私、物語りを改竄します。だって、女神様が全否定するんだもん

紅月

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夜明け前

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夜明け前が1番暗く、寒いものだが其処が夜明け前だとは誰も知らない。


「どうして兄上達は臣籍降下を受け入れたのです」

父王からの突然の宣言に銀髪にアイスブルーの瞳をした美しい少年が苛立ちを抑えながら年の離れた、同じ母親の兄達を見た。

「すまないダグラス」

謝るだけの兄達は臣籍降下の理由を話す事なく王宮を後にし、幼いダグラスは爪が食い込むほど強く手を握りしめ、唇を噛んでいた。

それでなくても自分は10歳も年上の、異母兄の妃である現王太子妃に異常に執着され、気が休まらないうえ味方であった兄達が居なくなってしまってはおかしな事が起こっても対処しきれない。

間違いが起こる前に、とやっと10歳になったばかりのダグラスは隣国へ留学できる様、父である現国王に頼み込み、ひっそりと国を出た。


これはアデリーンが生まれてすぐの出来事だ。


「俺が全属性?」

その後6年、隣国で忘れられた様に生きていたダグラスが改めて属性判定を受けて欲しい、と執事に言われて諦めの感情を滲ませながら水晶球に手を翳すと、判定は全属性、と出た。

「なんで今更……」
「母国でアドラー公爵令嬢が全属性の魔力を持っている事がわかり、殿下の魔力と似ている、と話題になったのです」

執事の言葉にダグラスは呆然としていたが、長年魔力が低い事を陰で馬鹿にされていた鬱憤が消えていくのが分かり、何故かやる気が漲って来た。

「今なら兄上達の本心が聞けるかもしれない」

魔力が全属性である認定が出た途端、ダグラスはすぐに臣籍降下した兄達へ手紙を書いた。

そして、彼らの本心や計画を聞いたダグラスは最年少で学位を取得し、密かに母国に戻ると王宮に戻らず学園の教師として動き始めた。



そしてダグラス達は密かに計画を進め、根回しを始めた。
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