[完結]ヤンデレ・メリバは好きですか?

紅月

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現実を生きる者達の覚悟

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「わたくしもゲームとやらに出ているようですが、そんなものに惑わされるつもりはないわ」

アリーが居てくれたから、歪まないでいられた。
両親の愛を信じられ、友人達の優しさも理解できる。
権力の恐ろしさも危うさも。

だからアリーが笑っていられる世界を守りたい、と思う。

「アリーを守る為なら、いくらでも暗躍してみせますわ」
「……複雑だな。そこは、私をと言って欲しいものだが」

ロードの茶々に、カーラが艶然と微笑む。

「同じ思考のデニー様に言われたくありませんわ」
「確かに」
「ひとまず、あの女の、レニへの接触を妨害します」
「アリーへの接触も妨害しないと。あの女、絶対自分の邪魔になるアリーに嫌がらせする筈ですから」

ミアの言葉は乙女ゲームをネタにした小説が判断の母体になっているが、あながち間違いでは無い。

むしろあの女なら此方を心配した方がいい。
自分だけが幸せになる事しか考えていない、典型的なヒドインなんだから。

話の中心人物のアリーは、読み終わっていない魔術大全集に顔を突っ伏して、何も聞かなかったアピールをしていた。




「グフ、グフ。やっとデニスやシオン、レオとのフラグが立ったわ。これからどんどん魅了してけば、逆ハーエンドは間違いなしね。あとは、悪役令嬢のカサンドラが嫌がらせしてくれば完璧よ」

中々フラグを立てられなかったけど、これからは問題なくフラグが立つはず。

そう言ってセレナが中庭を突っ切って教室に戻ろうとした時、レオニアスが小柄な少女と話しているのが見えた。

こっちに背中を向けているから淡いブラウンの髪しか見えないけど、前屈みになったレオニアスの目元に手を当てている。

フワッと風が吹いて髪が靡くと、レオニアスが目元に当てられていた少女の手を取り、ゲームのスチルですら見た事も無い、最高の笑顔を向けた。

何かを話しているが、距離があり過ぎて聞こえない。
慌てて走り寄ろうとしたが、レオニアスはさっさとブラウンの髪の少女を連れて建物の中に入ってしまった。

「ちょっと、何あれ。レオはアタシのモノなのに。最推しはデニスだけど、逆ハー要員のレオをアタシから奪うなんて、最低よ」

腹立たしさから地団駄を踏んだが、急に笑い始めた。

「グフ、グフ。淡い夢を見てればいいのよ。どうせレオはアタシのモノになんだから」

レオにこっ酷く振られればいい。
そしたら、レオの腕の中で嘲笑ってやるから。

「最推しはデニスだけど、あんな女になんかモブ男でもやりたく無いわ」

強欲なセレナは、睨む目がある事に、全く気が付いていない。
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