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ミルクティー大騒動~新たなるミルクティーを求めて三千里~
ASMRに出てくる食べ物や飲み物ってなんか実食してみたくなるよね
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まさか初めて会った人と、ご飯を一緒に食べることになるなんて。
想像もしていませんでした。とてもフレンドリーな人ですし、優しい方です。
鬱々としていた気持ちはもうどこかに吹き飛んでいました。
私と3歳違うだけなのに、もっと年上なのかと思ってしまいます。
お互い本名も知りません。というかあえて名乗らないという。
本当に変わっている人です。友達にもこんな人はいません。
でも全然嫌いではありません。変にグイグイ来るわけじゃないですし。
そうしていたのかもしれませんけど。全然嫌ではありませんでした。
自然と心が開いていきました。だから初対面の人なのに、あの話ができました。
フリーランスと言っていましたけど、自身のホームページがありませんと。
どうやって暮らしていってるのでしょうか。そして一体何をしているのでしょうか。
色々と気になります。初対面だから仕方ないかもしれませんけど、謎多き人です。
「全部ちゃんと答えるかは分からないけど質問コーナー!」
「はい?」
席に着いたと同時の出来事でした。彼女がそう言い出しました。
「とその前に私には名前を名乗らない時に名乗るものがあるのさっ。そ~れ~は~! 『The Secret Super Girl』」
とても流暢な発音です。英語は得意分野なのでしょうか。
「んでさ、ほんっとうに今思ったんだけどさ、なんか案外長いな~って。略称も考えておいた方がいいかな~って思って。なんかいいアイデアない~?」
本当に私の想像の上を行く自由度が高い人だ。短時間に色々と情報が多過ぎる。
全部きちんと答えるか分からないけど質問コーナー。
と言った矢先に名前の代わりのようなものの略称を考えてくれ、と。
急に言われても、ぱっとそれらしいものが思いつきません。
一つの単語にしてしまうと、その意味しか通じなくなります。
となると、やはりこの名称自身を略すしか良い方法はありません。
「しくすぱとかどうでしょうか。漫画やアニメのタイトルみたいで、印象に残りやすいかと思います」
「しくすぱか~、悪くないね。いいじゃん。好き~!それはそれでいいけど、しくとすぱの間になんかいい感じの記号入れたいよね~。パソコンでもきちんと表示出来て環境依存文字って出てこないやつ」
なかなか具体的な指示です。
「とりあえずスマホのメモ帳に打てる限りの記号を並べてみましょうか。何か見えてくるものがあるかもしれませんし」
並べてみたのはいいのですが……とても混沌と化してしまいました。まるで暗号のように見えます。
やはり読める文字がないのが原因でしょうか。さてどの記号にするかです。
「まず星だよね~。でもあまりにも定番すぎるよなぁ~」
「確かに。アニメやドラマの題名によく、使われてるのを見かけますね。それだとあまり印象に残らない可能性が高いですね」
「ハートは……この中にないからだめかぁ~。一つの記号に絞ろうとするからだめなのかな。記号と記号を合体させると良い感じのが出来そう」
あまり名づけるという経験が浅いものだから、本当に思いつきません。
ただ記号と記号を重ね合わせるとなると、一つだけ思いつくものがあります。
「……顔文字とかですかね」
「それだッッッッ!」
とても勢いよく。彼女にとって素晴らしいアイデアだったのでしょう。
「うちのパソコン、良かったら使うかい?」
まさかの声の主。横を見ると大将がノートパソコンを手に持って立っていました。
「大将! どうしたんだい、てやんでいっ! 手に持ってるのはなんでぃ!」
合ってそうで合ってない江戸っ子風の喋り方です。
「お嬢ちゃん、上手いようで上手くない喋り方だな。残念ながら俺は江戸っ子じゃねぇんだ」
ちゃっかり指摘されてますし。そう言い終えるとテーブルの上に置きました。
「そういうのを確認するのはやっぱりパソコンが一番だからな! 思う存分使ってくれ。そしていいものを見つけてくれ」
凄い、まるでRPGで仲間が増えたような気持ちです。
「そう言えば、まずは昼ご飯を決めませんか。腹が減っては戦は出来ぬと言いますし」
「大将っ!」
「はい、何だいっ。お嬢ちゃんっ!」
「大将のおすすめ、よろしくぅ!」
メニュー表を一切見ようとせずに。本当に彼女は予想外の行動しかとりません。
おすすめを聞くという行動が全く予想外というわけではありません。
そういう人もいるなという程度でそこまで驚いていませんし、意外でもないです。
私が驚いている点はただ一つ。メニュー表を一切見ずにそう言ったことです。
「おすすめだねっ。了解、そこのお嬢ちゃんも同じものかい」
「え、あっ、あ、私は……。あの、それって青魚ではないですか」
「青魚ではないよ~。魚ではあるけどね、刺身だよ、刺身」
何の刺身でしょうか。青魚ではないなら少なくとも食べられるでしょう。
もしかしたら私の好きな魚かもしれません。
たまにはメニューを一切見ずに店主のおすすめにするのも、悪くはないですね。
どんなものかというわくわく感がありますし、楽しみもありますし。
「……じゃあ、私も同じものでお願いします」
想像もしていませんでした。とてもフレンドリーな人ですし、優しい方です。
鬱々としていた気持ちはもうどこかに吹き飛んでいました。
私と3歳違うだけなのに、もっと年上なのかと思ってしまいます。
お互い本名も知りません。というかあえて名乗らないという。
本当に変わっている人です。友達にもこんな人はいません。
でも全然嫌いではありません。変にグイグイ来るわけじゃないですし。
そうしていたのかもしれませんけど。全然嫌ではありませんでした。
自然と心が開いていきました。だから初対面の人なのに、あの話ができました。
フリーランスと言っていましたけど、自身のホームページがありませんと。
どうやって暮らしていってるのでしょうか。そして一体何をしているのでしょうか。
色々と気になります。初対面だから仕方ないかもしれませんけど、謎多き人です。
「全部ちゃんと答えるかは分からないけど質問コーナー!」
「はい?」
席に着いたと同時の出来事でした。彼女がそう言い出しました。
「とその前に私には名前を名乗らない時に名乗るものがあるのさっ。そ~れ~は~! 『The Secret Super Girl』」
とても流暢な発音です。英語は得意分野なのでしょうか。
「んでさ、ほんっとうに今思ったんだけどさ、なんか案外長いな~って。略称も考えておいた方がいいかな~って思って。なんかいいアイデアない~?」
本当に私の想像の上を行く自由度が高い人だ。短時間に色々と情報が多過ぎる。
全部きちんと答えるか分からないけど質問コーナー。
と言った矢先に名前の代わりのようなものの略称を考えてくれ、と。
急に言われても、ぱっとそれらしいものが思いつきません。
一つの単語にしてしまうと、その意味しか通じなくなります。
となると、やはりこの名称自身を略すしか良い方法はありません。
「しくすぱとかどうでしょうか。漫画やアニメのタイトルみたいで、印象に残りやすいかと思います」
「しくすぱか~、悪くないね。いいじゃん。好き~!それはそれでいいけど、しくとすぱの間になんかいい感じの記号入れたいよね~。パソコンでもきちんと表示出来て環境依存文字って出てこないやつ」
なかなか具体的な指示です。
「とりあえずスマホのメモ帳に打てる限りの記号を並べてみましょうか。何か見えてくるものがあるかもしれませんし」
並べてみたのはいいのですが……とても混沌と化してしまいました。まるで暗号のように見えます。
やはり読める文字がないのが原因でしょうか。さてどの記号にするかです。
「まず星だよね~。でもあまりにも定番すぎるよなぁ~」
「確かに。アニメやドラマの題名によく、使われてるのを見かけますね。それだとあまり印象に残らない可能性が高いですね」
「ハートは……この中にないからだめかぁ~。一つの記号に絞ろうとするからだめなのかな。記号と記号を合体させると良い感じのが出来そう」
あまり名づけるという経験が浅いものだから、本当に思いつきません。
ただ記号と記号を重ね合わせるとなると、一つだけ思いつくものがあります。
「……顔文字とかですかね」
「それだッッッッ!」
とても勢いよく。彼女にとって素晴らしいアイデアだったのでしょう。
「うちのパソコン、良かったら使うかい?」
まさかの声の主。横を見ると大将がノートパソコンを手に持って立っていました。
「大将! どうしたんだい、てやんでいっ! 手に持ってるのはなんでぃ!」
合ってそうで合ってない江戸っ子風の喋り方です。
「お嬢ちゃん、上手いようで上手くない喋り方だな。残念ながら俺は江戸っ子じゃねぇんだ」
ちゃっかり指摘されてますし。そう言い終えるとテーブルの上に置きました。
「そういうのを確認するのはやっぱりパソコンが一番だからな! 思う存分使ってくれ。そしていいものを見つけてくれ」
凄い、まるでRPGで仲間が増えたような気持ちです。
「そう言えば、まずは昼ご飯を決めませんか。腹が減っては戦は出来ぬと言いますし」
「大将っ!」
「はい、何だいっ。お嬢ちゃんっ!」
「大将のおすすめ、よろしくぅ!」
メニュー表を一切見ようとせずに。本当に彼女は予想外の行動しかとりません。
おすすめを聞くという行動が全く予想外というわけではありません。
そういう人もいるなという程度でそこまで驚いていませんし、意外でもないです。
私が驚いている点はただ一つ。メニュー表を一切見ずにそう言ったことです。
「おすすめだねっ。了解、そこのお嬢ちゃんも同じものかい」
「え、あっ、あ、私は……。あの、それって青魚ではないですか」
「青魚ではないよ~。魚ではあるけどね、刺身だよ、刺身」
何の刺身でしょうか。青魚ではないなら少なくとも食べられるでしょう。
もしかしたら私の好きな魚かもしれません。
たまにはメニューを一切見ずに店主のおすすめにするのも、悪くはないですね。
どんなものかというわくわく感がありますし、楽しみもありますし。
「……じゃあ、私も同じものでお願いします」
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