これがたまらなく面白い。

家族は今まで俺が引っ込み思案だったことを心配していたのか今の俺の性格の変化に最初は戸惑っていたものの、元気になるのはいいことだと手放しで喜んで受け入れてくれた。

きっと一人息子だから可愛いのだろう、家族や使用人の人たちは俺に甘い。

「ストーンバレッド」

バンッ

「スタン」

バリバリバリッ

「うん、今日はこの辺でいいかな」

今日も今日とて俺は魔法の練習をしていた。

6歳に魔力量や適性を見る儀式があるのだが、そんなの待ってられるか。

俺は俺のやりたい事をやる。

魔法があるとわかっていて使わずにはいられなかった。

だからこれは独学だ。家にある魔導書を読んで魔力を感じ、魔力制御を行い簡単な魔法を片っ端から試していってる。

だがここで俺は思った。

使えない属性、無くね?

俗に言うチートなのでは...?

いや待て、早まるな俺。

調子に乗るのは前世からの俺の悪い癖だ。

努力を怠る事勿れ。

学園に入るまでは俺は努力の子。
どれだけ才があろうとも俺はそれに驕らず努力すると決めたのだ!

心を入れ直して秘密の特訓は終了して家に帰る事にした。
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