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三章
39.魔法陣発動
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「ここがレベルC区域の中心部...」
視界はまだ薄暗い程度だ。
「魔法陣を発動します!魔物は皆さんにお任せします!」
「うんー、リョカ頑張れー」
「守りは我々に任せてください、リョカ先生!」
上から順にレビアと第一王子が、騎士団長と魔術師団長はお互いに顔を見合わせて頷き、周囲を警戒する。
俺は指先に魔力を込めると何も無い空間に魔法陣を描く。
まずはレベルC区域の範囲に絞って空気の魔法陣、その次に解毒の魔法陣、闇魔法でろ過する魔法陣、永続の魔法陣、封印の魔法陣、全5個の魔法陣を複雑に絡め、やがてその魔法陣はレベルC区域全体を覆った。
どのくらい経っただろう
思ったより魔力を消費したようだ
俺は額に浮かんだ汗を拭う。
集中しすぎて周囲の音などを遮断していた。
チラリと周りを見ると魔物の山が出来上がっていた。
「うわぉ、圧巻ですね。」
俺がそう言うと一斉に俺の方をみんなが見た。
「リョカ先生!魔法陣の方はどうですか!?」
第一王子が俺に駆け寄り、結果を聞いてくる
それに俺は笑って
「勿論、無事に発動しています、じきにこのレベルC区域の瘴気は無くなると思います。」
「流石、リョカだねぇー」
「リョカ先生!魔法陣を見せてもらっても!?」
そう言いながら魔術師団長は俺にグイッと詰め寄ってきた
「ええ、好きなだけ見てください、そしてもし改良出来るところがあるなら教えて欲しいです。」
「分かりました!」
「リョカ先生は凄いですね、たった1時間であの魔法陣を一人で完成させるなんて」
そう言いながら騎士団長が俺に声をかけてきた
そっか、1時間もかかったのか、あの魔法陣。
「1時間もかかってしまいましたか、次からはもう少し早く完成させるよう頑張りますね。」
これからここよりもずっと強い魔物がウジャウジャしているところに行くのだ。
1時間もかけて魔法陣を描いていてはみんなの負担が大きい。
「リョカー、普通はこの規模の魔法陣を描くにはねー、数十人の魔術師とー、丸一日の時間が必要になるんだよー?それを一人で、しかも1時間で描き上げるなんてリョカは優秀すぎるよー」
えらいえらいと言うかのように俺の頭を撫でてくるレビア。
「そうですよ、リョカ先生。あなたの魔法陣はとても美しい、あの短時間で描き上げたとは到底思えません!」
「魔術師団長、もう魔法陣は見なくて大丈夫ですか?」
「ええ、しっかり堪能させていただきました。それにしても本当に素晴らしい、あれは奇跡の上に成り立っているかのように見えて、きちんと理論に基づいて緻密に計算され尽くされた魔法陣だ。一切の綻びもない、完璧な魔法陣です、リョカ先生!」
おぉ、随分と評価されたものだ。
「ありがとうございます」
「どうでしょう、これを機に我々の魔術師団に入りませんか!」
「ダメでーす、リョカは俺の助手なので忙しいでーす」
「おや、残念ですね、ではもし職に困ったらいつでも歓迎いたしますよリョカ先生」
その言葉に俺はハハッと愛想笑いしておいた。
俺が国のために戦うとか天地がひっくり返ってもあり得ない話だ。
「うわっ!」
第一王子の驚く声が聞こえ、話し込んでいた俺たちはバッと声のした方へ駆けつけた。
「コール殿下!いかがなさいましたか!?」
騎士団長がいち早く第一王子のところへ駆けつける
「あ、あぁ、大声を出してすまない。ただ、今しがた我々が倒した魔物が黒い粒子となり消え出したのだ。あ!ほら!また!」
「!?、これは...」
俺たちもその場に駆けつけると確かに死んだ魔物が黒い粒子となって消えていっていた。
「恐らく死んだ魔物が瘴気に変換されたのでは?それを私がさっき施した魔法陣によって分解し、正常な空気に戻しているかと...」
「その工程がリョカが言ってた空気清浄機の仕組みなのー?」
「ああ、そうだよレビア。」
すると俺とレビアの会話を聞いた魔術師団長がグワっとこちらを向き、空気清浄機とは!?と聞いてきて面倒だったのでシカトすることにした。
「さ、いずれこの死体の山は消えることでしょう、殿下、先に進みませんか?」
「ああ、そうだな。では皆先に進もう!」
リョカ先生ー!と嘆いている魔術師団長を騎士団長に預けて俺たちは先を進むことにした。
それからは概ね順調に予定通り進んでいた
強いて言えば魔物が強くなった
魔法が効かない魔物も出てくるようになりはじめたのだ。
その時は物理攻撃でなんとか対処しているが、今後魔術も物理攻撃も効かない魔物とかも現れそうで面倒臭い
「これから予定通りレベルB区域の森に入る!皆心して入るように!」
第一王子の言葉に皆気が引き締まったのか顔が心なしか緊張気味だ。
まぁ、たるんだ雰囲気より少しピリピリしている方がいい。
それも行き過ぎるとダメだが。
そんなことを考えていると探索の魔法に警戒アラームが鳴った
結構強いという事だな
おれは声をひそめレビアに話しかける。
「レビア、今までの魔物より強い、気をつけろ」
「んふー、俺の心配なんてしてくれるのはリョカだけだよー」
そうやって嬉しそうに言うレビア
だが俺が警戒したと言う事実にレビアは一気に気配を変えた。
「今までより強い魔物の気配がします!戦闘準備!」
俺が声を上げて警戒を促した
こう言うのは全て魔術師団長に今まで任せていたが今回はしょうがない。
俺の索敵範囲が魔術師団長よりはるかに広いことがバレても俺の索敵にアラームが鳴った時点でヤバそうなのが近づいてきているのは確かなのだ
「後どのくらいで接敵しますか!?リョカ先生!」
魔術師団長がすんなり俺の言葉を受け入れて戦闘体制に入ったため、周りの緊張がグッと高まった。
「十秒後!正面から来ます!9!8!7!」
俺がカウントしている間に殿下を守りやすいよう騎士団長が部下に指示を出した
まぁ第一王子もそこそこ戦えるのだが念には念を入れてと言うわけだ。
「2!1!」
ガササッ!!
凄い勢いで茂みの方から出てきて突進してきたのは大きな鹿のようなツノを持った大型の魔獣だった。
取り敢えず鑑定!
ふむ、成程、魔法攻撃は効かないが物理攻撃は効く、だが回復力が極となっている...
さて、どうしたものかな
視界はまだ薄暗い程度だ。
「魔法陣を発動します!魔物は皆さんにお任せします!」
「うんー、リョカ頑張れー」
「守りは我々に任せてください、リョカ先生!」
上から順にレビアと第一王子が、騎士団長と魔術師団長はお互いに顔を見合わせて頷き、周囲を警戒する。
俺は指先に魔力を込めると何も無い空間に魔法陣を描く。
まずはレベルC区域の範囲に絞って空気の魔法陣、その次に解毒の魔法陣、闇魔法でろ過する魔法陣、永続の魔法陣、封印の魔法陣、全5個の魔法陣を複雑に絡め、やがてその魔法陣はレベルC区域全体を覆った。
どのくらい経っただろう
思ったより魔力を消費したようだ
俺は額に浮かんだ汗を拭う。
集中しすぎて周囲の音などを遮断していた。
チラリと周りを見ると魔物の山が出来上がっていた。
「うわぉ、圧巻ですね。」
俺がそう言うと一斉に俺の方をみんなが見た。
「リョカ先生!魔法陣の方はどうですか!?」
第一王子が俺に駆け寄り、結果を聞いてくる
それに俺は笑って
「勿論、無事に発動しています、じきにこのレベルC区域の瘴気は無くなると思います。」
「流石、リョカだねぇー」
「リョカ先生!魔法陣を見せてもらっても!?」
そう言いながら魔術師団長は俺にグイッと詰め寄ってきた
「ええ、好きなだけ見てください、そしてもし改良出来るところがあるなら教えて欲しいです。」
「分かりました!」
「リョカ先生は凄いですね、たった1時間であの魔法陣を一人で完成させるなんて」
そう言いながら騎士団長が俺に声をかけてきた
そっか、1時間もかかったのか、あの魔法陣。
「1時間もかかってしまいましたか、次からはもう少し早く完成させるよう頑張りますね。」
これからここよりもずっと強い魔物がウジャウジャしているところに行くのだ。
1時間もかけて魔法陣を描いていてはみんなの負担が大きい。
「リョカー、普通はこの規模の魔法陣を描くにはねー、数十人の魔術師とー、丸一日の時間が必要になるんだよー?それを一人で、しかも1時間で描き上げるなんてリョカは優秀すぎるよー」
えらいえらいと言うかのように俺の頭を撫でてくるレビア。
「そうですよ、リョカ先生。あなたの魔法陣はとても美しい、あの短時間で描き上げたとは到底思えません!」
「魔術師団長、もう魔法陣は見なくて大丈夫ですか?」
「ええ、しっかり堪能させていただきました。それにしても本当に素晴らしい、あれは奇跡の上に成り立っているかのように見えて、きちんと理論に基づいて緻密に計算され尽くされた魔法陣だ。一切の綻びもない、完璧な魔法陣です、リョカ先生!」
おぉ、随分と評価されたものだ。
「ありがとうございます」
「どうでしょう、これを機に我々の魔術師団に入りませんか!」
「ダメでーす、リョカは俺の助手なので忙しいでーす」
「おや、残念ですね、ではもし職に困ったらいつでも歓迎いたしますよリョカ先生」
その言葉に俺はハハッと愛想笑いしておいた。
俺が国のために戦うとか天地がひっくり返ってもあり得ない話だ。
「うわっ!」
第一王子の驚く声が聞こえ、話し込んでいた俺たちはバッと声のした方へ駆けつけた。
「コール殿下!いかがなさいましたか!?」
騎士団長がいち早く第一王子のところへ駆けつける
「あ、あぁ、大声を出してすまない。ただ、今しがた我々が倒した魔物が黒い粒子となり消え出したのだ。あ!ほら!また!」
「!?、これは...」
俺たちもその場に駆けつけると確かに死んだ魔物が黒い粒子となって消えていっていた。
「恐らく死んだ魔物が瘴気に変換されたのでは?それを私がさっき施した魔法陣によって分解し、正常な空気に戻しているかと...」
「その工程がリョカが言ってた空気清浄機の仕組みなのー?」
「ああ、そうだよレビア。」
すると俺とレビアの会話を聞いた魔術師団長がグワっとこちらを向き、空気清浄機とは!?と聞いてきて面倒だったのでシカトすることにした。
「さ、いずれこの死体の山は消えることでしょう、殿下、先に進みませんか?」
「ああ、そうだな。では皆先に進もう!」
リョカ先生ー!と嘆いている魔術師団長を騎士団長に預けて俺たちは先を進むことにした。
それからは概ね順調に予定通り進んでいた
強いて言えば魔物が強くなった
魔法が効かない魔物も出てくるようになりはじめたのだ。
その時は物理攻撃でなんとか対処しているが、今後魔術も物理攻撃も効かない魔物とかも現れそうで面倒臭い
「これから予定通りレベルB区域の森に入る!皆心して入るように!」
第一王子の言葉に皆気が引き締まったのか顔が心なしか緊張気味だ。
まぁ、たるんだ雰囲気より少しピリピリしている方がいい。
それも行き過ぎるとダメだが。
そんなことを考えていると探索の魔法に警戒アラームが鳴った
結構強いという事だな
おれは声をひそめレビアに話しかける。
「レビア、今までの魔物より強い、気をつけろ」
「んふー、俺の心配なんてしてくれるのはリョカだけだよー」
そうやって嬉しそうに言うレビア
だが俺が警戒したと言う事実にレビアは一気に気配を変えた。
「今までより強い魔物の気配がします!戦闘準備!」
俺が声を上げて警戒を促した
こう言うのは全て魔術師団長に今まで任せていたが今回はしょうがない。
俺の索敵範囲が魔術師団長よりはるかに広いことがバレても俺の索敵にアラームが鳴った時点でヤバそうなのが近づいてきているのは確かなのだ
「後どのくらいで接敵しますか!?リョカ先生!」
魔術師団長がすんなり俺の言葉を受け入れて戦闘体制に入ったため、周りの緊張がグッと高まった。
「十秒後!正面から来ます!9!8!7!」
俺がカウントしている間に殿下を守りやすいよう騎士団長が部下に指示を出した
まぁ第一王子もそこそこ戦えるのだが念には念を入れてと言うわけだ。
「2!1!」
ガササッ!!
凄い勢いで茂みの方から出てきて突進してきたのは大きな鹿のようなツノを持った大型の魔獣だった。
取り敢えず鑑定!
ふむ、成程、魔法攻撃は効かないが物理攻撃は効く、だが回復力が極となっている...
さて、どうしたものかな
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