上 下
17 / 43
一章

15.闇ギルド

しおりを挟む
ふあぁぁぁっ

おれはデカいあくびをする

今までの寝不足を解消するかの如くよく眠れた。

多分昨日の夜レビアと話ができたからかな

俺は目をこすりながらまた軽くあくびをする。

俺はクリーンの魔法をを自分にかけるとインベントリから果実水と焼きたてのパンを取り出す。

このインベントリは時間停止の効果と容量は無限に入ると言う異世界の王道仕様だ。

物凄く助かってるし活用している。

まだ眠気とたたかいながら朝ごはんを食べているとドアを叩く音が聞こえた。

「リョカー、俺だ、デリーだ」

デリー...俺の朝食の時間を邪魔するとは許すまじ。

まあドアを開けないわけにはいかないので開けるがな。

その前にフード付きマントを深く被る

ガチャリとドアを開けるとデリーとギャルが立っていた。

「中に入れ」

そう一言言うと俺はテーブルに戻り朝食をまたモグモグと食べ始めた

「あぁ、朝食中に悪いな」

デリーが謝りながら部屋の中に入ってくるのに続いてギャルも入ってくる。

「あ!そのパン表通りにある幻のホイップパンじゃねーか!」

そう言ってびっくりした顔をするギャル

俺はモグモグと口を動かしゴクリと飲み込む

このパン幻のホイップパンと言うのか。

あのパン屋に通いすぎるあまり沢山このパンをお姉さんがくれたんだよなー

周りの人には内緒よ!って言って渡してくれた

有り難く受け取ってちまちま食べていたがそうか、幻なのか...

俺が食べずに黙り込んだのを見てギャルが慌てて

「あ、いや、何でもない!構わず食えよ。食べながらでも話は出来るからな!」

俺は無言でインベントリからポンッと幻のホイップパンを2つ取り出すとデリーとギャルに渡す

「ん」

「え」

「おい?」

「食え」

いつもお世話になってるしな、これくらいはいいだろう。

「あ、有難う。てか、今どこから出した!?」

「い、いただきます」

ギャルの質問には答えずに黙々と幻のホイップパンを食べ続ける俺に2人は顔を見合わせてパクリとパンにかぶりついた。

「「うまっ!!!」」

そうだろうそうだろう、美味いだろう

俺はパンを食べ終わり果実水を飲み干した。

ゴミをインベントリにポイっと入れるとまた自分にクリーンの魔法をかける。

「...用事は?」

そう言うとデリーが幻のホイップパンを食べながら闇ギルドの案内はどうするかと聞いてきた。

闇ギルドか、忘れてたな

「デリー達が案内してくれるんじゃないのか」

「あー、ほら、レビア様とかもいるだろ?」

そこでなぜレビアが出てくる?

別に案内なんて誰でもいいだろ。

今デリー達がいるならついでに頼めばいいだけの話だ。

「別に誰でもいいが...このままデリー達が案内してくれるのではダメなのか?」

「あー、じゃあそうするか。ギャルもそれでいいか?」

「ああ、俺は別に構わないぞ」

「よし、じゃあ早速行くか」









闇ギルドの場所は案外俺の家から近かった

路地を数本曲がったりしたらすぐだ。

うん、いい場所にあるな

「ここだ。ここに来たら酒場のカウンターの奴に『朝日は沈み夜が来る』と言えば地下へと続く扉を開けてくれる。試しに言ってみるか?」

え゛、こんな厨二病みたいなセリフを?

俺が?

...でも言わないといけない雰囲気漂ってるよなぁ

よしっ!恥を捨てろ!漢なら!

そう意気込んで俺は酒場のカウンターまでデリー達と一緒に移動する

はぁ、と小さくため息をつくと

「朝日は沈み夜が来る」

ボソリと呟いた

いやいや!

決して!決して恥ずかしがった訳では!!!

うゔーっ、フード被ってて良かったー、今絶対顔赤い自信しかないからな。

カウンターにいる男が静かに頷くとカウンターの中にあるドアを開けてくれた。

どうやらそこが入り口らしい。

俺たちは無言でその扉をくぐる

俺たちが階段を降りると地下にいた闇ギルドのメンバーがザワザワし始めた。

「おい、デリーさんとギャルさんだぞ!珍しいな」

「あの後ろのやつ誰だ?」

「馬鹿、お前知らねーのかよ!ここ最近話題になってるだろ、注意喚起されてる奴だよっ!」

「あんな見た目で本当に強いのか?」

「あんまジロジロみるとやべーぞ」

などなど、まあ注目の的だな。

デリーとギャルはいつもの事だからなのかフルシカトして歩いている

「リョカ、ここが通常の依頼書が貼ってあるボードだ」

ふむ、なるほど?

「そんで、こっちがリョカがこの間言ってた常設依頼の賞金首の依頼書だ」

別のボードをデリーが指差す

おお、これが...

なになに?

「貴族の暗殺依頼?」

「ああ、恨みを買ってる貴族は多いからな、しょっちゅう暗殺依頼が出てるぞ」

俺のふとこぼした疑問にギャルが答える

「そうなんだな...」

「今日何か受けて帰るか?」

えー、どうしようー

面倒くさいなぁー

俺だってね、別に好きで殺したりしてる訳じゃないんだよー?

ただ殺しの才能があったから殺し屋をやってるだけで...

まあでも1件くらい受けとくか?

「...これ」

俺が適当に指さしたのは太った貴族の姿絵が書いてある依頼だった

...ボンレスハム

えー、なになに?これってボンレスハムの領民から依頼されてる依頼書なの?

若い見目麗しい男と娘を領主邸に集めて何やらいかがわしい事をしていて、横領に他にも違法奴隷...成る程、一言で言えば悪いボンレスハムだな。

「え、お前これ受けるの?」

「...」

今更言えない、適当に指さしたらこれだっただなんて。

俺は意を決してコクリと頷く

余計なことは言わない

「まぁ、お前なら大丈夫だと思うが気をつけろよ?」

ギャルの言葉にコクリと頷く

「常設依頼を受ける時はその依頼書を向こうのカウンターに持って行って受理して貰えばいい。この貴族は遺体はそのままでいいって書いてあるからそのままな。遺体の処理の仕方まで書いてあるから隅々まで読むんだぞ?」

デリーの説明に俺はまたしてもコクリと頷く









常設依頼の受け方を教えてもらい、早速依頼を受けた。

「よし、これであらかた説明は終わったな。」

「じゃあさっさと帰ろーぜー」

「...そうだな」

帰る時も注目を浴びたがそれを俺達はシカトする

そして酒場、闇ギルドを後にすると律儀にデリーとギャルが家まで送ってくれた

「じゃあまた分からないことがあったら遠慮なく聞いてくれ」

「またな、リョカ、...幻のホイップパンありがとな」

ギャルが照れた様子で幻のホイップパンの礼を言う。

そんなに好きだったのか、あの幻のホイップパン。

いつでもあげるから沢山遊びに来なさいな

そんなことを思いながらデリー達を見送り、さてどうやって殺そうかと考える俺であった。




しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

社畜だけど異世界では推し騎士の伴侶になってます⁈

めがねあざらし
BL
気がつくと、そこはゲーム『クレセント・ナイツ』の世界だった。 しかも俺は、推しキャラ・レイ=エヴァンスの“伴侶”になっていて……⁈ 記憶喪失の俺に課されたのは、彼と共に“世界を救う鍵”として戦う使命。 しかし、レイとの誓いに隠された真実や、迫りくる敵の陰謀が俺たちを追い詰める――。 異世界で見つけた愛〜推し騎士との奇跡の絆! 推しとの距離が近すぎる、命懸けの異世界ラブファンタジー、ここに開幕!

買われた悪役令息は攻略対象に異常なくらい愛でられてます

瑳来
BL
元は純日本人の俺は不慮な事故にあい死んでしまった。そんな俺の第2の人生は死ぬ前に姉がやっていた乙女ゲームの悪役令息だった。悪役令息の役割を全うしていた俺はついに天罰がくらい捕らえられて人身売買のオークションに出品されていた。 そこで俺を落札したのは俺を破滅へと追い込んだ王家の第1王子でありゲームの攻略対象だった。 そんな落ちぶれた俺と俺を買った何考えてるかわかんない王子との生活がはじまった。

転生悪役令息、雌落ち回避で溺愛地獄!?義兄がラスボスです!

めがねあざらし
BL
人気BLゲーム『ノエル』の悪役令息リアムに転生した俺。 ゲームの中では「雌落ちエンド」しか用意されていない絶望的な未来が待っている。 兄の過剰な溺愛をかわしながらフラグを回避しようと奮闘する俺だが、いつしか兄の目に奇妙な影が──。 義兄の溺愛が執着へと変わり、ついには「ラスボス化」!? このままじゃゲームオーバー確定!?俺は義兄を救い、ハッピーエンドを迎えられるのか……。 ※タイトル変更(2024/11/27)

オッサン、エルフの森の歌姫【ディーバ】になる

クロタ
BL
召喚儀式の失敗で、現代日本から異世界に飛ばされて捨てられたオッサン(39歳)と、彼を拾って過保護に庇護するエルフ(300歳、外見年齢20代)のお話です。

言い逃げしたら5年後捕まった件について。

なるせ
BL
 「ずっと、好きだよ。」 …長年ずっと一緒にいた幼馴染に告白をした。 もちろん、アイツがオレをそういう目で見てないのは百も承知だし、返事なんて求めてない。 ただ、これからはもう一緒にいないから…想いを伝えるぐらい、許してくれ。  そう思って告白したのが高校三年生の最後の登校日。……あれから5年経ったんだけど…  なんでアイツに馬乗りにされてるわけ!? ーーーーー 美形×平凡っていいですよね、、、、

久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…

しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。 高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。 数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。 そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…

ヤンデレ化していた幼稚園ぶりの友人に食べられました

ミルク珈琲
BL
幼稚園の頃ずっと後ろを着いてきて、泣き虫だった男の子がいた。 「優ちゃんは絶対に僕のものにする♡」 ストーリーを分かりやすくするために少しだけ変更させて頂きましたm(_ _)m ・洸sideも投稿させて頂く予定です

完結·助けた犬は騎士団長でした

BL
母を亡くしたクレムは王都を見下ろす丘の森に一人で暮らしていた。 ある日、森の中で傷を負った犬を見つけて介抱する。犬との生活は穏やかで温かく、クレムの孤独を癒していった。 しかし、犬は突然いなくなり、ふたたび孤独な日々に寂しさを覚えていると、城から迎えが現れた。 強引に連れて行かれた王城でクレムの出生の秘密が明かされ…… ※完結まで毎日投稿します

処理中です...