青い月にサヨナラは言わない

Cerezo

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EP2 卵に潜む悪意6 しつこいやつら

6-5(性描写あり)

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「まだ先しか挿いっていないが」
「っぐ、し、ってる……!」

 早く終わらせようにもまだ入ったのは亀頭部分だけ。そんなこと瑞雪だってわかっている。
 憎みたいから、嫌いになりたいから労るなんてやめてくれ。
 後でどうにかして仕返ししてやるとは思えど、殺したいほど憎くはない。

「滑りがよくなったな……これなら挿いるな」

 戦闘狂にとっては尻から血が出ていてもお構いなしらしい。そんな余裕がないだけかもしれないが。
 しかし、亀頭が挿いってしまえばあとは何とでもなることも事実。

「っぎ、ぃ”!?」

 どちゅんっと一気に挿入され、瑞雪は目を見開き悲鳴を上げかける。
 ぱんぱんに張った重い陰嚢が尻に当たり、手入れされていない下生えがざりざりと尻肉を削ぎ不快だ。
 
「ぉ”ぇ”……っ、げほ、っが」

 一度に奥まで挿入され、内臓が押し上げられる。薄い腹がぼこりと膨らみ思わず嘔吐く。だらだらと口元からは飲み込めない涎が垂れ流される。あらゆる体液で塗れた顔はもうぐちゃぐちゃだ。

「気持ちいい……瑞雪、とても気持ちいい。セックスとはやはり気持ちがいいものなのだな。あと少しで根元まで入るぞ」

 うっとりと恍惚そうにため息をつきつつトツカは抽挿を開始する。勿論瑞雪に準備などできていない。

「っぁ、あ”、あぐ、っぅぉ”、ぁ”……ッ」

 痛い。痛い痛い痛い。
 裂けた傷口がさらに広がり、痛みが強くなる。ちんこがごりごりと内壁を押しつぶし、一突きされるたびに中身が飛び出そうだった。
 腕の隙間から見えるトツカの目は血走っており、初めて感じる性交の快感に酔いしれているようだった。抑えきれない苦鳴が口から零れ落ちるが、最早トツカには届かない。

「っぃ、ぎ、ぅ”……っ、ふ、ぐぁ”……」

 トツカの息が荒くなっていくのと反対に、瑞雪の声はどんどんと弱弱しいものへと変わっていく。
 狭いアナルの中をみっちりと埋めるちんこは時折びくびくと震え、より一層膨らんでいく。

(まだデカくなるのか!?嘘だろ!?)

 早く終われ終われとそればかり念じていた瑞雪だったが、さらに腹の中の圧迫具合が酷くなり息も絶え絶えだった。
 血管納期出た竿がごりごりと前立腺を抉り快感が生まれるが、それ以上の苦痛がアナルの中全体から発生する。

「まだ奥……挿いるか。根元まで挿れるぞ」

 ぼそりと誰へ向けてでもなく呟くトツカ。その言葉に瑞雪はさぁっと顔を青くする。もともと真っ青だったが、さらにである。
 思わず腕のガードを解き、トツカを止めようと腕に手を伸ばす。しかし。
 
「や、めぇ”っ!?ー----~~~~~ッぉ”、がァ”……っ」

 ぐぽんっ!
 本来なら聞こえないはずの音が脳内に響いた気がする。そこは瑞雪も侵入を許した経験のない未知の領域。
 根元まで押し込んだだけで結腸の入り口を破られてしまう。もともとトツカのちんこが規格外の大きさのせいだった。

「っぐ、ぅぁ……んぉ”、ぐ、くそっ」

 フローリングに押し付けられる身体も、ナカも、何もかもが痛いし苦しい。瑞雪のちんこは下を向いて萎えたまま。揺さぶられるたびに床に擦られ、快楽も確かに存在するが痛みが勝る。
 息が上がる。というより出来ない。痛みの逃し方がわからない。がりがりとフローリングをひっかいている間に爪が割れて血が滲む。

「瑞雪……気持ちいい、瑞雪」

 瑞雪のペースも苦痛も考えず、獣みたいにトツカは無遠慮に腰を振りたくる。
 出血は止まらず、床が血で汚れる。

「っぁ、あ”……っふ、ぐぅ”、んォ”……っぎ、ァ”」

 トツカがより身体を密着させ、覆いかぶさってくる。よりちんこが深く抉り、圧迫感が強くなる。
 思わず頭を横に振り、トツカの肩に手を伸ばしがりがりと爪を立てて引っ掻く。しかし、子猫のような抵抗にトツカが止まるわけもない。

「っ……!」

 それどころか余計に興奮したらしい。目を見開き、瑞雪をじぃっと見つめる。その目は支配欲、独占欲、加虐欲ー様々な欲求が混ざり合ってどろりと蕩けている。
 口を開き、そのまま瑞雪の喉笛や肩、項。腕、脇腹、胸。様々な場所に歯を立て舌で舐る。まるで肉食動物が獲物を品定め、あるいは弄ぶように。

「瑞雪、イく……イきそうだ……っく、締め付け、すごい……ナカがひくひくしている」
「っぅぁ”、いわな、くて、いい”っ……ひぐ、んぅ”、ァ”……っ!」

 トツカの身体が大きく震える。張った陰嚢からぐんと精液が送られさらにちんこが大きくなる。
 ばちゅっばちゅっとより激しく、深く抽挿が繰り返される。抵抗する体力はどんどん失われ、瑞雪の手がぱたりとフローリングへと力なく落ちた。
 そんな瑞雪の手にトツカは手を重ね、押さえつけ縫い留める。手の甲がフローリングに押し付けられ痛む。痛くないところなんてないんじゃないかと錯覚するくらい、全身の痛みが酷かった。
 恐ろしいのはそんな痛みばかりの中でも前立腺や結腸を抉られるたびに快楽を感じてしまっていることだ。痛みの方がよほど強いが、その中に僅かに快楽を見つけてしまう自分が瑞雪は何よりも嫌だった。
 後で殴る、蹴る、ぶっ飛ばす。心の中で必死にそう念じる。しかし、心とは裏腹に瑞雪の意識は朦朧としてきていた。既に今日貧血で限界が近かったのに、さらに無理をさせられている。
 明日は教育実習がなくてよかった。金曜日は基本教育実習生は大学に行き、レポートを纏める日なのだ。
 ただの現実逃避だったが、とにかく目の前の苦痛と快楽を少しでも和らげることに必死だった。

「っぐぅ……!」
「ぁ、あ”ぁ”ッ……ー--~~~~ッぉ”ぁ”……っ!」

 ナカに思いきりびゅるびゅると熱い液体が勢いよく放たれる。
 トツカの身体がより強く体重をかけてのしかかる。瑞雪の身体は哀れにもフローリングに押しつぶされ、潰れたカエルのような呻き声が絞り出された。
 どぷどぷと射精は普通の人間よりも長い時間続き、アナル内の切れた箇所に酷く染みて痛んだ。

(おわ、った……?)

 押しつぶされて気道を塞がれ、美味く息が出来ない。意識が朦朧とする中、瑞雪は涙で滲んだ視界を彷徨わせる。
 トツカは瑞雪を押しつぶしたまま動かない。ぜぇぜぇと荒い息だけが部屋に響く。

「瑞雪、気持ちよかった……」
「んぅ”、う”……っ」

 少し身体が離れたと思いきや、今度はトツカの顔が瑞雪のぐちゃぐちゃの情けない顔に近づく。
 そのまま唇が重ねられ、舌をねじ込まれる。どうやらキスのリベンジをしたいようだった。抵抗する力は残っておらず、瑞雪はただされるがままに唇を貪られた。
 前回のように歯と歯がぶつかることはないが、一方的にぐちゃぐちゃにかき回されるキスは上手いとは到底言い難い。
 最も、キスなんて瑞雪もしたことがなかったからどういうキスがうまくて、どういうキスが下手なのかなんてわからない。ただ、ぶつからない分進歩しただとかぼうっと考えていた。
 自分でも驚くほど冷静だった。別に今更だった。寧ろ、気持ちがいいとかそういうことを伝えてくることに違和感を感じる。
 恋人に伝える甘さではなく、どちらかといえば親に逐一報告する子供みたいだった。

(俺はお前の母親じゃねえよ……)

 父性も母性もそんなものはない。愛なんてわからないし必要だとも思わない。
 加減を知らない目の前の獣にキスをされ続け、酸欠状態がより酷くなる。

「瑞雪、もう一回」

 もう一回。その言葉に青くなるが、指一本動かす気力がわかない。しかし、それでもトツカはお構いなしだ。
 再びアナルの中に埋められたままのちんこがむくりと大きくなる。ナカがまたも痛むが、止める術はない。

「っぁ、がァ”……!」
「みずき、みずき……気持ちいい、セックスは気持ちいいんだな、もっと欲しい。もっとシたい」

 ぬち、ぬちゅ、どちゅ。再び抽挿が開始され、瑞雪の抑えきれない呻き声が部屋に響く。
 
(……糞、やっぱり、ろくでもない。猟犬なんて、これじゃ俺が奴隷だ。血を奪って気持ちよく魔法を使うための、性欲を発散させるための肉袋じゃねえかよ……!)

 この世は理不尽だ。自分の思い通りになることなんて一つもないんじゃないかと錯覚しそうになる。
 だからと言って、自分はまだ息をしている。死にたいほどではない。だから抗わなければならない。きっと祖父はこれを見越してわざと寄越したのだ。
 やはりあいつは最悪だ。誰からも嫌われているだけある。あんな奴今すぐ死んだほうが地球にも、エデンにもいい影響を与えるに違いない。
 死ねとまでは相手に思わない瑞雪が心底死んだほうがいいと思っている相手があの祖父だった。

「瑞雪……っふ、もっと」

 そんな瑞雪の心の中など一ミリだって理解せず、トツカはただがつがつと飢餓状態とでもいうように貪り続けている。セックス、否、オナニーを楽しんでいる。
 これから先もこいつと付き合い続けていかなければならない。朦朧とする意識の中、貪られながら瑞雪はどうしたらいいのかと頭を抱えていた。
 
 

 

 

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