私、物語りを改竄します。だって、女神様が全否定するんだもん

紅月

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人は慣れるのが早いようです

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人間とは慣れる生き物なのだろう。

入学式のアデル姿のを見て驚き、次の日には女生徒用の制服を着たアデリーンの美しさに驚いていたが、一週間もしないで学院生はもちろん、教師陣も驚かなくなり、挨拶を交わす様になっていた。しかも入学後直ぐに行われた試験結果には誰も驚かなかった。

「アドラー公爵家の方ならなんとなく想像できますもの」

500満点中490点超えの好成績の3人に対して驚きすぎて頭が回らなくなっていたに違いない。

「試験の勉強方法、教えて頂けたら嬉しいですけど、畏れ多くて声をかける事が出来ませんわ」

と、頬を染めて囁く令嬢達にアデリーンが微笑むと途端に黄色い悲鳴が其処彼処から上がった。

それよりも凄かったのは、アデリーン達が訓練場で様々な魔法を試している事だった。



アデリーンは全属性。ケヴィンとルーファスは複属性の魔力持ち。
彼ら独自の魔法を展開していたなら反感を持つ者もいただろうが、アデリーン達は多くの単属性の掛け合わせでより魔力を持たない民の為になる生活魔法を考案していた。

その姿を見た多くの生徒達は自らアデリーン達の訓練に参加し、質の良い鍛錬を行うようになり、1ヶ月も経つと頭角を表す者も出てきた。

たった1ヶ月でアデリーン達は学院の学生だけでなく教師陣の信頼と賛美を受ける様になっていた。

「アドラー公爵令嬢。君の影響力は計り知れないな」

相変わらずモッサリした姿のダグラスの言葉にアデリーンは困った様な顔で微笑んだ。


私は1人しかいない。だからできる事も助けられる人も少ない。

でも、水面に小石を投げれば波紋が広がるようにこの国に小石を投げ、水面を揺らした。

少しでも誰かの心に揺らめく水面が弾く煌めきが届き動き出してくれたらソーレイヌ様が危惧していた乙女ゲームのような出来事が起こっても国は傾く事はないはず。

初めはそう思っていたが、ケヴィンやルーファスがそばに付くようになってから周りの空気が変わってきた。

ゲームの設定は頭に叩き込んでいた。内容はあらすじ程度しか知らないから行き当たりばったりになるけど、これからもニール王子と騎士のフロンと接触しなければなんとかなるって思ってる。

それに実際、私に何かあったらこの国は本当に危機的な状況になる。


私の中には2つの王家の血が流れている。
父、レグルスの母親、私の祖母は北の大国サルバン帝国の第3皇女であり、母レミリアは東のモルバラン王家の第2王女。

両国の王族は私達姉妹をとても可愛がってくれている。
冤罪で私が断罪されたらこの国の王家などあっという間に吹き飛ぶだろう。

ソーレイヌ様が号泣していた意味が良くわかる。
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