私、物語りを改竄します。だって、女神様が全否定するんだもん

ゲームの舞台は学院です。いざ戦場へ

貴族学院の入学式を待つ新入生の控え室だと言うのにケヴィンとアデリーン、そしてルーファスが並んで立つと、何とも言えない艶やかな空気が漂う。

「アデル様のその姿、スカートを期待してたのに似合うから腹が立つ」

ルーファスの剥れた顔を見ながら、アデリーンが楽しげに笑う。

「それは悪かった。ま、スカートも持っているからいつか着るよ」
「アデル様は、何をお召しになってもお美しい」

ケヴィンは真面目な顔で何度もうなずく。


今日は3人揃って王立貴族学院の入学式である。
お揃いの、見た事もないまだクラスの表示されていないクラスバッチを付け、同い年の3人は多分同じクラスになり、これから学院生活を送ることになる。

だが、ここでクラスバッチよりもアデリーンの制服が話題となった。

アドラー公爵家の嫡女であるアデリーンの普段の服が男物であると言う事はかなり有名だ。

兄が欲しいと泣いていた妹ステラのためにアテリーンが男装しているのは既に社交界でも有名である。

その男装が似合っていないのなら、社交界でも子供のお遊びか、と微笑ましく若干の嘲りで受け止められるのだが、アデリーンの男装は正しく男装の麗人である。

高位貴族の令嬢であるアデリーンが、男物の服を着ることを快く思わない婦人たちも居るが少数意見で、多くの者たちはアデリーンを賞賛している。
だが、学院の制服まで男物とは誰も考えていなかった様だ。



「アデリーン・アドラー嬢、属性は全属性」

退屈な入学式後、自分の魔力の属性を調べる儀式でアデリーンは鑑定水晶球をさらりと撫でた。

透明な水晶球の中に虹色の光が渦を巻き、一瞬で消えた。

アデリーン達は知っているが、初めて聞く全属性の宣言に儀式に立ち会う者達の驚きの声が上がるが、アデリーンの魔力の少なさに学生達がヒソヒソと話し、中には嘲笑う様な目で見る者もいた。

「アデリーン・アドラー嬢。属性判定に必要な最低限の魔力しか見せないのは……」

生徒達の無知さに鑑定していた教師が呆れた顔をしてアデリーンを見ているが、本人は涼しい顔で

「良い所に嫁入りや婿入りする事を願う令嬢、令息にとっては魔力量の多さは重要ですが、わたくしはアドラー公爵家嫡子。わざわざ全てを見せる必要はありませんわ」

と、言い切った。