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EP3 復讐の黄金比4 秘されたモノ
一息ついて
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「モデルって重労働なんだなぁ……」
「うふふ。ある意味普段はできないような職業体験ができて見分が広がったんじゃない?」
昼下がりのカフェ『朱鷺』。
午前中みっちりロセのモデルの仕事の手伝い、基着せ替え人形にされ俺はぐったりと力なくカウンターに横たわっていた。
「そ・れ・に。変装、よくできてると思わない?」
「まあ、それは……そうだけど」
ロセの言葉に俺は渋々頷いた。
普段俺が着ないような服を貸し出してくれたのはロセだ。
そして俺は変化の魔法で姿かたちを変えている。
「お疲れですね、ラテアくん」
ことり。
俺の耳元で音がして、顔を上げると八潮がアイスココアを置いてくれたのが見えた。
ロセには温かい八潮特製ブレンドの紅茶だ。
「え、八潮……俺がラテアってわかるの?バレバレ?」
「バレバレではないと思いますよ。名前呼びはやめたほうがよろしそうですね」
一発で八潮に見破られ、俺はため息をつく。
単に八潮が鋭いだけなのか?謎だ。
「慣れないことをするってとにかく疲れるんだな。俺、バイトするならモデルよりも絶対ここで働く方がいいよ……」
「あーらら。モデルの仕事はお気に召さなかった?」
「モデルっていうか、どちらかというと着せ替え人形だっただけじゃねえか」
ロセにあれやこれやと引っ張りまわされ時間はあっという間に過ぎ、とるものをとったカメラマンはロセに頭を下げつつ去っていった。
アレウは後で合流すると言っていたが仕事に出ているため、俺とロセでカフェに昼食を取りに来たというわけだ。
「それはラテア君の素材がいいからだよ。普段いつもいもく……似たような服を着てるからね、色々と可能性を試してみたかったんだよ」
「お前……」
今、ロセがすさまじく失礼なことを言ったのを俺は聞き逃さなかった。
ぐるる、と喉の奥で唸り威嚇するとロセはやっべ、なんて顔をして肩をすくめた。
「でもでも、いい写真一杯撮れたからさ。あのカメラマンは一眼レフに強いこだわりを持っていてね。腕も確かだから」
ロセの言葉にひとまずは納得しておく。
というより噛みついても不毛だ。
「お昼ご飯はどうされますか?」
「私はサラダランチBで」
八潮の言葉にロセはにこりと愛想よく笑い注文する。
「……それで腹膨れるのか?」
「昨日たっぷり食べたから。ね?」
ロセはにやりと妖艶な笑みを浮かべ軽く下腹部を摩る。
こいつは淫魔で、つまりそういうことなのだろう。
(つか、バレてたのかよ)
俺は思わずバツの悪そうな顔をした。
「君はどうします?」
「俺はナポリタンランチで」
と、注文したところでちりんちりんと入口に備え付けられた鈴が鳴る。
入ってきたのは神父の格好をした背の高い銀髪男と、金魚の糞みたいな緑髪の青年と少年の間位のやつ。
そいつの首には首輪が慎められており、銀髪の男の動きがどうにも隙のない動きだったこともあり羊飼いと猟犬なのだろうと推察が出来た。
(こんな真昼間から羊飼いが来るのも珍しいな)
先程の傭兵の事もあり、変装しているとはいえ当然俺は警戒する。
しかし、声をあげたのは俺ではない二人だった。
「ロセ!?」
「……エヴァン?」
「うふふ。ある意味普段はできないような職業体験ができて見分が広がったんじゃない?」
昼下がりのカフェ『朱鷺』。
午前中みっちりロセのモデルの仕事の手伝い、基着せ替え人形にされ俺はぐったりと力なくカウンターに横たわっていた。
「そ・れ・に。変装、よくできてると思わない?」
「まあ、それは……そうだけど」
ロセの言葉に俺は渋々頷いた。
普段俺が着ないような服を貸し出してくれたのはロセだ。
そして俺は変化の魔法で姿かたちを変えている。
「お疲れですね、ラテアくん」
ことり。
俺の耳元で音がして、顔を上げると八潮がアイスココアを置いてくれたのが見えた。
ロセには温かい八潮特製ブレンドの紅茶だ。
「え、八潮……俺がラテアってわかるの?バレバレ?」
「バレバレではないと思いますよ。名前呼びはやめたほうがよろしそうですね」
一発で八潮に見破られ、俺はため息をつく。
単に八潮が鋭いだけなのか?謎だ。
「慣れないことをするってとにかく疲れるんだな。俺、バイトするならモデルよりも絶対ここで働く方がいいよ……」
「あーらら。モデルの仕事はお気に召さなかった?」
「モデルっていうか、どちらかというと着せ替え人形だっただけじゃねえか」
ロセにあれやこれやと引っ張りまわされ時間はあっという間に過ぎ、とるものをとったカメラマンはロセに頭を下げつつ去っていった。
アレウは後で合流すると言っていたが仕事に出ているため、俺とロセでカフェに昼食を取りに来たというわけだ。
「それはラテア君の素材がいいからだよ。普段いつもいもく……似たような服を着てるからね、色々と可能性を試してみたかったんだよ」
「お前……」
今、ロセがすさまじく失礼なことを言ったのを俺は聞き逃さなかった。
ぐるる、と喉の奥で唸り威嚇するとロセはやっべ、なんて顔をして肩をすくめた。
「でもでも、いい写真一杯撮れたからさ。あのカメラマンは一眼レフに強いこだわりを持っていてね。腕も確かだから」
ロセの言葉にひとまずは納得しておく。
というより噛みついても不毛だ。
「お昼ご飯はどうされますか?」
「私はサラダランチBで」
八潮の言葉にロセはにこりと愛想よく笑い注文する。
「……それで腹膨れるのか?」
「昨日たっぷり食べたから。ね?」
ロセはにやりと妖艶な笑みを浮かべ軽く下腹部を摩る。
こいつは淫魔で、つまりそういうことなのだろう。
(つか、バレてたのかよ)
俺は思わずバツの悪そうな顔をした。
「君はどうします?」
「俺はナポリタンランチで」
と、注文したところでちりんちりんと入口に備え付けられた鈴が鳴る。
入ってきたのは神父の格好をした背の高い銀髪男と、金魚の糞みたいな緑髪の青年と少年の間位のやつ。
そいつの首には首輪が慎められており、銀髪の男の動きがどうにも隙のない動きだったこともあり羊飼いと猟犬なのだろうと推察が出来た。
(こんな真昼間から羊飼いが来るのも珍しいな)
先程の傭兵の事もあり、変装しているとはいえ当然俺は警戒する。
しかし、声をあげたのは俺ではない二人だった。
「ロセ!?」
「……エヴァン?」
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