青い春を漂う

CHIKA(*´▽`*)

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美術家での出来事

麺類オンリーやday

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 レストランの中はそこまで、人が多くなかった。
 同じような考えの人が、今日はもういいやってなって帰ったのかな、分かんないけど。
 ほんとはたくさん店があるはずなのに、ほとんどシャッターが下ろされていた。
 うどんやラーメンやそばを扱っているだけが、数店開いていた。

 ここのレストランは専門店ばかりで、ラーメン店ならほんとにラーメンしかない。
 つまりその道のプロが極めたものだから、味はとても美味しいのだ。
 何なら店の中には有名なチェーン店もある。バリエーションが豊富なのだ。
 だからこそ、ここで食べようと思ったのに、今日に限って何でだ。
 やっと食べたいものが明確に分かったとも、言うのに。
 スタッフの目の前で、大げさに溜め息をついてやりたい。
 何か下らないことでもいいから、軽く仕返しをしてやりたい。
 ただ腹の虫は何か食べ物を欲している。仕返しなんて大人げないしやめておこう。
 彼が近くにいることだし。

 ということで、とりあえず何かしら食べることに。
 空いている席を適当に見つけて座る。食べ物は券売機で買うようだ。
 そしてその売られている店に食券を渡して、番号札を受け取り、番号が呼ばれるまで席で待っておくという手順だ。スタッフの方がそう教えてくれた。
 「麺類か……となるとかな~り限られてくるよね」
 「結は……麺類以外が食べたかったからここに来たんだろ」
 「そーだよぉぉぉぉ」
 彼の前なんて気にせず机に顔を伏せた。というか脱力しただけかも。
 「今日は昼ご飯、我慢するとか?」
 「そーれーはぁ……考えたけど朝昼なしは流石にきつい」
 「じゃあ何か食べるしかないな。麺類という限られた中で」
 「うぅ……」

 これは一種の罰ゲームではないだろうか。
 何か食べたいけど思いつかないから、とりあえず色んな食べ物がある場所に行ってみたら
 まさかの事前告知なしの麺類縛り。
 ドッキリを喰らった気分だ。とりあえず縛られた中から選ぶしかない。
 「大河君は何にするつもり?」
 「俺か? うーん……豚骨ラーメンと醤油ラーメンかな」
 「ラーメンかぁ~いいね」
 そもそもまだメニューすら見ていない。この現実を受け止めたくなくて。
 でも受け止めるしかないのだ。それ以外に道はない。
 仕方なくこの状況を受け入れ、メニュー一覧を見ることに。

 麺類という限られた中で少ないだろうなと思っていたけど、想像以上に多かった。
 うどんやパスタやラーメンやそばやそうめんしかないけど、その一つ一つがたくさんあった。
 最初に開いたページには、ラーメンがたくさん載ってある。
 そこから順番にうどん、そうめん、そば、パスタ。

 とりあえず今どんなものが食べたいか考えることに。
 あっさりとしかものが食べたい。いや、こってりとしたものも捨てがたい。
 その間のようなものは何か、ないだろうか。
 隅から隅までメニューを見る。自分の要望にぴったりなものがあるはずだ。
 例えなくても、それに近いものがきっとあるはず。

 一から全て目を凝らして見た。
 けどどうやら全体的にパスタが、私の要望に合いそうなものが何個かあった。
 ということでまたパスタのページに戻り、合いそうなものをめくって戻してと見比べていく。
 こうしている間に彼は食券を購入して、一通りの手順を済ませていた。
 自分の番号が呼ばれるのを待っている。
 しかも購入しに行く時に、先に買ってくるなとわざわざ言ってから買いに行った。
 別に言わなくても、勝手に買いに行って良かったのに。
 こういう配慮が他の野球部の人と違うなあと思う。

 「俺も、結の食べたそうな昼ご飯探すの手伝おうか?」
 その提案はとても有り難かった。メニュー決めに頭の中が混乱していた。
 もう適当に、天の神様で決めようかと思っていた矢先だった。
「お願いします! 大河様っ」
「俺は神様じゃないぞ。んで結はどんなものが食べたいんだ?」
「若干諦めかけてるんだけど~、あっさりとこってりの間」
少しの間、沈黙が生まれた。理由はなんとなくだけど分かる。
「ちょっと考えたんだけど……あっさりとこってりの間ってなくないか?」
「うん、多分きっとない」
 候補になった食べ物も全て、あっさりかこってりかどっちかに偏っていた。
 というかそもそも、あっさりとこってりの間はこの中にはないのだろう。
 時計を見ると席についてから、10分ほど経過していた。
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