私、物語りを改竄します。だって、女神様が全否定するんだもん

紅月

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1人目の脱落者

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フロンのクラスバッチが連絡事項が送られた、と光りフロンはニヤッと笑った。

ニール王子の護衛の真似事をしているから希望の魔法騎士団の入団がニールの推薦で決まった、と思った。

自分は騎士科に属しては居ないがデルガン家は多くの騎士を輩出している名家で、ニールの護衛をして、火属性持ちの自分なら軍の中でも地位の高い魔法騎士団に入れる、とたかを括っていた。

だが、決定事項を読み進めるうちに顔は青ざめ、小刻みに震えていた。

「ありえない」

絞り出すような声を発し、フロンは何処かへ走り出した。

「ニール様」
「フロン、何慌てていんだよ」

自分のサロンでクッキーをボリボリ食べているニールに激突する勢いでフロンは走り寄り、自分のクラスバッチに送られてきた決定事項をニールに見せた。

「はぁ?なんでこんなもんが?俺様がちゃんとお前を魔法騎士団に入団させるよう命令したんだぞ」

フロンのクラスバッチを奪い取り、喚き出した。

クラスバッチから浮かび上がる決定事項には魔法騎士団への入団条件が書かれており、内容は以後魔法騎士団への入団資格者は騎士科に属し、学院内でのトーナメントで上位に入った実績を要する、とあり魔法の属性は考慮しないとあった。

「これじゃ俺は魔法騎士団に入れない」

ガックリと項垂れるフロンをニールは呆れた様に鼻で笑い、クラスバッチを投げ返した。

フロンがなぜここまで魔法騎士団への入団に拘るかといえば、高い理想がある訳じゃ無い。魔法騎士団は通常の軽い任務に対して報酬と地位の高さが他の騎士達よりも格段に高い。

だが、それは非常時のスタンピードでは最前線で文字通り命をかけ、戦わなければならないのだ。
たとえ仲間や自分が魔獣に食い殺されても撤退を許されない、厳しい立場から破格の高待遇とされている。

余談だが、今は女神ソーレイヌの代行者とも言えるアデリーンが居るため上位の魔獣達は暴走する事も無く、小物との小競り合いばかりだが、もしゲームの様にアデリーンを処刑したら上位の魔獣達は怒りから大暴走し、国自体が灰燼に帰してしまうだろう。

入団条件が決まった以上フロンが魔法騎士団どころか騎士団への入団は出来なくなり、名家デルガン伯爵家とは言え次男の彼は受け継ぐ爵位がない為卒業後は平民になる事が決定している。

「平民になるなんて冗談じゃない」

縋るようにニールを見るが

「俺様の側近は既に決まっているから、まっ頑張って仕事探してくれ」

と、冷ややかに言い捨てた。
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