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EP2 卵に潜む悪意2 最悪の開幕戦
自慰の仕方なんて知るか!
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(眠れない)
チッチッとデジタル時計の時を刻む音だけが電気を消した真っ暗な部屋に響く。
ひたすらぴっちりと瞼を閉じ、時間を確認してもいないためどれだけの時間が経ったのかはわからない。
しかし、結構な時間が経過していることだけは確かだった。
(最悪だ、なんで俺がこんな目に)
夏輝とラテアが手がかからな過ぎたのだろうか?わからない。
そもそも瑞雪は人づきあいなど殆どしてこなかった。友人と呼べるような人間もいない。……そもそも必要ないし。
様々なことをもだもだと考える。考えてしまって眠れない。
何度か寝返りを打っているとがちゃ、と扉の開く音がした。真っ暗な部屋に廊下から光が差す。この部屋に入ってこれる人間なんて一人しかいない。
(無視だ無視、絶対寝てるフリしてやる)
そう固く心に誓う。
「瑞雪」
背後に気配。もだもだ考えているうちに衣擦れの音がし、トツカがベッドのすぐ傍までやってきたことがわかる。
名前を呼ばれる。思わず身体を強張らせ、息を潜める。
早く諦めてどこかへ行っちまえ、そう心の中で願う。まるっきり子供みたいに。
しかし、瑞雪の願いは叶わない。ぎしりと音がしてマットレスが沈む。トツカがベッドへと上がったらしい。
(あの野郎、諦めるってことを知らないのかよ……!ひっ)
そうしている間にもトツカが瑞雪に覆いかぶさってくる。そしてあろうことか、勃起しているペニスを瑞雪の身体に押し当ててきやがったのだ。
布団越しに感じる熱に鳥肌が立つ。一度ではなく何度も何度もぐいぐいと押し付けてくるそれはまるっきり発情期の犬か何かのようだった。いや、されたことなんてないが。
「っ、押し付けるのをやめろ!いい加減にしろ、クソがっ!」
とはいえ、瑞雪には効果覿面だった。たまらず布団を剥ぎ、身体を勢いよく起こす。
しかし、勢いあまりすぎてトツカの眼前に瑞雪の眼前が迫る。思わず拳を出すが、トツカの超反射でいともたやすく受け止められた。
「チッ……」
そもそも拳で語るようなキャラでもない。それでもあまりにも簡単に受け止められて舌打ちを漏らす。
「ふむ?やっと起きたか」
瑞雪の内心なんて知る由もなく、トツカは今本当に瑞雪が起きたばかりだと勘違いしていた。
「急な敵の接近にも対応するとは思っていたよりやるな」
上から目線の物言いに腸が煮えくり返りそうになる。この密着している状態からさっさと離れたくて、瑞雪は掴まれていないほうの手で思い切りトツカの胸を叩く。
最も、理由は離れたいからだけではない。トツカが腕の骨が軋むほど強く掴んでいるからだ。
「んなこと言ってねえでとっとと離れろ、腕が痛いんだよ!」
「ああ、すまない。力を入れていたつもりはないのだが」
訴えたところでやっと腕を放してもらえ、瑞雪はベッドから逃げるように這って距離をとろうとする。
しかし。
「おい!」
再び腕を掴まれ、ベッドに引き戻される。再び舌打ちをし、瑞雪はギっとトツカを睨みつけた。
しかもさっきよりも強い力で捕まれたものだから痛いくらいだ。ぎしぎしいやな音を立てている。思わず叫ぶが、トツカは今度は放してくれない。
「治らないんだ。何とかしてほしい。お前は何とかする方法を知っているんだろう」
そう言ってトツカは掴んだ瑞雪の手を股間へと導く。暗いため視覚的にはよくわからないが、手のひらに感じる熱と質量は確かに未だに勃起していることを示していた。
思わず喉奥がきゅっと締まり、手を引っ込めようとするががっちりと掴まれていて叶わない。
「瑞雪」
トツカの顔が間近に迫る。そこで初めてトツカがどのような表情をしているのか知る。
欲望に塗れた獣の貌。
「お前が勝手に興奮しただけだろう!何にそんな興奮する要素があった!?ただ勝手に昼間の戦いの話をして興奮したくせに、俺に頼ろうとするんじゃねえ!俺はお前の母親じゃねえよ!」
俺の命令だって聞かなかったくせに!そんな言葉が飛び出そうになって寸前で飲み込む。
そんなのあまりにも情けない負け惜しみでしかないからだ。トツカを従えられないのはトツカ自身が問題児というのもあるが、結局瑞雪の力をトツカが認めていないというのが根本的な理由なのだろうから。
そう思うのは、無知な点を除いてもトツカが瑞雪のことを軽視しているような発言が目立つからだ。
ああ、思い出すだけでも腹が立つ。しかし、腹を立てたところで目の前の男には通じない。
「瑞雪、俺に母親はいない。それに主がお前に聞けといったのだ」
主主主。そればかりだ。瑞雪の猟犬ではなく國雪の猟犬のつもりなのか?
それらも全てのみこむ。今ここで瑞雪が喚いたところで事態は好転しない。こいつとは今日だけの付き合いではないのだ。
大きくため息をつく。
「……わかった。ただし、教えるのは一度だけだ。あとは自分で勝手にやりやがれ」
負けた。屈した。今後の諸々のことを考えれば折れるしかなかった。
犬猫の世話だとでも思えばいいのか?自問自答する。
「頼む」
そう口にし、トツカはやっと瑞雪の腕を放した。
最悪な日だ、厄日だ。
夏輝達の面倒を見ることになったことも、猟奇殺人事件に巻き込まれたこともまあそんなものか程度にしか思わなかった。
でも、これは違う。
(……やりたくない)
これすら見越して祖父はこいつを瑞雪にあてがったのだろうか。確かに、的確過ぎる嫌がらせだ。
こんなの、あの淫魔のことを馬鹿にできないと自嘲する。
「下を脱いでベッドの縁に腰掛けろ。……準備するから」
素手では絶対に触りたくない。キッチンからゴム手袋を持ってくるべきか少し悩む。……流石にやめよう。思いとどまる。
ベッドから降り、電気をつけた。サイドテーブルの上に無造作に置かれたグローブを手に取り、はめる。
その間にトツカはさっさと下を脱いだらしい。恥じらいなどという感情も知識とともにきっと存在しないのだろう。堂々と下半身丸出しのまま言われた通り床で胡坐をかいている。
(今すぐこいつを家からたたき出してえ……)
心の中でどれだけ文句を言っても始まらない。瑞雪はトツカの前で屈む。
電気をつけたおかげでトツカの息子を拝む羽目になるわけで。
血管の浮いたグロテスクなペニス。何より目を引くのはその大きさだ。別に瑞雪のものだって並みの成人男性程度はあるが、これは規格外だった。
思わず腰が引けて目をそらす。同じものとは思えない。それほどまでにトツカのペニスは大きすぎたのだ。
ちら、とトツカの顔を確認する。
期待と欲望でどろどろになった瞳と目が合う。
「っ……!」
慌てて目を反らし、伏せる。傍から見ればまるで生娘のような反応だった。
そんな自分の反応が嫌になり、半ばやけっぱちになりながらトツカのペニスに手を伸ばす。
ひとまず片手でそっと触れる。グローブ越しにも伝わってくる熱。生きているものの熱さだ。
(刀のくせに、道具だっていう割に生物としての機能はしっかり備えやがって……生殖能力なんざいらねえだろうが)
心の中で毒づく。亀頭はでっぷりと太っており、鈴口がはくはくと開いたり閉じたりを繰り返している。
瑞雪が最初に勃起を確認してからそれなりの時間が経っている。普通は収まると思うのにおさまりゃしない。
とりあえず片手でそのまま竿の部分を握りこみ、上下に動かす。先走りもローションも使っていないから当然滑りが悪い。
「……っふ」
トツカが身じろぎし、息を漏らす。ペニスが手の中でぴくりと動き、思わず力を込めてキュっと握り潰しそうになる。
……全力で瑞雪がこのペニスを握りつぶそうとしたところで、ちゃんと潰れるのか?刀の付喪神のペニスは実は鉄みたいに固いとかないか?
段々と思考が現実を直視したくなさすぎて阿呆なことを考え始める。ちらつく家族のことを頭から無理やりにでも追い出す。
(こいつは犬猫、こいつは犬猫、こいつは犬猫!ペット、人間じゃない)
心の中で念仏のようにひたすら念じる。とっととイカせてしまおう。そう考え、竿を擦ることに神経を集中する。
しかし、ただ上下に扱いているだけ。まるで処女が初めて彼氏に対して手コキをするかのようなぎこちなさだ。
まあ、女の手つきよりも乱暴で雑なものだったが。
それもそのはず、瑞雪は自慰なんて必要に迫られてたまったものを出すとき以外しないのだ。
気持ちよさだとかは考えたこともなかった。さっさと終わらせたいがためにひたすら乱暴に上下に扱くことしかしたことがなかったのだ。
鈴口を親指で刺激したり、雁首を締めたりなんて思い至らない。ただ上下に機械的に動かし続ける。当然、そんな刺激でトツカがイケるわけもなかった。
(遅漏が……!)
ひたすら心の中で罵声を浴びせ続ける。
実際のところトツカは遅漏ではあったのだが、それ以上に瑞雪の手淫が拙すぎた。
責任転嫁だった。そんなことを瑞雪が知る由もなく、一旦手を止めて仕方なくグローブを手から引き抜きサイドテーブルに放る。そして引き出しの中のハンドクリームを取り出した。
(素手では触りたくないが、このまま永遠にちんこを触り続けるのも嫌だ……さっさと終わらせて寝たい)
心の底から早く終わらせたいと願う心と素手で触りたくない心を天秤にかけた結果、早く終わらせる方に軍配があがった。
ハンドクリームで滑りを足し、素手で扱く。ぬち、ぬちゅ。互いに無言であるため、部屋にはトツカの息遣いとクリームの音だけが響く。
トツカの様子を注意深く伺う。時折堪えるように眉根を潜めていた。びくりとペニスが手の中で震え、カウパーが滲んでくる。さっきよりは確実に射精に近づいていた。
……けれど、それを再び五分、十分繰り返してもトツカが射精しない。カウパーも滲む程度でそれ以上の進展はない。
「瑞雪」
「……なんだ」
上からトツカの声が降ってきて、瑞雪は忌々し気に渋い顔をしながら睨むようにトツカを見る。
「っ……!」
ずっとトツカの顔を見るまいとしていたことが裏目に出ていたのかもしれない。
イケないまま刺激だけ与えられ続けていたトツカは最初の時よりもひどい顔をしていた。
頬は紅潮し、目はぎらつき明らかに正気ではない。まるで戦闘中の時の彼のようだった。
チッチッとデジタル時計の時を刻む音だけが電気を消した真っ暗な部屋に響く。
ひたすらぴっちりと瞼を閉じ、時間を確認してもいないためどれだけの時間が経ったのかはわからない。
しかし、結構な時間が経過していることだけは確かだった。
(最悪だ、なんで俺がこんな目に)
夏輝とラテアが手がかからな過ぎたのだろうか?わからない。
そもそも瑞雪は人づきあいなど殆どしてこなかった。友人と呼べるような人間もいない。……そもそも必要ないし。
様々なことをもだもだと考える。考えてしまって眠れない。
何度か寝返りを打っているとがちゃ、と扉の開く音がした。真っ暗な部屋に廊下から光が差す。この部屋に入ってこれる人間なんて一人しかいない。
(無視だ無視、絶対寝てるフリしてやる)
そう固く心に誓う。
「瑞雪」
背後に気配。もだもだ考えているうちに衣擦れの音がし、トツカがベッドのすぐ傍までやってきたことがわかる。
名前を呼ばれる。思わず身体を強張らせ、息を潜める。
早く諦めてどこかへ行っちまえ、そう心の中で願う。まるっきり子供みたいに。
しかし、瑞雪の願いは叶わない。ぎしりと音がしてマットレスが沈む。トツカがベッドへと上がったらしい。
(あの野郎、諦めるってことを知らないのかよ……!ひっ)
そうしている間にもトツカが瑞雪に覆いかぶさってくる。そしてあろうことか、勃起しているペニスを瑞雪の身体に押し当ててきやがったのだ。
布団越しに感じる熱に鳥肌が立つ。一度ではなく何度も何度もぐいぐいと押し付けてくるそれはまるっきり発情期の犬か何かのようだった。いや、されたことなんてないが。
「っ、押し付けるのをやめろ!いい加減にしろ、クソがっ!」
とはいえ、瑞雪には効果覿面だった。たまらず布団を剥ぎ、身体を勢いよく起こす。
しかし、勢いあまりすぎてトツカの眼前に瑞雪の眼前が迫る。思わず拳を出すが、トツカの超反射でいともたやすく受け止められた。
「チッ……」
そもそも拳で語るようなキャラでもない。それでもあまりにも簡単に受け止められて舌打ちを漏らす。
「ふむ?やっと起きたか」
瑞雪の内心なんて知る由もなく、トツカは今本当に瑞雪が起きたばかりだと勘違いしていた。
「急な敵の接近にも対応するとは思っていたよりやるな」
上から目線の物言いに腸が煮えくり返りそうになる。この密着している状態からさっさと離れたくて、瑞雪は掴まれていないほうの手で思い切りトツカの胸を叩く。
最も、理由は離れたいからだけではない。トツカが腕の骨が軋むほど強く掴んでいるからだ。
「んなこと言ってねえでとっとと離れろ、腕が痛いんだよ!」
「ああ、すまない。力を入れていたつもりはないのだが」
訴えたところでやっと腕を放してもらえ、瑞雪はベッドから逃げるように這って距離をとろうとする。
しかし。
「おい!」
再び腕を掴まれ、ベッドに引き戻される。再び舌打ちをし、瑞雪はギっとトツカを睨みつけた。
しかもさっきよりも強い力で捕まれたものだから痛いくらいだ。ぎしぎしいやな音を立てている。思わず叫ぶが、トツカは今度は放してくれない。
「治らないんだ。何とかしてほしい。お前は何とかする方法を知っているんだろう」
そう言ってトツカは掴んだ瑞雪の手を股間へと導く。暗いため視覚的にはよくわからないが、手のひらに感じる熱と質量は確かに未だに勃起していることを示していた。
思わず喉奥がきゅっと締まり、手を引っ込めようとするががっちりと掴まれていて叶わない。
「瑞雪」
トツカの顔が間近に迫る。そこで初めてトツカがどのような表情をしているのか知る。
欲望に塗れた獣の貌。
「お前が勝手に興奮しただけだろう!何にそんな興奮する要素があった!?ただ勝手に昼間の戦いの話をして興奮したくせに、俺に頼ろうとするんじゃねえ!俺はお前の母親じゃねえよ!」
俺の命令だって聞かなかったくせに!そんな言葉が飛び出そうになって寸前で飲み込む。
そんなのあまりにも情けない負け惜しみでしかないからだ。トツカを従えられないのはトツカ自身が問題児というのもあるが、結局瑞雪の力をトツカが認めていないというのが根本的な理由なのだろうから。
そう思うのは、無知な点を除いてもトツカが瑞雪のことを軽視しているような発言が目立つからだ。
ああ、思い出すだけでも腹が立つ。しかし、腹を立てたところで目の前の男には通じない。
「瑞雪、俺に母親はいない。それに主がお前に聞けといったのだ」
主主主。そればかりだ。瑞雪の猟犬ではなく國雪の猟犬のつもりなのか?
それらも全てのみこむ。今ここで瑞雪が喚いたところで事態は好転しない。こいつとは今日だけの付き合いではないのだ。
大きくため息をつく。
「……わかった。ただし、教えるのは一度だけだ。あとは自分で勝手にやりやがれ」
負けた。屈した。今後の諸々のことを考えれば折れるしかなかった。
犬猫の世話だとでも思えばいいのか?自問自答する。
「頼む」
そう口にし、トツカはやっと瑞雪の腕を放した。
最悪な日だ、厄日だ。
夏輝達の面倒を見ることになったことも、猟奇殺人事件に巻き込まれたこともまあそんなものか程度にしか思わなかった。
でも、これは違う。
(……やりたくない)
これすら見越して祖父はこいつを瑞雪にあてがったのだろうか。確かに、的確過ぎる嫌がらせだ。
こんなの、あの淫魔のことを馬鹿にできないと自嘲する。
「下を脱いでベッドの縁に腰掛けろ。……準備するから」
素手では絶対に触りたくない。キッチンからゴム手袋を持ってくるべきか少し悩む。……流石にやめよう。思いとどまる。
ベッドから降り、電気をつけた。サイドテーブルの上に無造作に置かれたグローブを手に取り、はめる。
その間にトツカはさっさと下を脱いだらしい。恥じらいなどという感情も知識とともにきっと存在しないのだろう。堂々と下半身丸出しのまま言われた通り床で胡坐をかいている。
(今すぐこいつを家からたたき出してえ……)
心の中でどれだけ文句を言っても始まらない。瑞雪はトツカの前で屈む。
電気をつけたおかげでトツカの息子を拝む羽目になるわけで。
血管の浮いたグロテスクなペニス。何より目を引くのはその大きさだ。別に瑞雪のものだって並みの成人男性程度はあるが、これは規格外だった。
思わず腰が引けて目をそらす。同じものとは思えない。それほどまでにトツカのペニスは大きすぎたのだ。
ちら、とトツカの顔を確認する。
期待と欲望でどろどろになった瞳と目が合う。
「っ……!」
慌てて目を反らし、伏せる。傍から見ればまるで生娘のような反応だった。
そんな自分の反応が嫌になり、半ばやけっぱちになりながらトツカのペニスに手を伸ばす。
ひとまず片手でそっと触れる。グローブ越しにも伝わってくる熱。生きているものの熱さだ。
(刀のくせに、道具だっていう割に生物としての機能はしっかり備えやがって……生殖能力なんざいらねえだろうが)
心の中で毒づく。亀頭はでっぷりと太っており、鈴口がはくはくと開いたり閉じたりを繰り返している。
瑞雪が最初に勃起を確認してからそれなりの時間が経っている。普通は収まると思うのにおさまりゃしない。
とりあえず片手でそのまま竿の部分を握りこみ、上下に動かす。先走りもローションも使っていないから当然滑りが悪い。
「……っふ」
トツカが身じろぎし、息を漏らす。ペニスが手の中でぴくりと動き、思わず力を込めてキュっと握り潰しそうになる。
……全力で瑞雪がこのペニスを握りつぶそうとしたところで、ちゃんと潰れるのか?刀の付喪神のペニスは実は鉄みたいに固いとかないか?
段々と思考が現実を直視したくなさすぎて阿呆なことを考え始める。ちらつく家族のことを頭から無理やりにでも追い出す。
(こいつは犬猫、こいつは犬猫、こいつは犬猫!ペット、人間じゃない)
心の中で念仏のようにひたすら念じる。とっととイカせてしまおう。そう考え、竿を擦ることに神経を集中する。
しかし、ただ上下に扱いているだけ。まるで処女が初めて彼氏に対して手コキをするかのようなぎこちなさだ。
まあ、女の手つきよりも乱暴で雑なものだったが。
それもそのはず、瑞雪は自慰なんて必要に迫られてたまったものを出すとき以外しないのだ。
気持ちよさだとかは考えたこともなかった。さっさと終わらせたいがためにひたすら乱暴に上下に扱くことしかしたことがなかったのだ。
鈴口を親指で刺激したり、雁首を締めたりなんて思い至らない。ただ上下に機械的に動かし続ける。当然、そんな刺激でトツカがイケるわけもなかった。
(遅漏が……!)
ひたすら心の中で罵声を浴びせ続ける。
実際のところトツカは遅漏ではあったのだが、それ以上に瑞雪の手淫が拙すぎた。
責任転嫁だった。そんなことを瑞雪が知る由もなく、一旦手を止めて仕方なくグローブを手から引き抜きサイドテーブルに放る。そして引き出しの中のハンドクリームを取り出した。
(素手では触りたくないが、このまま永遠にちんこを触り続けるのも嫌だ……さっさと終わらせて寝たい)
心の底から早く終わらせたいと願う心と素手で触りたくない心を天秤にかけた結果、早く終わらせる方に軍配があがった。
ハンドクリームで滑りを足し、素手で扱く。ぬち、ぬちゅ。互いに無言であるため、部屋にはトツカの息遣いとクリームの音だけが響く。
トツカの様子を注意深く伺う。時折堪えるように眉根を潜めていた。びくりとペニスが手の中で震え、カウパーが滲んでくる。さっきよりは確実に射精に近づいていた。
……けれど、それを再び五分、十分繰り返してもトツカが射精しない。カウパーも滲む程度でそれ以上の進展はない。
「瑞雪」
「……なんだ」
上からトツカの声が降ってきて、瑞雪は忌々し気に渋い顔をしながら睨むようにトツカを見る。
「っ……!」
ずっとトツカの顔を見るまいとしていたことが裏目に出ていたのかもしれない。
イケないまま刺激だけ与えられ続けていたトツカは最初の時よりもひどい顔をしていた。
頬は紅潮し、目はぎらつき明らかに正気ではない。まるで戦闘中の時の彼のようだった。
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