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一章

7.怖かった ギャルsid

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ギャルsid

こ、怖かった。

何が怖かったかって、レビア様は勿論、あのリョカって男も怖かった。

恐らく俺やデリーよりも年下の男。

最初絡んだのは見かけないやつがデリーと俺に任せられてるエリア一帯に急に現れたから。

デリーが怪我をした時は気が気じゃなかった。

肩を外され、俺の振りかぶったナイフで刺して怪我をさせた...。

俺がちゃんとデリーの言うことを聞いていれば良かったんだ

でも、あの時は俺も気が動転していて強がるしかなかった。

そのたびにデリーがフォローしてくれて...

リョカを空き家まで連れて行って別れてから俺とデリーはすぐにこのエリア一帯にいるやつや闇ギルドのやつに注意喚起した。

ネイビーの色のフード付きマントを羽織ったやつを刺激するな、余計なちょっかいをかけるな、この男は今日から俺とデリーの保護下にある...と。

デリーが新参者を特別扱いする事に大体のやつが納得いかないと言う顔をしていた。

デリーの決めた事に文句を言うんじゃねーよ、雑魚どもが。

この調子だと絶対デリーの言いつけを守らないやつが出てくるだろうな...

そもそも、リョカは簡単にデリーの動きを体術だけで抑え込んでいたが普段だったらありえない光景だった。

だってデリーをそんなに軽くあしらえるのはレビア様くらいだったから。

だから俺もビックリした。

そして今日の出来事。

やはりデリーの言いつけを守らずに馬鹿やらかす奴はいるらしい。

身分証が出来上がったからリョカの家に行こうと近くまで来たら何やら騒がしかったのでデリーと顔を見合わせて急いで騒がしい方に走って行くと闇魔法で拘束されている2人が泣き喚きながらリョカに許しを乞うていた。

よく見ると片方の男は指が2本無い

だが尋常じゃ無い痛がり方だ。

恐らく闇魔法で痛覚を弄っているのかもしれない...

それによりにもよってレビア様まで居る

レビア様は闇ギルドのトップでその下に幹部の俺とデリーが居る。他にも幹部は居るがここでは割愛する。

レビア様に失礼のない様に言葉を慎重に選ばないと殺されて食われる。

これは別に冗談でも何でもなく、本当にレビア様は人を食べるのだ。

デリーが昨日の夜リョカに出歩くなと言っていたのもレビア様が食人衝動を抑えきれない周期に入ったからだ。

さて、話は戻るがこの騒動を引き起こした元凶どもとリョカとレビア様を見て...いや、特にレビア様が居る事に驚いて

「レビア様っ、何故こちらに!?」

とつい言葉をこぼしてしまった。

そしたらレビア様の気に障ったのか

「えー?なぁに、ギャルー、俺がいたら...駄目なのー?」

と言われ、空気が一気に張り詰める。

あ、これ俺死んだかも

と早々に諦めの境地に至るとすぐさまデリーが俺を庇ってくれた。

そのお陰で俺は急死に一生を得た。

デリーに後で謝らないと

張り詰めた空気が無くなると今度はリョカがまた指を切り落とそうと馬鹿2人に意識を戻す

その瞬間にまたしてもデリーが馬鹿2人を庇う

そしたら静かな殺意を向けられ、リョカの顔はフードで見えないのに一気に緊張感がその場を支配した。

リョカはこう言った奴はウジャウジャ湧いてくるから殺すと言うが、デリーが今回だけ見逃して欲しいと必死に説得する。

俺は余計なことを言わない様にじっとして成り行きを見守る。

最初出会った時はそんなにリョカに恐怖はいだかなかったが今回ばかりは別だ。デリーの言っていた通りこいつはレビア様と同類なんだと実感する。

レビア様が途中殺しちゃえばいいじゃんとか言うがそれでもデリーはこんな馬鹿2人のために頭を下げている

優しくて責任感の強いデリー。

仲間には甘いデリー。

あのレビア様もデリーはお人好しだと言う。

本当にその通りだと思う、でも俺はそんなデリーが大好きだ。

そんな事を考えているとデリーの熱意に根負けしたのか次があったらもうリョカの行動を止めないという方向で話がまとまった。

そしてリョカは馬鹿2人にかけていた闇魔法を解いた

おれは周りにいた奴に適当に声を掛けこの2人を連れて先に戻っていろと指示を出す。

そしてまだ話をしているデリー達を置いて先にリョカがキレる原因となった肉の串焼きを表の屋台で沢山買い込むと先ほどの場所までまた戻って来た。

何も知らないリョカはレビア様にむかって無愛想な口調だし呼び捨てするしで俺とデリーはずっとハラハラしっぱなしだ。

だがレビア様はリョカが気に入ったらしく、なんと名前は呼び捨てでいいと言ってその場を去っていった。

何だかどっと疲れた。

後はリョカにこの紙袋沢山に入った肉を渡すだけだ。

「おい、リ、リョカ、これ。」

そう言って差し出した紙袋をボーッと見つめるリョカ

「べ、別にお前のためじゃねーぞ!デリーが色々と、その、大変だから!少しでもサポートするために買って来たんだ!」

そう言って俺は紙袋をリョカに押し付けてデリーの後ろに隠れる。

リョカは機嫌が元に戻ったのか微かに笑ってありがたく貰っておく、と言うと俺の頭をひと撫でして去って行った

「んなぁ!?」

「ハハッ、ギャル顔が赤いぞ」

「デリー!からかうな!」

「悪い悪い、叩くなよ」

「あ゛ー、疲れたー」

「そうだな、とにかく馬鹿する奴がまた出てこない様に俺達のエリア一帯だけでも徹底しておくぞ、リョカはレビア様のお気に入りになったから余計にだ。」

「...そうだな。」

俺達のエリア一帯がよくなっても他のエリアがどうかまでは分かんねーけどな。

あー、神様、最低限の平和がこれからも保たれます様に。


end

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