私、物語りを改竄します。だって、女神様が全否定するんだもん

紅月

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2人目の脱落者と1人ぽっちの王子様

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神殿内は騒然となり、当然だがマリーは破滅神の信者として神殿で神官達の監視の元再教育される事となり、学院から姿を消した。

思い込みが激しい彼女の事だから、すんなりとは出てこれないだろう。

そのせいでニールは本当に一人ぽっちになった。

本来なら学院内だけでなく幼い頃から自分の側近になるもの達と親しくなって信頼を築き上げていく筈なのに、彼は幼い頃から傲慢で側近どころか幼馴染なども居ない。

学院内ではかろうじてフロン達が居たので1人では無かったが、フロンやマリーが学院を去った今、彼の周りには親に言われた取り巻きや甘い汁を期待する太鼓持ちの様な人間しか居なくなった。



「アデリーン嬢、少しいいか?」

珍しく衣服や髪型を整えたダグラスが緊張した顔でアデリーンに声を掛けてきた。

今日は座学も実技も無く、学期末の試験の為にアデリーンは学院の図書室に来ていた。

「ダグラス先生」

私語厳禁な図書室では話など出来ないからマリーが飛び込んだ噴水のある庭に来た。

なんの話かと聞いてもダグラスは緊張してろくに返事もしない。
見渡しても試験前のせいか、噴水には人が誰もいない。

「ダグラス先生……」
「アデリーン・アドラー公爵令嬢。どうか私、ダグラス・サイレスと婚約して欲しい」

突然ダグラスが片膝を付き花束を差し出した。異空間に収納していたのだろう、突然現れた花束にアデリーンは少し驚いたが、花束よりもダグラスの言葉に驚き返事もせずダグラスを見詰める。

「先生も私の中に流れる王家の血筋を……」
「政治的な話では無い。貴女が入学する前からずっと貴女の事を同志の様な気持ちで見ていたが、貴女と出会い人柄や考え方を知るたび貴女を支えたい、と思う様になった」

ダグラスの真っ直ぐな気持ちと煌めく紫の瞳をアデリーンはじっと見つめ、ふっと笑った。
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